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岬にての物語 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1978/11/27 |
JAN | 9784101050263 |
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岬にての物語
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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
(2024/05/06 3h) 自分、三島由紀夫が好きだって言ってたけど、短編は好きじゃないのかも…。 『花ざかりの森』が好みのかたは、良さが分かるのかもしれないです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
鵜原海岸を舞台にして三島由紀夫が書いた作品があると知って手に取った。 鵜原海岸の現実離れした美しい佇まいを描き、爽やかな緑やオルガン、白い廃屋など西洋的な彩りを背景にうつくしい少女と少年の純粋な束の間の永遠の恋を描いた作品。 第二次世界大戦末期にこんな美しい世界を作り出したことに感服。
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短編も面白い…と久しぶりの三島由紀夫ブームが私に到来しています。 特に好きだった作品について、、 「岬にての物語」私は読んでいて鏡花の『春昼・春昼後刻』を思い出していたのだけど、鏡花は散策子としてあくまで傍観者、"見る側"なのに対して、三島の方はどう見ても三島由紀夫にしか見えない少年が"見る側"兼物語の積極的な登場人物として描かれていて(まあ"見る側"としての要素は強いけれど)、いわゆる認識と行動であったり、 最後の「…人間が容易に人に伝え得ないあの一つの真実、後年私がそれを求めてさすらい、おそらくそれとひきかえでなら、命さえ惜しまぬであろう一つの真実を、私は覚えてきたのである。」広義の美だなと思うのですが、などなど三島が好きそうな要素(=私が好きな要素)がちりばめられている。 それにしても、心中に水は絡まざるをえないのかしら 「夏の名残の薔薇だにも はつかに秋は生くべきを きょう知りそめし幸ゆえに 朽ちなん身こそはかなけれ」あの薔薇を思い浮かべる 「頭文字」こちらは『外科室』のイメージがつきまとうのだけど、私の好きな恋愛小説ですね。 「…やがて宮のもとへ朝倉中尉の戦死が伝えられた。妃があの幻影を見たと同時刻に、中尉は心臓を射貫かれて斃れたのである。そのしらせがお手許に届いたとき妃は顔いろもお変えにならなかった。しかしその日以来喪服を身にまとわれ、爾後けっして宮と寝室を共になさらなかった」 いいよねえ、うっとりしちゃうよね。ASとナイフで刻んだ時の「やばい」感と、それを大事に別の男に嫁いで、子供を産んだ後は心をその男にささげた女…。あの夜以来再会できていない二人は、二人の間にある神聖な絆を信じ、来世を信じているというその確信にうっとりしちゃう。お互いそんなに時間を過ごしていないからこそのだと思うけれど、小説だから美しいよね。 「親切な機械」いやーこれもとても気に入った一作 元カノをなんだか取られるのは面白くないような、でも彼女は新しい男に殺されることは望んでいるという。そして男は女を殺す。見出しからは想像できないような、でもこんな話があったら美しいだろうなと思う話に仕立てる三島由紀夫、さすがである。。。後記に記されているように、「事件というものが一種の古典的性格をもっていることは、古典というものが年月の経過と共に一種の事件的性格を帯びるのと似通っている。事件も古典と同じように、さまざまの語り変えが可能である。この小説もその語り変えの一つである」ということだ。 結婚なんてケッと思ってしまうけれど、猪口の純粋さがかわいらしくもある。あくまで傍観者の元カレ(その時惚れている女には敬語を使うというのも、なんだか愛嬌がある) 「牝犬」も本作と似ているところがあるなーと思いつつ、ヒモ男が年上ストーカー養い女から逃げる様は、なんだか今風だななんて思ってしまいました 「椅子」 これまた三島由紀夫ご本人(平岡公威君と言った方が良いかもしれぬが)の話を透徹な眼で見ながら、フィクションも混ぜ込むなかなかの一品。「…すると二階の藤椅子から母が見ていたものは、とりもなおさず、母自身の姿ではなかろうか?」 「志賀寺上人の恋」 高僧と御息所の身分違いの恋もどきな想いと、現世と来世、解説にもある「現実(実在)と非現実(不在)の相克」というのがうまく絡みあって一つの絵草子のようになっているのがなんともいえない 「水音」可哀想な兄妹 貧しさと病と兄妹という関係性とが立ちはだかり、解説の「父を殺す相愛の兄妹…これらの愛には禁断、不可能という条件が本来的であり、したがって現世を否定する彼岸への想いが登場するか、死または殺人という悪の結末が必要となる」のだ… 「十九歳」すがすがしい話 「月澹荘綺譚」怪談というよりか、ただの殺人事件というかホラーといえばいいんだろうか。殿様の「見るに徹底する姿勢」というものに、改めて「やばさ」を感じるのだけど、解説の「見つめる目と愛の不能、言い換えると意識と行為の絶対的な溝というテーマの、グロテスクで美しいフィクションである」というところに還ってきてしまう。見る人は行為する人にはなりえないのだという痛烈な信条が、こうも美しい(議論の余地は認めるが)一篇に昇華される、というと平易で平凡で申し訳ないが、「こうも美しい」というのがポイントなのだ。三島自身はその間というか、見る人よりだけど完全にはそうではないという心情だったのだねえというのがよくわかります。 「少なくとも私にはすぐにわかりました。殿様の屍体からは両眼がゑぐられて、そのうつろに夏茱萸の実がぎつしり詰め込んであつたのです」
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