新訳 地下室の記録

フョードル・ミハイロヴィチドストエフスキー【著】, 亀山郁夫【訳】

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2013/03/25
• JAN: 9784087734829

商品レビュー

2025/12/10

高度な思想性と明快な文章で、読者を引き込むドストエフスキーの初期の作品。人間の心理を深い地点から描き出している。

2022/07/11

トルストイ（１８２８〜１９１０）、ドストエフスキー１８２１〜１８８１）と時代が重なり合う同士であったが、若い頃のドストエフスキーは社会主義の運動で逮捕、死刑執行直前で保釈、小説家となりこの「地下室の記録」をあたかも病んだ、意地悪い男として表現、社会に間接的に抵抗していたのである。巨匠二人ともに時代の背景にある合理化一辺倒の社会主義国ロシアで「幸福、希望、夢」を追った作品は現代では理解できない厳しい規制社会だったに違いない。

2019/06/16

言い回しを現代風にするなど、読みやすさに特化した新訳です。
うだつが上がらない地下室人の雑記がひたすら続くという内容ですが、この整然としていない点に人間性があります。
普通の人間が無理矢理に自分の思いを書いている勢いを感じました。
引っ込み思案で苦労する彼の手記には続きがあることになっていますが、その後の人生を色々想像してしまう一冊。