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日本はなぜ開戦に踏み切ったか 「両論併記」と「非決定」 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2012/06/22 |
JAN | 9784106037108 |
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日本はなぜ開戦に踏み切ったか
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商品レビュー
4.1
19件のお客様レビュー
今まで読んだ開戦モノの本の中でも非常に分かり易い。内閣と統帥部。軍令と軍政。開戦と外交について、とかく二元論で語られがちな開戦へのプロセスにおいて、体裁を繕うことを重視したために明るそうなシナリオとしての開戦が残ってしまい、かつそれがアメリカの思うツボだった、と理解すべきなのだろ...
今まで読んだ開戦モノの本の中でも非常に分かり易い。内閣と統帥部。軍令と軍政。開戦と外交について、とかく二元論で語られがちな開戦へのプロセスにおいて、体裁を繕うことを重視したために明るそうなシナリオとしての開戦が残ってしまい、かつそれがアメリカの思うツボだった、と理解すべきなのだろう。 最も希望を持てそうな選択肢が南方資源確保のための開戦であり、しかしながらそれは希望的観測に根拠を置く粉飾に満ちた数字合わせの所産であった…P.157のこの言葉は重い。 プリンシプル(原則)が無いと言われても仕方なかろう。また、外交か戦争かという対立軸ではなく本来なら臥薪嘗胆と戦争・外交のセットの間により本質的な対立があったという一文も重要である。
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タイトルどおり、「日米開戦」にいたる41年9月以降の政策決定プロセスを丹念にミクロにおっかけて説明した本。 「日本はどうしてアメリカを相手に負けるに決まっている戦争を始めたのだろうか?」という長年の疑問が解けたような気がする。 結局のところ、だれもが自分の部門の利益とか、メン...
タイトルどおり、「日米開戦」にいたる41年9月以降の政策決定プロセスを丹念にミクロにおっかけて説明した本。 「日本はどうしてアメリカを相手に負けるに決まっている戦争を始めたのだろうか?」という長年の疑問が解けたような気がする。 結局のところ、だれもが自分の部門の利益とか、メンツとか、責任を追いたくないとか、そういうレベルでしか考えていなくて、国全体の利益という観点で考える人がいない。 そして戦争を通じて得たいものが明確にあるわけではない。というか、これまで得た権益を失いたくないというだけ。「自衛」も立派な動機かもしれないが、どっちかというとこういう事態になったことの責任を負いたくないだけ、に見えてしまう。 残念ながら、そんなプロセスで、多分、だれも勝てると思っていない戦争がきまってしまう。勝てないけど、座して死を待つよりはいいだろうと。。。。。でも、座していたら、ほんとに死ぬのかどうかもわからないわけで。。。 こうしたことが、わかったからと言って、すっきりするわけでもなく、なんか脱力してしまった。 そして、こういうのって、今も違うテーマでやっているな〜。 政府だけでなくて、会社とかでも。
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『経済学者たちの日米開戦-秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く-』、「なぜ必敗の戦争を始めたのか―陸軍エリート将校反省会議」参照。 以下、引用。 それでは臥薪嘗胆、外交交渉、戦争という三つの選択肢から、なぜ臥薪嘗胆が排除されたのだろうか。それは臥薪嘗胆が、日本が将来に蒙るであろう...
『経済学者たちの日米開戦-秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く-』、「なぜ必敗の戦争を始めたのか―陸軍エリート将校反省会議」参照。 以下、引用。 それでは臥薪嘗胆、外交交渉、戦争という三つの選択肢から、なぜ臥薪嘗胆が排除されたのだろうか。それは臥薪嘗胆が、日本が将来に蒙るであろうマイナス要素を確定してしまったからであった。これに比較して、外交交渉と戦争は、その結果において曖昧だった。つまり、アメリカが乗ってくるかどうかわからない外交交渉と、開戦3年めからの見通しがつかない戦争は、どうなるかわからないにもかかわらず選ばれたのではなく、ともにどうなるかわからないからこそ、指導者たちが合意することができたのである。 ここで、改めて日本が検討した選択肢と想定された結果を整理してみよう。審議の過程で排除された英米不可分論(対英蘭戦)も含めて表3にまとめてみた(P159)。採択されなかった英米可分論と臥薪嘗胆が1と2、実際に採択された外交交渉と対英米蘭戦が3と4である。このように並べてみると、採択された選択肢が最良の結果を期待していたことが、一目瞭然である。 採択されなかった選択肢は最悪の結果を恐れて排除されていた。英米可分論は、危険な要素(英蘭の植民地を攻略したとしても、石油などの輸送ルートの横腹をアメリカに晒すことになる。アメリカが突然参戦に踏み切ったら、守る術はない)という最悪の結果が早々に選択され、日本の取りえるオプションとして排除された。もうひとつの臥薪嘗胆論は最後まで残ったが、やはり、日本の身動きがとれなくなった段階でアメリカ艦隊に来攻されるという最悪のケースへの懸念を排除できずに却下された。 一方、再検討の結果として採択された外交交渉、そしてこれが不成立の場合は戦争というに段構えの方針は、共に希望的観測を根拠としていた。その点で、最悪の想定を理由に排除された英米可分論や臥薪嘗胆とは、対蹠的である。つまあり、日本は最悪のケースに追い込まれることにおびえ、もっと最悪の事態を自ら引き寄せたことになる。もし、外交と戦争がその後の現実となった最悪のケース(外交で失敗し戦争に訴えて惨敗)を想定し、臥薪嘗胆が最良のケースを想定していたら、結論は逆になったに違いない。
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