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岬にての物語 の商品レビュー

3.7

17件のお客様レビュー

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2026/02/25

三島由紀夫生誕101年にはなりましたが、 まだ読み残しがございますので 月一三島が続きます。m(_ _)m 「苧菟と瑪耶」 初出:1944年(昭和19年)12月 多少乙女ちっくで、現実から遊離した観念恋愛譚のような作品 おつとお と まや と読む これらの漢字に意味を持たせたの...

三島由紀夫生誕101年にはなりましたが、 まだ読み残しがございますので 月一三島が続きます。m(_ _)m 「苧菟と瑪耶」 初出:1944年(昭和19年)12月 多少乙女ちっくで、現実から遊離した観念恋愛譚のような作品 おつとお と まや と読む これらの漢字に意味を持たせたのか調べてみたけど、そんな事もないようです 終戦の年、1945年に書かれた 「岬にての物語」 舞台は、少年期に母や弟妹と訪れた房総。 当時19歳の 三島由紀夫 が書いたとは思えぬほど、作品には病弱で夢想的な少年の甘さが残る。 少年が関わる、どこか似通った男女。 難解な語彙に覆われているが、普遍的な青春の幻影であり、言葉がもう少し簡易なら現代でも十分ヒットしそうな物語と思う。 昭和25年発表の 「頭文字」 どこか昭和初期の少女文学を思わせるロマンティシズムを帯びながら、その内側は、サディズム。 構図は「ロミオとジュリエット」的だけど ここにいるヒロインはジュリエットほど純粋ではなく、むしろ計算高い。 三島由紀夫 がよく書いている恋愛感。 「親切な機械」 1949年11月号「風雪」 実在の京大生刺殺事件を下敷きにした作品。 何を読まされているのか掴めず、物語がどこへ向かうのかも見えないまま進む。 これは京大生による実際の刺殺事件を下敷きにした作品だったと考えれば 小説より奇なりという事でしょうか。 動機は失恋という、あまりに唐突で凡庸な理由。 その単純さをそのまま描かないで そこに至る心理や関係の歪みを想像し小説にしたのか? 「火山の休暇 」 三島自身を投影したとも言われる菊田次郎が登場する作品の一つ。 正直なところ、何を読んでいるのか掴みにくい。 火山は休暇中、地獄も休暇中。 その不在の世界で、人はなお自殺する。 物語というより観念かな。 どこか サリンジャー のグラース家作品に感じる、あの「分からなさ」に近い気もする。 昭和26年発表の 「牝犬」 美貌の大学生を執拗に囲い込む中年女性。 束縛から逃れようとする彼は、ついに女を殺そうと決意する。 しかし、いざ実行に移そうとしたとき、女はすでに死んでいる。 そこまでに至る 女の牝犬っぽさ。 「椅子」 三島の私小説と言えるのでしょうか 母親日記の断片から幼少期の生活を思い出す。祖母の部屋、祖母の腕に中で育てられた少年の 椅子の幾つか。祖母、母親、付き添い看護婦。それぞれの女達の関係性。 子供も言ってはいけない事は、言わない。 「不満な女たち」 なんの話なんだかわからないけど、 ブラジルの移民社会に関心があったようで、 ブラジルでの日本人社会の中の不満な女。 「志賀寺上人の恋」 典拠は『太平記』37巻中とのことですが 残念ながら太平記を読んだ事がありません。 高徳の僧が、美貌の御息所に禁断の恋をする。 僧は彼女の背後に浄土を見、 御息所は彼を通して地獄を見る。(ほぼ原文) 二人は現実の男女として結ばれることなく 恋愛というより、信仰と欲望の寓話。 「水音」 三島的毒親との決着の物語。 家族の腐敗を見届けた末に、娘はようやく安寧に辿り着く。 「商い人」 ここでの“商い”とは、修道院を覗き見させるための梯子を貸すこと。 好奇心に駆られた真面目な教授は金を払い、 商い人の小男の方は修道院そのものにはまるで関心がない。 高尚さと俗物性の反転のコメディかな 「十九歳」 昭和中期の入口に立つ、少し悪びれた十九歳の肖像。 「月澹荘綺譚」 げったんそう げったんは造語っぽい。 題名どおり怪異譚の体裁を取っているが、読後感は、現実の憎悪である。 主人の命に従い、若い白痴の女を襲う男。 だが女が憎んだのは実行者ではなく、 それをただ見ていた主人の方だった。 行為そのものより、支配と観察の関係。 さらにその主人自身にも欠落があり、 この館に漂うのは怪異というより歪んだ人間関係の気配。 他の短編集に収まりきらなかった作品を集めた印象もありますが、 解説者の言葉を借りれば、ここには「現実と非現実の相剋」という共通項が見えてくるかも。

