理論物理学入門

都筑卓司(著者)

• 販売会社／発売会社: 総合科学出版
• 発売年月日: 1988/04/01
• JAN: 9784881810170

商品レビュー

2025/12/15

本書は、叔父の書棚にあった古い本である。叔父は『理論物理学入門Ⅱ』も所有していたから、もともと本書はⅠとⅡの分冊版だったことがわかる。
合冊版（本書）にする際、分冊版の内容に削除と加筆を加えている。例えば、分冊版の第8章「記述の一般化」全体、第13章「虚数のはなし」の「複素数を利用する解法」と「交流理論」等を省略している。その代わり、合冊版（本書）に、新しい章として「量子論」と「原子内のからくりと量子条件」を書き加えている。いちおう「理論物理学入門」と銘打っているので、「記述の一般化」が省かれたことによって、内容の軽さが増したような気がする。もし『理論物理学入門』を読むなら、できれば分冊版にも目を通したほうがよい。ただし、分冊版の中古本はアマゾンで約3,000円もする。無論、それだけのお金を払ってまで読む価値は全くない。
都築卓司氏は「1970年頃から物理学に関する約40冊以上の著書を残した。講談社ブルーバックスでは17冊の著書を刊行」したが、その多くは、冗長なお話しが多くて内容が薄め（軽め）という印象である。本によっては、「単純な誤字脱字から根本的な間違いまで、校正が必要な箇所が余りにも多い」と批判されている。
物理学の啓蒙書を読むなら、現代風の、きちんとした別の著者の本を読んだほうが、時間のムダにならないと思う。

お終い