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教科書の中の宗教 この奇妙な実態 岩波新書
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教科書の中の宗教 この奇妙な実態 岩波新書

藤原聖子【著】

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教科書の中の宗教 この奇妙な実態 岩波新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2011/06/23
JAN 9784004313137

教科書の中の宗教

¥220

商品レビュー

3.8

18件のお客様レビュー

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2023/03/14

日本のおもに倫理の教科書で扱われる宗教について論じた本。同じ著者の「世界の教科書でよむ〈宗教〉 (ちくまプリマー新書)」を併せて読むとより理解が深まる。 日本は政教分離制を取っており、教科書では特定の宗教に肩入れすることなく「中立・客観」的に各宗教を扱っていると、当然のように思...

日本のおもに倫理の教科書で扱われる宗教について論じた本。同じ著者の「世界の教科書でよむ〈宗教〉 (ちくまプリマー新書)」を併せて読むとより理解が深まる。 日本は政教分離制を取っており、教科書では特定の宗教に肩入れすることなく「中立・客観」的に各宗教を扱っていると、当然のように思い込まれていたが、実はそうでもないぞということが書かれている。 宗教教育は、宗教色の強い順に、「宗派教育」「宗教的情操教育」「宗教知識教育」の三つに分類される。公教育で「宗教的情操教育」を行うか否かが新学習指導要領の争点だったらしいが、それ以前から「宗教的情操教育」どころか「宗派教育」的な記載が教科書に存在していることを筆者は指摘している。 本書では、日本の教科書における宗教記述の偏りや、海外の教科書におけるさまざまな工夫が述べられたのち、公教育で宗教をどう扱うべきかという議論に踏み込んでいく。そもそもさまざまな宗教を中立的に扱うということが、さまざまな立場の人たちにとって本当に中立なのか?という問いもあり、興味深かった。 ちくまプリマー新書のほうを読んでいるときにも感じたが、教科書というものは、決して正しい知識を中立の立場で書かれたものとは限らず、各国の政府が自国民にどのような考えを持ってほしいかということが強く反映されるものなので、どういった価値観に基づいてそれが書かれているのかということは、常に気をつけないといけないと感じた。

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2019/07/08

宗教学者として高校の倫理教科書の執筆に関わった経験には、かなりモヤモヤとしたフラストレーションがあったものと推察される。そのモヤモヤを世界の宗教教育に関する知見を元に分析したのが本書であるといえるが、ここに、日本の公教育においてどのように宗教を教える(考えさせる)べきか、正解が明...

宗教学者として高校の倫理教科書の執筆に関わった経験には、かなりモヤモヤとしたフラストレーションがあったものと推察される。そのモヤモヤを世界の宗教教育に関する知見を元に分析したのが本書であるといえるが、ここに、日本の公教育においてどのように宗教を教える(考えさせる)べきか、正解が明らかにされているわけではない。それで、第6章末尾のような結論になるのだろう。著者同様、自分もモヤモヤしたが、その結論に納得したことに意味があるのであろう。

Posted by ブクログ

2016/07/13

日本の教科書における宗教の扱われ方の諸問題。 宗教を知識として伝えるにしても、価値中立的にはできない。編纂側の価値が出てしまう。「伝える」ことの限界か。考えさせることはもとより、感じさせることも大事ではないか。 理想型があるわけではないが、「いつのまにか」「無宗教」ではなく、...

日本の教科書における宗教の扱われ方の諸問題。 宗教を知識として伝えるにしても、価値中立的にはできない。編纂側の価値が出てしまう。「伝える」ことの限界か。考えさせることはもとより、感じさせることも大事ではないか。 理想型があるわけではないが、「いつのまにか」「無宗教」ではなく、「選び取った」「無宗教」にも力点を置きつつ、宗教を侮蔑しない態度をどう養うかが求められると感じた。 ちくまプリマ-の同著者のものとは重なる部分が少なく、併せて読んで良かった。 ・哲学史の概説書で,ソクラテスやプラトンを批判しているものはどれぐらいあるだろうか。キリスト教や仏教も同じ。 ・現在、国際的・学界的には「バラモン教」という呼称は不適切とされており、「ヴェーダの宗教」等の表記に変わっている。 ・20世紀後半には、学界では「アニミズム」は差別語とみなされている。 ・一般論としては、相違点も共通点も両方示すのが「比較」。だが、日本の教科書でおこなわている「対比」するという行為は、序列化・ステレオタイプ化という差別的権力の発揮になりやすい。 ・宗教に見られる勝利主義史観への反省。 ・「政教分離」はジェファーソンが書簡で用いただけ。 ・聖教新聞を示唆する話し。 ・倫理や現代社会の教科書は「宗教は本質的に愛の教え」と説き、他方、地理の教科書は世界の宗教紛争を取り上げ、「宗教の違いはよく対立の原因になる」と論じる。その間をつなげる教育が必要。 ・正しい宗教を一つだけ学びたい人と諸宗教を教養として学びたい人の中間点とはどのような教育になるのか。重要なのは教科書の記述がどのような価値観に基づいているか意識すること。

Posted by ブクログ

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