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逆説の日本史(18) 黒船来航と開国交渉の謎-幕末年代史編 Ⅰ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2012/03/14 |
JAN | 9784093798310 |
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逆説の日本史(18)
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商品レビュー
3.8
14件のお客様レビュー
井沢さんの逆説シリーズを読んで歴史好きになったものです。ついにシリーズも幕末までやってきました。相変わらず、これまで知られていない事実が満載で、楽しく読めました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アメリカやロシアを怒らせた幕末日本のお粗末外交。その原因となった朱子学と日本人のメンタリィテー。これらの問題がこの巻に通底している。今の日本人においても通じるものがあるだけに、現代の問題としても学ぶべき点は少なくない。 1853年、アメリカ東インド艦隊司令長官マシュー・ペリー率いる「黒船艦隊」が浦賀に来航。「突然」の来航に幕府や浦賀奉行所は慌てふためいたというのが大半の日本人の認識だ。しかし、ペリー来航の情報は、これより1年前にオランダ商館長より幕府に伝えられていた。しかし、幕府は何ら手を打たなかっただけでなく、浦賀奉行所にも伝えていなかった。予測されうる危機に対して「何も準備をしなかった」のである。そして、ペリーやロシアのプチャーチンが開国を求めて来航するという事態に至って、老中首座阿部正弘は、「この先、日本をどうすべきか」と、これまで幕政に関与させなかった者(一介の浪士までも!)に対しても広く意見を求めることになるが、この対応は幕府の権威を失墜させる。 実際の交渉においても、「泥縄式」「二枚舌」「たらいまわし」「ぶらかし」「一時逃れの空返事」「遷延策」などを繰り出す。このような幕府の対応を予め研究していたペリーは、それまでのアメリカの(イギリスを反面教師にして)友好的な態度で交渉に臨んでいては、埒が明かないと悟り、「砲艦外交(gunboat diplomacy)」へと舵を切ったのである。アメリカの初代駐日総領事ハリスに至っては、「日本の役人は地上における最大の嘘つき」と激怒するほどだ。 また、当時日本で唯一英語に堪能なジョン万次郎を「讒言」でペリーとの交渉役から外したり、条約文を林復斎が意図的に「誤訳」したりと、お粗末外交しかできない幕府は、やがてその終焉を迎えることになる。 また、徳川幕府の安定のために取り入れたはずの朱子学(君主への絶対の忠誠を説く「哲学」であり「宗教」でもある)が、結局は討幕運動に繋がったというのは皮肉としか言いようがない。朱子学は、歴史を歪曲させ、海外の世情を踏まえた改革を遅らせるという問題があるうえ、「将軍家ではなく天皇家こそ忠誠の対象である」という信仰を産んだからである。そしてもうひとつ。楠木正成の勤皇の功を讃えた『日本外史』(頼山陽著)が1827年、元老中首座の松平定信に献上され、発刊され広く読まれたことが、多くの人々を勤皇の方向に導くことになったというのも、これまた皮肉である。
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エポックメイキングな黒船来航。教科書では、突然の来航と外圧による日米和親条約締結という説明がなされるが、それが本当だったのか推考している点に本書の価値がある。米国来航前のロシア通商要求やオランダ支援申し入れなど本書で初めて知る知識であい、当時の軍事技術から推察する蒸気船の「衝撃度...
エポックメイキングな黒船来航。教科書では、突然の来航と外圧による日米和親条約締結という説明がなされるが、それが本当だったのか推考している点に本書の価値がある。米国来航前のロシア通商要求やオランダ支援申し入れなど本書で初めて知る知識であい、当時の軍事技術から推察する蒸気船の「衝撃度」や江戸幕府の官僚的泥縄対応など非常に新鮮な視点で勉強になった。 明治維新に至る不平不満質量の温存も感じられ、本シリーズの直近作品の中で最も面白い。
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