新幹線車両大全

イカロス出版

• 販売会社／発売会社: イカロス出版
• 発売年月日: 2011/11/28
• JAN: 9784863205260

商品レビュー

2022/10/14

『#新幹線車両大全』

ほぼ日書評 Day578

物理的に大きく重たい本。2011年刊なので、最新のものは除かれるが、いわゆるゼロ系新幹線から、東海道N700系、九州800系まで、シートピッチや窓サイズまでを網羅的に解説した一冊。

東海道新幹線でいえば、0, 100, 300, 500, 700と家族旅行から始まり、帰省、ビジネス出張等で、全世代お世話になり、その他にもスキーで乗ったMaxとか、我々世代にはなんともノスタルジーをそそる内容。

ただ、コンテンツはファクトを抑える一方で、開発者インタビュー等、そんなことが…と、改めて驚かされる内容盛り沢山だった。

幾つか興味深かった内容をあげておこう。

カーブの多い東海道新幹線では、直線部の最高速度を上げるよりも、曲線通過速度を上げる方が、全体での時間短縮につながる。
そのためにN700系から採用された車体傾斜。技術時代は在来線の「振り子」でも実績があったが、何より違うのがスピード。1秒違えば車両3両、75mズレるのだと。16両で全長400mの車両を順番に傾けていくという精度の実現が最難関だった。
これを実装することにより旧700系では全体の1/3しか270km/h走行できなかったものが、N700系では倍の2/3の区間としたという。

騒音を抑えるには500系のような尖った形状が有利。一方で居住性を犠牲にはできない。
さらに不測の事態で編成が変わってしまった際に、号車ごとの定員が異なると、座席指定済みのお客様にも他の車両に移ってもらう必要が出てくる。N700は旧700とそうした面でも整合性を取ったのだ。

九州を走る800系では、700系で賛否を呼んだ「カモノハシ型」を採用していない。これを可能にしたのは、車両ではなく、トンネル側の技術改良。高速通過による衝撃波を、トンネルが吸収できるようになり、この形状が実現した。

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