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楡家の人びと(第三部) 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2011/07/04 |
| JAN | 9784101131597 |

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楡家の人びと(第三部)
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商品レビュー
4.6
23件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
10章のうち8章までが戦争中を描き、残りの2章も終戦直後の物語である。 戦争に翻弄される楡家とその周辺の人々の群像劇が描かれていく。 第一部からここまでかなり長かったが、読み終わってみると多くの人々の人生を実際に体験したような感覚が残っている。その「長さ」そのものに意味と重みが宿っている、そんな小説だったように思う。 桃子と藍子の人生は幼少期と成長してからの落差があまり大きくなんともやりきれない。 龍子は強い。常に我道を行き、負けない。基一郎の血の濃さが感じられる。 中でも周二の戦時中と敗戦後の黙示録的・虚無的な考え方は非常に印象的であり、もし自分が同じ時代に生きていたなら、似たような考えに囚われていたかもしれないと想像させられた。 少し引用してみる。 ・戦時中の思考 「いずれはこの内地に敵の上陸軍を迎え討たなくてはならず(中略)そこでは勝敗は別としてありとあらゆるものが轟然と音を立てて崩壊し、敵味方の別なく絢爛たる破壊と祝祭に似た死が訪れるはずであった。そしてそう思い信じるとき、周二の心は不安や絶望から解き放たれた。なぜなら、それは自分一人の死ではなく、すべてのものの上にあやまたず降ってくる巨大な神聖な死であったから。」(p.212) 「死は日常茶飯事のことであり、取るに足らぬおびただしい小石ほどそこらにころがっているものなのだ。もしかすると、基本的な生の涯に死があるという考えが、そもそもの誤りであり欺瞞なのではあるまいか。死が根本であり土台であり、生がその上に薄くかぶさっているというのが真相なのではないか。(中略)生は仮の姿であり、死が本来の姿なのだ。たまたま戦争という偶発事によって、それまで怠惰にたれこめていた引幕が開かれ、死はようやく暗い蔭の領土から足を踏み出し、おおっぴらな天日の下、白昼の中にまで歩みを進めるようになったまでだ。」(p.226) ・終戦後の思考 「敵の本土上陸に備えて地下陣地を構築していたときは、確かにいきいきとしていたその顔は、今はいつも投げやりに、陰気に曇っていた。なにより彼は、『死に遅れた!』という感情から離れることができなかった。あの豪華な、絢爛とした、壮大な『死』への幻想、それはとうに灰のように崩れ落ちてしまっていた。」(p.372) 「『人間を一人くらい殺してそれがどうしたというんだ。莫迦々々しい。何にもないのだ。実際この世には何にもないのだ……』」(p.373)
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四十数年ぶりに読了。昔新潮文庫で上下巻だった時に上巻の途中で投げ出してしまったのをやっと読み終えた。読み終えるの惜しい感じは久方ぶりに味わった。終わり方がこんな『風と共に去りぬ(映画)』みたいだと思わなかったが、たぶんあまり終わり方はそれほど重要ではないんだな。登場人物にそれぞれ...
四十数年ぶりに読了。昔新潮文庫で上下巻だった時に上巻の途中で投げ出してしまったのをやっと読み終えた。読み終えるの惜しい感じは久方ぶりに味わった。終わり方がこんな『風と共に去りぬ(映画)』みたいだと思わなかったが、たぶんあまり終わり方はそれほど重要ではないんだな。登場人物にそれぞれ、今も生きている日本人的なものの元型がある。
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戦時中の楡家の人びとの話。 何だか皆んな、可哀想。 あの熊五郎ですら可哀想。 それであって龍子だけはずっと、太々しい。 この先ももっと読みたかったな。 この小説みたいな小説があったら教えてほしいです。
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