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昭和二十年夏、女たちの戦争 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
発売年月日 | 2012/07/25 |
JAN | 9784041003824 |
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昭和二十年夏、女たちの戦争
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昭和二十年夏、女たちの戦争
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商品レビュー
4.3
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※このレビューにはネタバレを含みます
著名な女性5名の「個人的な戦争体験」。 NHKのアナウンサーだったり、慰問団の女優だったり、緒方貞子さんだったりするので、市井の方とは少し違うこともあるが、当時の生の様子が垣間見えて興味深かった。ちょうど母と同年齢の方の話もあり、そんなふうだったのかな、ということが、少し想像できた。 戦時中、つづらに入れておいた遺体が盗まれたり、艦載機の機銃掃射で追われた際に米兵の笑う顔が見えたり、敗戦の日、働こう、と誓ったり、教科書に墨を塗りながら泣き出す先生の話や、戦時中は男性に代わって放送戦士と言われたのに、戦後、男たちが復帰してきたらアナウンサーの職場を追われたり、戦時ならではのエピソードがある一方で、今に通じる話も多い。女性ならではの視点や意見もある。 緒方貞子氏からの「自分のサイクルで生きながら長期戦で構えたほうが良い」との後進の人へのアドバイスも胸に響くが、やはり、吉武輝子氏のエピソードが一番衝撃的だった。米兵からの集団暴行という恐ろしい事件、しかし、そのことから、人間考察、民主主義についてまで深い考察をするところが圧巻だった。 「戦争とは兵士に、ある種の人格崩壊をもたらすのではないか。いつ生命を落とすかもしれない緊張に常にさらされている状況では、恐怖は憎しみに容易に転化する。恐怖ゆえの憎しみは暴力となり、弱いものへと向かう」 「私は女同士の嫌な関係を見てきたら、女が女にやさしくあることがどんなに大事なことなのかがよくわかる。そのためには、自分がまずのびのびと自由に生きていないと駄目なのね。自分が抑圧されている人は、他人のことを抑圧するし、攻撃する」 こういった考察から、吉武氏は以下のように言う。 「女が女にやさしくしなければ民主主義は成り立たない」 これは、現代にも通じていることではないか。 でも、未来(現在)は、その当時思っていたものとは大きく違っていることと思う。 道を間違えてしまったことの根元に、こういった当時を生きた方々の一つ一つの小さな営みの積み重ねがある気がする。
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所謂「銃後」であった女性たちの証言。 取材された当時(もう亡くなられた方ばかりになってしまったが)、それぞれの分野で名を成した方ばかりであるためか、裕福な家庭に生まれた方ばかりのためか、予想より悲惨ではないな、と緒方貞子さんまでは思っていた。 が、最後の吉武輝子さんでガツンときた...
所謂「銃後」であった女性たちの証言。 取材された当時(もう亡くなられた方ばかりになってしまったが)、それぞれの分野で名を成した方ばかりであるためか、裕福な家庭に生まれた方ばかりのためか、予想より悲惨ではないな、と緒方貞子さんまでは思っていた。 が、最後の吉武輝子さんでガツンときた。 多分、この本を読んだ人はみんなそうなんじゃないか。 想像を絶するほどの経験。奪われたのは肉体ではなく「幸せになろうとする意志」だった、と。この壮絶な体験が吉武さんの人生にどれだけ大きな影響を及ぼしたかと思う。 著者がつらい経験をプラスに転化できたように見えると吉武さんに言ったあとの言葉も忘れ難い。 戦争中に行った教育を悔いる女性教師の姿も。 緒方貞子さんは裕福なだけでなく非常に知的な家庭で育ち、その教養、賢さ、行動力を難民支援などに使った。これを名家のお嬢様で恵まれていたからとやっかむ人もいるが、本来こうあるべきでは。 吉武さんのように生きる気力を失うほどの経験をせず、社会的弱者支援に能力を使う。 これこそ理想的な生き方であるように感じた。 吉武さんの最後の言葉を実践したのが緒方貞子さんであるように思える。 こんな経験は誰もしないほうがいい。 しかし、今も同じ経験をしている女性がいることを忘れずにいたい。
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「梯久美子」のノンフィクション作品『昭和二十年夏、女たちの戦争』を読みました。 先日、「青島幸男」の『人間万事塞翁が丙午(にんげんばんじさいおうがひのえうま)』を読んで、戦時下を過ごした女性の実際の姿を知りたくなったんですよね。 「梯久美子」作品は昨年の夏に読んだ『散るぞ悲し...
「梯久美子」のノンフィクション作品『昭和二十年夏、女たちの戦争』を読みました。 先日、「青島幸男」の『人間万事塞翁が丙午(にんげんばんじさいおうがひのえうま)』を読んで、戦時下を過ごした女性の実際の姿を知りたくなったんですよね。 「梯久美子」作品は昨年の夏に読んだ『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』以来ですね。 -----story------------- 妻でもない、母でもない、女として戦時下を生きた5人の女性の証言! 人生で最も美しい時を戦時下で過ごした5人の女たち。 作家「近藤富枝」、評論家「吉沢久子」、女優「赤木春恵」、元JICA理事長「緒方貞子」、作家、評論家「吉武輝子」。 明日の見えない日々にも、青春の輝きがあった。 妻でもなく、母でもなく、ただの若い女性だった彼女たちは、あの戦争をどのように生き抜いたか。 大宅壮一ノンフィクション賞受賞の作家が綴った、あの戦争の証言を聞く、シリーズ第2弾。 ----------------------- 『人間万事塞翁が丙午』の主人公「ハナ」よりは10歳~20歳くらい若い世代… 10代~20代で終戦を迎えた五人の女性の証言を「梯久美子」がノンフィクション作品としてまとめた作品です。 一人ひとりの女性の体験が、以下の五章構成で描かれています。 ■実らないのよ、なにも。 好きな男がいても、寝るわけにいかない。 それがあのころの世の中。 それが、戦争ってものなの。 (近藤富枝) ■空襲下の東京で、夜中に『源氏物語』を読んでいました。 絹の寝間着を着て、鉄兜をかぶって。 本当にあのころは、生活というものがちぐはぐでした。 (吉沢久子) ■終戦直後の満洲、ハルビン。 ソ連軍の監視の下で、藤山寛美さんと慰問のお芝居をしました。 上演前に『インターナショナル』を合唱して。 (赤木春恵) ■はじめての就職は昭和二〇年春、疎開先の軽井沢。 三笠ホテルにあった外務省の連絡事務所に、毎日、自転車をこいで通いました。 (緒方貞子) ■終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。 一四歳でした。 母にだけは言ってはいけない。 そう思いました。 (吉武輝子) ■薔薇のボタン ― あとがきにかえて 戦中から戦後にかけて、価値観も環境も大きく変化する中、辛い体験を経て生き抜いた証言は、生々しく、そして共感する部分も多かったのですが、、、 女性の証言を女性がまとめた作品ということもあってか、感情移入するというところまでは至りませんでしたね。 でも、戦時下を生きた女性の喜びや不安や悔しさには強く共感できたし、そして戦後を前向きに生きようとする逞しさには学ぶべきものが多いと感じました。 そして、これまで具体的なイメージが湧かなかった、戦時下におけ市井の市民の生活、の銃後の生活が、少し鮮明になりましたね。
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