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右利きのヘビ仮説 追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 フィールドの生物学6
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東海大学出版会 |
発売年月日 | 2012/02/20 |
JAN | 9784486018452 |
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右利きのヘビ仮説
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イワサキセダカヘビの下顎の歯の数が左より右が多いのは、右巻きのカタツムリを捕食しやすいように特化したという仮説を証明するために、著者は様々な行動、実験を行う。結構読んでいて面白い。著者の懸命な努力が分かるし、間に挟まれるコラムも結構興味を惹かれる。実験の結果、セダカヘビがカタツム...
イワサキセダカヘビの下顎の歯の数が左より右が多いのは、右巻きのカタツムリを捕食しやすいように特化したという仮説を証明するために、著者は様々な行動、実験を行う。結構読んでいて面白い。著者の懸命な努力が分かるし、間に挟まれるコラムも結構興味を惹かれる。実験の結果、セダカヘビがカタツムリを食べるとき首を右に曲げるという右利きということが分かる。その方が右巻きのカタツムリを捕まえやすいのだ。稀にいる左巻きのカタツムリだと上手く捕獲できずカタツムリを落としてしまう。この辺りの読んでいると、著者の熱がこちらに伝わってくる。右側の歯が多いこともカタツムリを殻から引きずり出すの都合がいい。セダカヘビが多くいる地域には、左巻きのカタツムリが他の地域より多いそうだ。セダカヘビの捕獲を避けるためにそんな風に進化したのか。 あとがきに、こんなことが書いてある。 生き物の持つ機能に対して存在理由を問うとき、「4つのなぜ」がある。例えば「赤信号で足を止めるのはなぜか」という問いに答えは4つあるのだ。「神経系からの命令を受けて足の筋肉が運動を止めるから」(至近要因)、「信号の赤い光線を視覚で認識するから」(発達要因)、「赤信号は停止の合図だとされているから」(系統進化要因)、「止まらなければ車に衝突されてしまうから」(究極要因)の4つである。前者の2点には、この本で取り上げられているイワサキセダカヘビについては、発達の過程で関わっている遺伝子が未知なので今のところ何も答えることができない。後者の2点には、セダカヘビは右巻きのカタツムリを効率よく食べるために非対称性を獲得したといえるのだ。 うーん、不思議なものだ。何らかの要因でそう進化したのか。それとも、具合のいい突然変異が生き残ったのか。いや、要因に合わせて突然変異が起こるのか。いろいろと考えてしまう。気持ちとしては、完全にすっきりしないが、学問とはこういうものなのだろう。
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8/13は左利きの日 人間と同じように、ヘビにも利き手があるのでは? 生き物の「右と左」に関する進化の物語。
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果たして左巻きのカタツムリが増えたのは、カタツムリを食べるヘビが右巻きのものを食べやすいように進化したからなのか。左右性に関する進化について記した文庫が出版されたとしたら、数ページだけさかれるような、限定的な研究内容。だがしかし、その確立のためには、ごく限られた地域に生息するイワ...
果たして左巻きのカタツムリが増えたのは、カタツムリを食べるヘビが右巻きのものを食べやすいように進化したからなのか。左右性に関する進化について記した文庫が出版されたとしたら、数ページだけさかれるような、限定的な研究内容。だがしかし、その確立のためには、ごく限られた地域に生息するイワサキセダカヘビを捕獲するために危険な石垣島の奥地を毎晩探索し、左巻きと右巻きが存在する貴重なオナジマイマイを手に入れ、飼育環境を整え、撮影方法を試行錯誤し、何日も待つ。それをまだ何の実績もない院生が成し遂げたというのだから、驚嘆の言葉しかない。多くの苦労と共に語られる研究過程に感じ入り、公聴会で評判になったときは嬉しくなり、論文投稿が何度もリジェクトされる姿には悔しくなる。そして読了後は自分の学生時代を思い出し、思わずため息をついてしまう。行動生態学の学生にかぎらず、研究室に配属される学生はすべからく読むべき一冊。
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