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イギリス 繁栄のあとさき 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2014/03/12 |
JAN | 9784062922241 |
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イギリス 繁栄のあとさき
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イギリス 繁栄のあとさき
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商品レビュー
4.3
8件のお客様レビュー
ダイヤモンド社(1995)の文庫化 https://calil.jp/book/4478200351
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二十年前に書かれた、川北史学の基本線を記した本。 英国社会の実相はジェントルマン支配であり、これまでの世界史教育では産業革命が過大評価されている、と筆者は言う。これを敷延すると、工業は必ずしも国民経済の豊かの指標ではなく、金融資本や文化の蓄積も重要な要素だから、先進国の産業空洞化...
二十年前に書かれた、川北史学の基本線を記した本。 英国社会の実相はジェントルマン支配であり、これまでの世界史教育では産業革命が過大評価されている、と筆者は言う。これを敷延すると、工業は必ずしも国民経済の豊かの指標ではなく、金融資本や文化の蓄積も重要な要素だから、先進国の産業空洞化も恐るに足りず、ということになる。 20年後の観点でこの主張を検証すると、日本の産業空洞化は更に進み、経常収支も脅かされるようになったが、日本のカルチャーは世界に評価され、日本経済はポスト工業化時代をそれなりの温度で歩んでいる。米国ではアメリカファーストを掲げるトランプ政権が成立し、イギリス国民はブレグジットを選択した。いずれも工業の空洞化に業を煮やした選挙民の反乱であったが、ニューヨークと中部工業地帯、ロンドンとイングランド北部の格差は無視することができないという点では、彼の警告は二十年経って火の目を見たというべきだろう。 もう一つ、世界システムの中核国が周縁部に低開発国を作り出す、という論点がある。イギリスは砂糖はカリブ海に、綿花と茶葉はインドに、ゴムはマレーシアに、生産を強要して付加価値を自らが独占しつつ、現地の産業や人材の育成には配慮しなかった。現代でも先進国企業の工場が発展途上国に展開するが、工場は次第に付加価値を高め、国自体の経済成長にも繋がり、最早発展途上国という言葉は聞かれなくなった。 低開発地域は低開発のまま放置されるという命題は、18世紀のカリブ海には当てはまるが、同時期のアメリカ南部には当てはまらない。そして21世紀に東・東南アジアに形成された分業ネットワークは、植民地時代のモデルで説明できるほど単純ではない、ということなのだろう。
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かつてのイギリスの繁栄は、ほんとうに植民地経営により成り立っていたのか。 クルーグマンによって国家経済における貿易の影響力の小ささが指摘されているなかで、貿易こそが世界各国の地位を規定したとする世界システム論は、自分のなかでやや説得力を失っている。 もちろんそれで奴隷貿易や砂...
かつてのイギリスの繁栄は、ほんとうに植民地経営により成り立っていたのか。 クルーグマンによって国家経済における貿易の影響力の小ささが指摘されているなかで、貿易こそが世界各国の地位を規定したとする世界システム論は、自分のなかでやや説得力を失っている。 もちろんそれで奴隷貿易や砂糖プランテーションの事実が消えるわけではないし、周辺国が輸出のための産業に依存していないと言い切れるわけでもない。 だが、本書にはその影響を測る数値が出てこない。 確かにインドの低開発化とイギリスの工業化は同時に進行したし、アメリカの衰退と東南アジアの台頭は相関があるように見えるが、その因果は本書内では証明されない。 とすると、本書は歴史社会学の域を出ず、事象を学ぶことは出来るが、経済を学べるとは言い難い。納得感のある論ではあるが、その真価をどこまで斟酌できるのか。読み手の力量が試される。
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