夜に生きる の商品レビュー
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「運命の日」の続編。 前作の面白なさを補ってあまりある、面白さだった。 「運命の日」の主人公は警察官の息子のうち長男だったのに対し、 今回の主人公は三男のジョー。 ギャングの手下になっていたが、 ボスの愛人と恋に堕ち、彼女を失い、 刑務所を生き抜き、その中で新しいボスを得る。 ボストンからタンパへ行かされ、 そこで一大帝国を築いていく…。 何度も殺される危機をくぐりぬけるところや、 ライバルやボスとくりひろげられる駆け引き、 警察の本部長と堕落した娘の生き様、 裏切られたが信じた幼なじみとの関係と、 鮮やかな人間関係にドラマチックな展開とあっては 映画にしたくなる気持ちはよくわかる。 前作の主人公長兄が登場し、 妻ともども ハリウッドでうまくやっているようで良かった。 ジョーと元ボス、二人とも死んだと思っていた愛人の写真を使って、 元ボスの気をひき、 ジョーが九死に一生を得た場面が面白かった。
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前作の兄の話に比べスケールが小さいなー、と思いながら読み進めていくうちどんどん引き込まれた。親と子のお互いへの複雑な思いが胸にくる。
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▼氏、育ち、というのは、それが金持ちであれ貧乏であれ、なんであれ決定的なものです。ただ、決定的というだけであって、どういう風に決定的であるかというのは、ひとりひとりの持っている運とか巡り合わせとか、多少の努力や意志や勇気でももちろん変わってくる訳ですが。ショーン・ペン主演の映画「...
▼氏、育ち、というのは、それが金持ちであれ貧乏であれ、なんであれ決定的なものです。ただ、決定的というだけであって、どういう風に決定的であるかというのは、ひとりひとりの持っている運とか巡り合わせとか、多少の努力や意志や勇気でももちろん変わってくる訳ですが。ショーン・ペン主演の映画「ミスティック・リバー」(2003)を見たときに、そんなことを思いながら、ダークで強烈な世界観にガツンとやられました。まだこっちも若かったですから。監督がクリント・イーストウッドというのが、それこそ映画の幸福としては決定的でしたが。 ▼田舎町に住む、かつて親友だった中年男性3人。元ヤクザの商売人、警察官、そして平凡なサラリーマン。少年の頃、三人で遭遇した忌まわしい事件。結局はそのしがらみが大きな呪縛となって、現在の殺人事件から、三人の運命が転がり落ちていく人間ドラマ。 その映画の原作者、ということで始めて知ったのがデニス・ルヘインでした。 ▼そのルヘインさんの2012年の小説「夜に生きる」。加賀山卓朗訳、早川書房。2019年の読了なので、かなり忘れています。ただ、これがエラいこと面白かった。衝撃でした。 ▼お話しは、1920年代から1930年代のアメリカが舞台。ホワイトカラーの中産階級の出身なのに、両親との不和からグレてしまったジョーという若者が主人公。ジョーが立派な悪党になっていく。悪党としてのキャリアの中で、恋愛もすれば、危ない目にも遭う。ただ、どこか残忍になりきれない、どこか頭が良くて手を汚しきれないところがあって、読み手としてはずぶずぶと感情移入していきます。 ▼そして、序盤すぐから中盤、とにかくエンターテイメント。ハラハラドキドキ。悪党として自ら「夜に生きる」ことを選んでしまったジョー。その中で実に魅力的な女たちと出会い、運命の恋、危険な愛。幾多の冒険を生き抜いていきます。単なるヒーローモノではなくて、どこか人間の業みたいなものを漂わせながらジョーの一代記が続きます。「ゴッドファーザー」シリーズを見ているような極上のエンターテイメント感。 ▼そして、最終的に逃げ延びて勝ち残ったと思っても、最後まで「夜に生きる」ことの辛い因果応報が襲いかかってきます。この終盤、もはやジョーと一体化した読み手としては、しみじみ「疲れる・・・しんどい・・・」という感じです。やっぱり人生ってのは過去の因縁、シガラミにからめとられちゃってる恐ろしさがあります。 ▼勝って終わりで爽快感、というのとは訳が違います。エルロイさんにちょっと似ているけれど、あそこまでバイオレンスで破壊衝動的でもない感じ。(エルロイさんも大好きですが) ▼そんなこんなで、「ああ、この先の日々で、ルヘインさんの小説を読める楽しみができたなあ」という実にありがたい一冊でした。 ▼本の本質からするとぜんぜん的外れでかつツマラナイことですが、「いやー、ジョーも両親とあそこまでこじれてなかったら、こんなにシンドイ人生にならんかったろうになあ」と思いました。まあ、シンドイ人生の物語だから、ぬるぬると生きている読み手としてはありがたいくらいオモシロかった訳ですが。
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三部作といわれる第一作の「運命の日」に続く二作目ということだが、続きが出るのかどうかはまだわからないようだ。 どちらにしても「運命の日」の家族、兄弟の話(らしい)から、時代は少し移って、今度は三男のジョー(ジョセフ)が主人公になっている。 父がボストン市警の警視正という家庭で...
