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“始まり"のアーレント 「出生」の思想の誕生
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2010/07/15 |
JAN | 9784000244596 |
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“始まり"のアーレント
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
優れたレビューが既にあるので本書の内容について付け加えることはない。一つだけ言うとすれば、狭い意味で政治学的にアーレントを理解するだけでは不十分であるということだろう。政治学的には全体主義批判や民主政治の基盤として対話の契機に着目するわけだが、さらにその根底に宗教的な、と言って悪...
優れたレビューが既にあるので本書の内容について付け加えることはない。一つだけ言うとすれば、狭い意味で政治学的にアーレントを理解するだけでは不十分であるということだろう。政治学的には全体主義批判や民主政治の基盤として対話の契機に着目するわけだが、さらにその根底に宗教的な、と言って悪ければ人格的な、でありながら、超世界的(彼岸的)でも非世界的(私的)でもない世界への愛がなければならない。そこには人間が世界に生まれ、世界を去り行く、つまりは死す可き存在でありながら、であればこそ不死を願わずにはいられず、そしてまた、この人間だけが公的空間への参与を通じて、世界において不死なるものに連なることができるという確信がある。その確信を支えているのは、出生という奇跡、世界に生まれてくる命への驚きと歓びに他ならない。 こうした読み方が法学部で政治思想を講じる研究者から出てきたというのが面白く、また頼もしくもある。森川氏の京大法学部での師は浩瀚なハイデガー研究をものした小野紀明氏だが、小野門下には著者の後輩に作家の平野啓一郎氏がいた。評者は小野氏の師である勝田吉太郎氏の指導を受けたが、勝田氏の政治思想の根底には透徹したドストエフスキー理解があった。さらに勝田氏の師である猪木正道氏は、学生が教養課程で世界の文学作品をみっちり読み込むことの意義を説いていた。政治学に限らず社会科学の基礎には人間への深い理解がなければならない。ある意味で乾いた学問をやる法学部の中にあって、森川氏にはオアシスのような文学的・人文主義的伝統を今後も絶やさないでもらいたい。
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『人間の条件』や『革命について』で示される「始まり」というアーレントのキーワードを、彼女が20代のころに書いた『アウグスティヌスにおける愛の概念』、『全体主義の起源』初版・第二版などを経由しつつ、その内実の変容過程を詳細に論じた研究。
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