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夜に生きる ハヤカワ・ミステリ1869
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2013/03/09 |
JAN | 9784150018696 |
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商品レビュー
4.1
19件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「運命の日」の続編。 前作の面白なさを補ってあまりある、面白さだった。 「運命の日」の主人公は警察官の息子のうち長男だったのに対し、 今回の主人公は三男のジョー。 ギャングの手下になっていたが、 ボスの愛人と恋に堕ち、彼女を失い、 刑務所を生き抜き、その中で新しいボスを得る。 ボストンからタンパへ行かされ、 そこで一大帝国を築いていく…。 何度も殺される危機をくぐりぬけるところや、 ライバルやボスとくりひろげられる駆け引き、 警察の本部長と堕落した娘の生き様、 裏切られたが信じた幼なじみとの関係と、 鮮やかな人間関係にドラマチックな展開とあっては 映画にしたくなる気持ちはよくわかる。 前作の主人公長兄が登場し、 妻ともども ハリウッドでうまくやっているようで良かった。 ジョーと元ボス、二人とも死んだと思っていた愛人の写真を使って、 元ボスの気をひき、 ジョーが九死に一生を得た場面が面白かった。
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前作の兄の話に比べスケールが小さいなー、と思いながら読み進めていくうちどんどん引き込まれた。親と子のお互いへの複雑な思いが胸にくる。
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▼氏、育ち、というのは、それが金持ちであれ貧乏であれ、なんであれ決定的なものです。ただ、決定的というだけであって、どういう風に決定的であるかというのは、ひとりひとりの持っている運とか巡り合わせとか、多少の努力や意志や勇気でももちろん変わってくる訳ですが。ショーン・ペン主演の映画「...
▼氏、育ち、というのは、それが金持ちであれ貧乏であれ、なんであれ決定的なものです。ただ、決定的というだけであって、どういう風に決定的であるかというのは、ひとりひとりの持っている運とか巡り合わせとか、多少の努力や意志や勇気でももちろん変わってくる訳ですが。ショーン・ペン主演の映画「ミスティック・リバー」(2003)を見たときに、そんなことを思いながら、ダークで強烈な世界観にガツンとやられました。まだこっちも若かったですから。監督がクリント・イーストウッドというのが、それこそ映画の幸福としては決定的でしたが。 ▼田舎町に住む、かつて親友だった中年男性3人。元ヤクザの商売人、警察官、そして平凡なサラリーマン。少年の頃、三人で遭遇した忌まわしい事件。結局はそのしがらみが大きな呪縛となって、現在の殺人事件から、三人の運命が転がり落ちていく人間ドラマ。 その映画の原作者、ということで始めて知ったのがデニス・ルヘインでした。 ▼そのルヘインさんの2012年の小説「夜に生きる」。加賀山卓朗訳、早川書房。2019年の読了なので、かなり忘れています。ただ、これがエラいこと面白かった。衝撃でした。 ▼お話しは、1920年代から1930年代のアメリカが舞台。ホワイトカラーの中産階級の出身なのに、両親との不和からグレてしまったジョーという若者が主人公。ジョーが立派な悪党になっていく。悪党としてのキャリアの中で、恋愛もすれば、危ない目にも遭う。ただ、どこか残忍になりきれない、どこか頭が良くて手を汚しきれないところがあって、読み手としてはずぶずぶと感情移入していきます。 ▼そして、序盤すぐから中盤、とにかくエンターテイメント。ハラハラドキドキ。悪党として自ら「夜に生きる」ことを選んでしまったジョー。その中で実に魅力的な女たちと出会い、運命の恋、危険な愛。幾多の冒険を生き抜いていきます。単なるヒーローモノではなくて、どこか人間の業みたいなものを漂わせながらジョーの一代記が続きます。「ゴッドファーザー」シリーズを見ているような極上のエンターテイメント感。 ▼そして、最終的に逃げ延びて勝ち残ったと思っても、最後まで「夜に生きる」ことの辛い因果応報が襲いかかってきます。この終盤、もはやジョーと一体化した読み手としては、しみじみ「疲れる・・・しんどい・・・」という感じです。やっぱり人生ってのは過去の因縁、シガラミにからめとられちゃってる恐ろしさがあります。 ▼勝って終わりで爽快感、というのとは訳が違います。エルロイさんにちょっと似ているけれど、あそこまでバイオレンスで破壊衝動的でもない感じ。(エルロイさんも大好きですが) ▼そんなこんなで、「ああ、この先の日々で、ルヘインさんの小説を読める楽しみができたなあ」という実にありがたい一冊でした。 ▼本の本質からするとぜんぜん的外れでかつツマラナイことですが、「いやー、ジョーも両親とあそこまでこじれてなかったら、こんなにシンドイ人生にならんかったろうになあ」と思いました。まあ、シンドイ人生の物語だから、ぬるぬると生きている読み手としてはありがたいくらいオモシロかった訳ですが。
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