三部作といわれる第一作の「運命の日」に続く二作目ということだが、続きが出るのかどうかはまだわからないようだ。 どちらにしても「運命の日」の家族、兄弟の話(らしい)から、時代は少し移って、今度は三男のジョー(ジョセフ)が主人公になっている。 父がボストン市警の警視正という家庭で育ったが、13歳のとき、悪がき三人でニューススタンドに火をつけ、小金を稼いだ。それを皮切りにジョーの生活は夜に向かって滑り出す。出あった街のボスの情婦に一目で恋をする。 20歳、銀行を狙って警察に追われるが、恋人に気をとられていたこともあり、仲間が裏切ったかもしれない状況でミスをしてしまう。 父親の機転で警官殺しは免れたが、5年の実刑で刑務所に入る。 刑務所にはメキシコ湾岸を牛耳る大物マソ(ペスカトーレ)がいた。が刑務所の中でもファミリー同士の小競り合いはあった。マソが出所し、外からの攻撃を仕掛け、マソの下で、ジョーは刑務所内で密造酒の腕を持つ一派と話をつけた。 出所したジョーはタンパから葉巻の街イーボーに落ち着いた。 灼熱の街イーボーに着くと幼馴染のディオンが生きて待っていた、彼はウラのつながりにも街の裏道にも馴染んでいた、そこでラムの密造を始める。ラムの材料が横流しで手に入らなくなった。それを対立するボスのゲーリー・スミスを追放することで解決する。 「どちらかを選べ、その汽車に乗るか」 「われわれが汽車の下敷きにするかだ」 車に戻りながら、ディオンが言った。「本気なのか」 「ああ」ジョーはまた苛立っていた。理由はわからない。ときどき闇に取り憑かれる。突然こういう暗い気分に押し包まれるのは刑務所に入ってからだと言えるといいが、じつのところ、記憶が始まる昔から闇は下りて来ていた、ときになんの理由も、予兆もなく。だが今回は、スミスが子どもの話をしたのがきっかけだったように思う。 ジョーは船を使ってメキシコ湾沿岸の密造酒を牛耳るようになる。 最初の女エマの死は信じられないままだったが、彼はキューバの活動家の妻と住み息子が出来る。 キューバと妻のためにアメリカの海軍戦艦を襲い大量の銃を盗る。 ジョーは無法者と名乗っていたが次第にギャングと呼ばれるようになる。 多くの死を見る度に、そのことが心から離れない。成功はしたが彼はどこかに、同時代に生きた「ギャッツビー」的悲哀をにじませている。 満たされることが無いままに選んだ夜の生き方。縄張り争い、地位の奪いあいの日々。それが輝いて見えたとき以来、犯罪に憧れスリルを求め、漬かり、流されてもがいて来た生き方である。 ギャング小説も、ノワールという分野も読めばその世界の人の生き様に入り込んでしまう。この小説の類型を見つけるのは簡単かもしれない、育ちの良さや、父親の影から完全に抜け出ることが出来ない若者の話は多い。貧しい移民や人種の混交の街で、法の枠外に生きることがたやすかった若いころ、優れた頭脳は犯罪にも向いていた。だが成長してさらに深みの底に溜まっている汚泥を見れば、やがて将来は心の枷になってくる。当然、彼が生きる境界線は法律だと心の底では気づいている。 ルヘインは非情な場面に叙情を絡ませた表現をする。人の弱さを見せる。主人公の苦しみは読む人にもだぶるところがある。 最後の牧歌的記述が少し長かったようだが、それまでの一気に進んできた後の緊張がゆるんだ一時、ほっとする面もある。
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とあるギャングの一生物語。 エマという一人の心の穴を埋めてくれる女に出会ったことによりにわかに回り始めた物語。 失ったものに心焦がしながら収容所での生存闘争を生き延び、恋敵へのリベンジ、そして再びの対決を経ていく色濃い人生。 最愛のグラシエラとの日々を過ごし始めてから、ひたひたと忍び寄るエマとの再会の予感。期待。そこからの決別のシーンがしびれた。 大切だと思っていたものは実はまぼろしだということ。
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いやまたこりゃ、正統派というか、時代遅れというか。 禁酒法時代のギャングの人生、だす。 これで想像できることのすべてが入ってます。予定調和。おわり。
