独学術 ディスカヴァー携書088

白取春彦【著】

• 販売会社／発売会社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
• 発売年月日: 2012/09/14
• JAN: 9784799312254

商品レビュー

2024/10/20

独学手法について書かれた本じゃなくて、啓蒙書ですね〜。
学ぶにあたりの心掛けを説き(難しい本をたくさん読め、疑問を持て、常習飲酒すな等)、聖書をはじめとした宗教書をレコメンドしてくる。
この本での学びとは純然たる教養であり、すぐに役立つ実学ではないのです。
そのあたり勘違いさせる書籍名や腰巻の煽り文はイービルとすら言えるでしょう。
ただ、哲学者先生のエッセイだと割り切ってからは楽しく読めました。
オタクの学びを「嗜好物について情報収集してるにすぎない」と切り捨て、俳句を嗜む人に対しは「自己顕示欲を満たすくだらない趣味で時間を潰す」と毒づく。
ここまで振り切られると逆に面白いです。

とはいえですよ。
日々忙しい中、効率的に勉強するにはどうしたらよいのかと縋る思いで本書を手にとった私の期待を見事に裏切ったゆえ、評価は辛口二点をとさせていただきます。

2024/06/15

考えることは楽しい。問題点を見出して、調べ、思考を研ぎ澄ませて、物事を把握する。この本は、そのために著者が実践している技術を開陳したものだ。そしてその内容や指摘はなるほど、と深くうなずいてしまうものばかりだ。

特に宗教に関する指摘は鋭い。普段あまり宗教と関わりを持たない日本人にとっては盲点だが、あらゆる文化のベースに宗教があるというのは、異文化を理解するときには肝に銘じておくべきことだ。特にヨーロッパ文化の核には聖書があるという指摘はその通りで、「哲学者は、宗教が根源に神を置いてそこから世界を照らしていることをよく知っている。しかし哲学者は宗教にたよらずに自分の力だけで世界を照らしなおそうとしているのである」（112頁）という一文は慧眼だと思う。

ハリウッドもユダヤ関係者が多いからユダヤ教を侮辱するものは見当たらない、という指摘で、なんでホグワーツの校長がラビみたいな恰好をしているのか、その理由が分かった。

しかし、毎日酒を飲んでいる私には、著者のような禁欲的な生活はしろと言われても無理。というわけで著者が悪いわけではないけれど、★－１。

2024/04/02

書店で気になり、メルカリで購入。
学習好きを自称する身としては、「独学術」タイトルに目を惹かれた。

何をするにしても、どれだけ1人で追究しているかが、最も大切であるという本書の訴えには大きく賛同する。
ギタリストも、大学教授も、お笑い芸人も、これまでの過程に「1人で追究する多大な時間」があったからこそ、プロなのだと思う。探究的思考。

時間がないというのは逃げの論理であり、本当にやる気あるなら今すぐやり始めたら良い。
試験やテストに向けてではなく、自分が興味あるからこそ持続と深化を促進させる。
本に線を引く時は、読みながらではなく、読んでから。
このような意見も納得である。

ただ、筆者の「極端な姿勢」には、少しユーモアを感じるところもあった。例えば、まともな図書館が近所にないなら、さっさと引っ越しをすべきという意見。これには笑ってしまった。
でも、これくらい強く言える筆者のマインドはカッコ良くも思えた。

独学して自分を内側から輝かせること。
これは人間の美しさの一つである。
名言。