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死の所有 私刑・殺人・動物利用に向きあう哲学
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 2011/01/25 |
JAN | 9784130101196 |
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死の所有
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商品レビュー
4.5
3件のお客様レビュー
死刑論(とりわけ死刑廃止論)は無数にあるが、いずれも歴史的もしくは法学的なアプローチがほとんどであり、哲学的な死刑論にお目にかかることはほとんどない。本書は哲学者である著者が、死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用等々のテーマに取り組んだ野心作である。 本書において一ノ瀬は...
死刑論(とりわけ死刑廃止論)は無数にあるが、いずれも歴史的もしくは法学的なアプローチがほとんどであり、哲学的な死刑論にお目にかかることはほとんどない。本書は哲学者である著者が、死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用等々のテーマに取り組んだ野心作である。 本書において一ノ瀬は「死の所有」という観念を提示する。だれか(とりわけ身近なだれか)の生命が何者かによって不当に奪われたとき、われわれは代償としてその何者かの生命をも奪うべきだと考える。死刑の感情的正当性もそこに求められるだろう。しかしよくよく考えてみるとこの理屈はおかしい。殺人犯の命を奪ったところで、被害者の命が補填されるわけではない。死ぬことは生命が消滅することであって、生命が差し出されることではない。差し出されるのは生命ではなくむしろ死である。死刑が所有権の「喪失=賠償」として解釈されているのだとすれば、そこには「死の所有」という倒錯した観念が虚構されている。だがそれはむろん幻想に過ぎない。よって死刑とはそもそも不可能なのである――。 本書において展開されている議論のテーマは、個人的には全て大いに興味のある問題であるし、結論としては著者の方向性(死刑の廃止、食肉の禁止、等々)に異存はない。にもかかわらず本書を読んでいて、なぜかほとんど共感することができなかった。少なくとも本書に「哲学」を感じることはできなかった。 例えば著者は動物の殺戮を嫌悪し、だからこそ食肉を拒絶する。首尾一貫しているように見える。しかし調理された肉を食べなかったところで、すでに殺されている動物が生き返るわけではない。もうこれ以上動物が殺されないようにすることが著者の願いであるならば、すでに殺された動物の肉を食べることに問題はないはずであろう。いいや、そうではない。食肉を忌避することによって、食肉という文化を否定し、これ以上動物が殺されないよう訴えることに矛盾はない、という反論があるかも知れない。しかしその理屈は、死刑を執行することによって、これ以上殺人事件が起こらないようにするという死刑擁護論と同断ではないだろうか。動物愛護精神に基づく食肉忌避は、犯罪抑止効果を論拠とする死刑執行を正当化してしまうのではないか。 しかしそのような時間的議論には立ち入らず、本書は空間的議論に終始し、固定したパラダイムの上を横滑りしているという印象を受ける。著者の並々ならぬ思い入れは感じられるが、むしろそれだけに好き嫌いが分かれる一冊であろう。
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死とは何か。いのちとは? ロックの所有権論を基礎に、「死の所有」を元に論考が繰り広げられる一冊。 死刑制度、尊厳死・安楽死、動物実験などの話題にも言及。 哲学・思想関係の書籍であるものの、丁寧に引用などが行われており理解しやすい一冊。 動物実験などに関する考え方については一部同...
死とは何か。いのちとは? ロックの所有権論を基礎に、「死の所有」を元に論考が繰り広げられる一冊。 死刑制度、尊厳死・安楽死、動物実験などの話題にも言及。 哲学・思想関係の書籍であるものの、丁寧に引用などが行われており理解しやすい一冊。 動物実験などに関する考え方については一部同意しかねる(と言うよりはそれ以前の段階で、何となく受け入れかねるといった程度か)部分があるものの、「死の所有」という概念は中々面白く感じた。
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ゆっくり検討してみようかと思ったが死刑不可能論のあたりであきらめそうになる。 生命倫理の方もちょっと・・・。 でも自分でいろいろ考えてバグ出ししながら読むのにはよい本だと思う。機会があればゆっくり検討したいけど、時間あるかな。 オジリナルな発想をつきつめてみると...
ゆっくり検討してみようかと思ったが死刑不可能論のあたりであきらめそうになる。 生命倫理の方もちょっと・・・。 でも自分でいろいろ考えてバグ出ししながら読むのにはよい本だと思う。機会があればゆっくり検討したいけど、時間あるかな。 オジリナルな発想をつきつめてみるという態度はすばらしい。明晰なので読んでて気分悪くなることもない。 5章はおもしろい。
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