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1920年代後半、ボストン市警の警視正を父に持つジョー(ジョゼフ)・コグリンは町の無法者だった。イタリア系移民のバルトロ兄弟と組んでカジノや銀行を襲っていた。 しかし、対立する町のギャング、アルバート・ホワイトの愛妾エマと恋に落ちる。仲間の密告からホワイトの罠にハマり、警察に追われ、逃走中の事故でエマを失い、父の手で投獄される。 エマを失った失意の中で刑務所暮らしを送る中、マフィアのトマソ・ペスカトーレの信頼を得て、トマソの指示で、出所後はフロリダ州タンパで地元のギャングを追い出し、ラム酒の密造・闇流通のシステムを作り上げてギャングとしての揺るぎない地位を築き上げたのだが・・・ ギャングとしての生き方しかできない主人公が、自分の愛するものを守るためにギャングとしての地位と力を得ようとするが、彼の前に立ちはだかる敵は常に彼の愛するものを彼から奪おうとする。なぜなら、彼が愛するものは彼が前に進もうとする原動力であると同時に、彼にとっての最大の弱点でもあるから。愛するものを守るための行為が、愛するものを危険に晒すというジレンマの中で彼は生きていく…。 このジョー・コグリンの生き方はマフィア映画の傑作「ゴッド・ファーザー」のマイケル・コルレオーネと同じだ。 欲が人を動かすのであり、欲望のために生きているという点では一般人も、ギャングにも大きな差はないと主人公が考えている点もよく似ている。 極めつけは父からのアドバイス。「ゴッド・ファーザー」でマイケル・コルレオーネの父、ヴィトは自分が亡くなった後に自分たちを裏切る者の見分け方をマイケルに教えるシーンがある。 この小説では刑務所に入るジョーに父のトマスが刑務所の中で誰を最初に叩くべきか、それを見分ける方法を教える。このあたりも作者は「ゴッド・ファーザー」をすごく意識しながら書いている気がする。 アメリカが舞台の話なので、やはりキリスト教的な観点も入ってくるのも「ゴッドファーザー」と同じ。 普通の人の信仰には打算やまやかしを見る。彼は法を破り、人も殺すが、愛するものには忠誠を尽くす。そして、物語としては、そこに彼に対する神からの回答のような罰がくだされる。 ちょっとネタバレになるが、本書のラストで失意の中で老け込み、息子と釣りをしているというジョーの姿は ゴッド・ファーザー・パート2でマイケルを裏切り死を待つだけのマイケルの兄・フレドがマイケルの息子と二人で釣りをする日々を過ごしていたという点や、娘を失い故郷のイタリアで椅子に座ったまま一人寂しく亡くなるマイケルの姿を想起させるものがあった。 「ゴッド・ファーザー」好きにはとても楽しめる小説だと思います。
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『夜に生きる』デニス・ルヘイン Live by Night by Dennis Lehane エドガー賞、このミス5位、文春ミステリー7位 『運命の日』『夜に生きる』『過ぎ去りし世界』 コグリン・シリーズの2作目 映画化が前提で書かれたの?みたいに いろいろ詰め込まれた...
『夜に生きる』デニス・ルヘイン Live by Night by Dennis Lehane エドガー賞、このミス5位、文春ミステリー7位 『運命の日』『夜に生きる』『過ぎ去りし世界』 コグリン・シリーズの2作目 映画化が前提で書かれたの?みたいに いろいろ詰め込まれたギャング小説でエンタメ要素は増し、文章も読みやすく、まるで、1作目とは別人が書いたのかと思ったほど違った印象。 読みやすくなったけど、キャラクターの描かれ方がフラット、1作目の叙事詩的な感じが好きだなぁ。 映画『夜に生きる』予告 https://youtu.be/W6Xas9ZkPcw
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ボリュームのある本だけど、一気に読んでしまった。禁酒法が生きていた1930年代のアメリカで、ギャングとしてのし上がったジョセフの物語。 家族や仲間、仕事、女や情熱や…いろんなものが詰め込まれてる。 もう死ぬかと思う場面は何度もあったけど、しぶとく生き残るジョーすごい。大切な人がた...
ボリュームのある本だけど、一気に読んでしまった。禁酒法が生きていた1930年代のアメリカで、ギャングとしてのし上がったジョセフの物語。 家族や仲間、仕事、女や情熱や…いろんなものが詰め込まれてる。 もう死ぬかと思う場面は何度もあったけど、しぶとく生き残るジョーすごい。大切な人がたくさん死んでいくけど、本人も何度も死にかけるけど、なんだかんだ生き抜くジョー逞しい。 面白かった!
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私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ ...
私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ つまらない もしくは趣味が合わない 2015.12.15読了 まあ、もちろん面白いです。 やはり映像化を意識しているところは、鼻につきますが。 運命の日の続編ということですが、その運命の日を読んでおりませんが、それでも充分、楽しめました。 ただ、もっと謎が深い方がもっと良かったかな。 あんなのみんなそうだろうなと思うよね。
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