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出星前夜 小学館文庫
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出星前夜 小学館文庫

飯嶋和一【著】

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出星前夜 小学館文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2013/02/06
JAN 9784094087963

出星前夜

¥770

商品レビュー

4.2

43件のお客様レビュー

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2025/08/31

島原の乱について、学校では単純に抑圧されたキリシタンの反乱と教えられたがそんなに単純なものでは無いと判った。 藩主が分不相応な家臣団を持ったため、年貢を倍以上取り立てられながらもキリストの教えにより逆らわずにいた島原や天草の地。だがそれも限界になり武装蜂起となる。 ちょっと無抵抗...

島原の乱について、学校では単純に抑圧されたキリシタンの反乱と教えられたがそんなに単純なものでは無いと判った。 藩主が分不相応な家臣団を持ったため、年貢を倍以上取り立てられながらもキリストの教えにより逆らわずにいた島原や天草の地。だがそれも限界になり武装蜂起となる。 ちょっと無抵抗主義にも程があるし共感は出来ない。武装蜂起後も今一つ目的不明で人間臭くはあるが味方も敵もだらし無い。 またキリストの殉教とは逆らわずに死ぬ事とされているので島原の乱を起こしたキリシタンは殉教では無いらしい。何だかそれも馬鹿馬鹿しい。 物語の主題が自分に合わなかったが、小説としては面白かった。

Posted by ブクログ

2024/09/02

島原の乱のお話 以下、公式のあらすじ ---------------------- 寛永14年(1637)、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)は、一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医...

島原の乱のお話 以下、公式のあらすじ ---------------------- 寛永14年(1637)、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)は、一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に立てこもった。 折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを少年らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負った。 松倉家入封以来20年、いっさいの抵抗をしてこなかった旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった‥‥。 ---------------------- 読み始めは江戸時代のパンデミックの話かと思ってたけど、立てこもる少年達のあたりで「これは島原の乱か?」と思い至る 島原の乱と言えば、天草四郎が率いた宗教一揆と思っていたけど それはあくまで幕府側の残した歴史認識であって 実は重税と圧政に苦しめられた農民達の一揆が主体であり その背景には宗教弾圧があり、またキリスト教の「耐える」という教えの最後の箍が外れた事で起こったという解釈になっている キリスト教はうまく使えば民衆に耐えさせる道具にもできるけど その結果、却って手痛いしっぺ返しを食らったというものですね 普通の一揆と違って、途中からは殉死する事が目的にもなり 結局は死兵となってしまったというのは、支配者層の無能エピソードだよなぁと思う ただ、この島原の乱はキリスト教として殉教とはされていない 何故なら、耐え忍ぶというキリスト教の教えに従っていないから やはり、遠藤周作の「沈黙」でも語られていたけど、キリスト教も日本に入ってきた時点で、どれだけ忠実に教義を守ろうとしても土着の思想と融合して、まったく異なる宗教になっている気がする それにしても、蜂起勢を鎮圧するために何万もの軍勢を数ヶ月養える物資があるにもかかわらず そうなる前になぜもっと早く救ってやれなかったのかという矛盾がある まぁ、江戸表への報告と統治の実態の差異のせいではあるんだけど 幕府の中央の方では本当はどんな認識だったのかね? それはそうと、「黄金旅風」の主人公、長崎代官末次平左衛門も結構活躍している 蘭学の医療を学んだ外崎恵舟とのやり取りでも、ひととなりが伺い知れるエピソードなどあって嬉しい 先々の事まで見据えた上で、民のために現状対策を行えるのは為政者として優れているよなぁ あと、立花宗茂もおじいちゃんになって登場している 戦国無双とかで名前を知ってる程度ですけど、こんなに長生きしてたんですねぇ そして、タイトルの意味 星とはあの人の事であり、そうなった経緯 そして、同じ道を選んでいたら辿ったであろう人たちの終焉がこの物語なのですね その医者は実在した人のようで 出自など辻褄をあわせる形で物語の設定に組み込んでるようだ この話、どこまで史実なんでしょうね?

Posted by ブクログ

2023/08/12

戦歴の兵であり、島原・南目の村を支える庄屋、甚右衛門は悪政に耐えかねて年貢の準備をやめた。一方、反乱の引き金を引いた寿安は長崎で医道へ。 寡作ながら書けば名作ハズレなしと言われる飯嶋さんの、最高傑作との呼び声も高い本作は島原の乱の顛末を描いた歴史大作です。島原の乱といえば、学校...

戦歴の兵であり、島原・南目の村を支える庄屋、甚右衛門は悪政に耐えかねて年貢の準備をやめた。一方、反乱の引き金を引いた寿安は長崎で医道へ。 寡作ながら書けば名作ハズレなしと言われる飯嶋さんの、最高傑作との呼び声も高い本作は島原の乱の顛末を描いた歴史大作です。島原の乱といえば、学校の授業では天草四郎が主導した宗教戦争と習いましたが、近年では重税と圧政に苦しんだ民衆の一揆が主体だという説になっているそうです。一方で宗教戦争説も見直されたりして、本当のところはよくわかりません。 本作では、島原の領主、松倉家が課した非常識な税(年貢)とキリシタン弾圧で疲弊しきった民衆が、キリストの教えの元に結束して一揆を起こす、という圧政説に基づいたお話になっています。膨大な資料を読み込んで緻密に組み立てる飯嶋さんの重厚で圧倒的な描写力で、ある事件をきっかけに転がる様に崩壊に向かっていく人々の姿は他にも「神無し月十番目の夜」などでも描かれていて、どちらもその結末が明らかなだけに読むのが辛くなっていきます。 とくに、本作では反乱の目標が殉教による救い、つまり圧政から解放されて生きることではなく、死ぬことによる救いを目指したというこの世への絶望感が本当に切ないのです。 そしていつの時代でも利権と自分の身の回りの利益にしか目を向けない為政者達は幅を利かせますが、そうした我が身ばかりを大事にして道を踏み外す権力者への怒りと、人として生きるとはどういうことなのかを語りかける静かな情熱に胸が熱くなります。私利私欲・今だけ金だけ自分だけという政治は今の日本や世界でも収まるところを知らず、人間の本質とはこういうものなのだろうと絶望にも似た諦念を抱かざるをえない時代ですが、終章で寿安が人に向き合い、生きる道を選んだように、少なくとも自分は人として恥ずかしくない生き方をしたいものだと切に思うのでした。

Posted by ブクログ