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ピエール・リヴィエール 殺人・狂気・エクリチュール 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2010/08/05 |
JAN | 9784309463391 |
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ピエール・リヴィエール
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ピエール・リヴィエール
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商品レビュー
4.4
10件のお客様レビュー
19世紀のフランスで起きた殺人事件の資料と、それについての論考。実の母、妹、弟の3人を殺したピエールは、狂人なのかそうじゃないのか。様々な証言や、ピエール自身が残した手記を巡り、様々な考察がなされる。
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ピエール・リヴィエール---殺人・狂気・エクリチュール。ミシェル・フーコー先生の著書。19世紀のフランスで発生した親族間の殺人事件の研究成果をまとめた一冊。現代日本は個人主義や利己主義が新党しているけれど、その一方で少子高齢化で家族間の過干渉や親離れ、子離れができない家庭も増えて...
ピエール・リヴィエール---殺人・狂気・エクリチュール。ミシェル・フーコー先生の著書。19世紀のフランスで発生した親族間の殺人事件の研究成果をまとめた一冊。現代日本は個人主義や利己主義が新党しているけれど、その一方で少子高齢化で家族間の過干渉や親離れ、子離れができない家庭も増えています。そうすると親族間トラブルや親族間事件もどんどん増えていきそうに思います。
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少年ピエール・リヴィエールが自分の母親と弟と妹を殺した事件に関わる全資料(調書、新聞記事、裁判記録、リヴィエールによる手記等)と、フーコーを中心としたゼミの人たちによるコメントの記録。 リヴィエールは、妄想を見ているような発言をしたり、実際に狂気的犯行に及んでしまう等の狂気的側...
少年ピエール・リヴィエールが自分の母親と弟と妹を殺した事件に関わる全資料(調書、新聞記事、裁判記録、リヴィエールによる手記等)と、フーコーを中心としたゼミの人たちによるコメントの記録。 リヴィエールは、妄想を見ているような発言をしたり、実際に狂気的犯行に及んでしまう等の狂気的側面を持っているが、同時にその過程を手記として書き記したり、幼いころから読書に没頭することがあったりと理性的側面も持っている。このことが彼に対するさまざまな判断や解釈にゆらぎを与え、その判断に対する解釈に対する解釈も複数可能になっていると言える。それがこのリヴィエールに関する事件と、それについての多様な言説の面白さである。 中心的な事柄を時間系列で並べると以下のようになる。 1835年6月3日、事件発生 同年7月5日、ピエール逮捕 同年7月9日、最初の尋問:この尋問の中でピエールは、神の命を受けた者とそうした役を演じる者の二者の人格を使い分けている。また、このときに手記を書き提出することを約束する。 同年7月10日、手記を書き始める。 同年10月18日、提出された手記をもとに二度目の尋問。 同年7月21日、手記を書き終える。また、ブシャール博士による診断がある。彼に疾患は認められないという内容。 同年10月25日、ヴァステル博士による診断。幼いころから狂気にあるという内容。 同年11月11日、死刑判決 同年11月15日、弁護士・聴罪司祭・父親の説得のもとでピエールが上訴に署名したことが報じられる。 同年11月22日、ピエールが自殺を試みたことが報じられる。 1836年1月16日、上訴棄却。 同年2月10日、恩赦受理により、減刑。終身禁錮刑に。 1840年10月20日、ピエール自殺。 1.動物、狂人、死(ジャン=ピエール・ペテール、ジャンヌ・ファブレ) 手記を見る限りピエールは正常であるということ。また、ピエールの行いは暴君に対する正義の執行であり、それは彼を狂人と判断することと同型であるということ。 2.物語られる殺人(ミシェル・フーコー) リヴィエールはこの事件のauteur(作者=犯人)であり、また、この事件があることでこの物語は語られることが可能になった。そのとき、その物語へと働く力は真理・世論・科学の三種類であったということ。 以下気になった点を二つ。 1.原文を確認しなければ何とも言えないが、事件当日の様子に関する記述に対して、母と祖母が混同される場合が散見される。それは、目撃証言のなかでピエールが祖母を指して「母」と呼んでいることがあること。手記の中ではそれを「祖母」と認識していること。さらに、最後に取り上げられているチラシの中で、リヴィエールの事件当日の会話の相手が祖母ではなく母とされていること。この取り違いは興味深い。 2.リヴィエールの父親が、上訴をするようにリヴィエールに訴えていること。リヴィエールは、父親が可愛がっていた弟を殺す理由として、父と自分の関係を完全に切り離すためと言っている。つまり、この犯行の後に父親に愛されてしまってはこの犯行の目的は達成されないはずである。しかし、結局父親は、リヴィエールに対して愛情を見えることになっている。これはリヴィエールにとっては、目的の不達成であり、それゆえ彼を苦しめる原因となっているように思われる。おそらく、彼は父親が自分を恐れていないと知った時、同時に父親は彼を惜しんでいることを知ったのである。しかし彼はもう父親のもとに行くことができず、父親が抱える空白を埋めることができない。さらに、自分が弟を殺したことは結果的に、父親の空白を広げる結果になったのであり、そしてそれは自分の行為が原因となっているのである。それはたぶん、リヴィエールにとってはつらいことだろう。彼が父親のために行った行為が、結果的には父親を苦しめてしまっているのだから。
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