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2025/07/31

やはり出色は表題作か。イノセンスとその喪失、見事と言う他ない。ただ、それって復古的過ぎるテーマだね、と言うことと、そうしたモチーフを喪失した後に何を書くかと言う時に、やはり三島は自分の偏愛する作家ではないなぁという印象を新たにした。

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2024/05/06

(2024/05/06 3h) 自分、三島由紀夫が好きだって言ってたけど、短編は好きじゃないのかも…。 『花ざかりの森』が好みのかたは、良さが分かるのかもしれないです。

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2023/01/16
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鵜原海岸を舞台にして三島由紀夫が書いた作品があると知って手に取った。 鵜原海岸の現実離れした美しい佇まいを描き、爽やかな緑やオルガン、白い廃屋など西洋的な彩りを背景にうつくしい少女と少年の純粋な束の間の永遠の恋を描いた作品。 第二次世界大戦末期にこんな美しい世界を作り出したことに感服。

Posted byブクログ

2022/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編も面白い…と久しぶりの三島由紀夫ブームが私に到来しています。 特に好きだった作品について、、 「岬にての物語」私は読んでいて鏡花の『春昼・春昼後刻』を思い出していたのだけど、鏡花は散策子としてあくまで傍観者、"見る側"なのに対して、三島の方はどう見ても三島由紀夫にしか見えない少年が"見る側"兼物語の積極的な登場人物として描かれていて(まあ"見る側"としての要素は強いけれど)、いわゆる認識と行動であったり、 最後の「…人間が容易に人に伝え得ないあの一つの真実、後年私がそれを求めてさすらい、おそらくそれとひきかえでなら、命さえ惜しまぬであろう一つの真実を、私は覚えてきたのである。」広義の美だなと思うのですが、などなど三島が好きそうな要素(=私が好きな要素)がちりばめられている。 それにしても、心中に水は絡まざるをえないのかしら 「夏の名残の薔薇だにも はつかに秋は生くべきを きょう知りそめし幸ゆえに 朽ちなん身こそはかなけれ」あの薔薇を思い浮かべる 「頭文字」こちらは『外科室』のイメージがつきまとうのだけど、私の好きな恋愛小説ですね。 「…やがて宮のもとへ朝倉中尉の戦死が伝えられた。妃があの幻影を見たと同時刻に、中尉は心臓を射貫かれて斃れたのである。そのしらせがお手許に届いたとき妃は顔いろもお変えにならなかった。しかしその日以来喪服を身にまとわれ、爾後けっして宮と寝室を共になさらなかった」 いいよねえ、うっとりしちゃうよね。ASとナイフで刻んだ時の「やばい」感と、それを大事に別の男に嫁いで、子供を産んだ後は心をその男にささげた女…。あの夜以来再会できていない二人は、二人の間にある神聖な絆を信じ、来世を信じているというその確信にうっとりしちゃう。お互いそんなに時間を過ごしていないからこそのだと思うけれど、小説だから美しいよね。 「親切な機械」いやーこれもとても気に入った一作 元カノをなんだか取られるのは面白くないような、でも彼女は新しい男に殺されることは望んでいるという。そして男は女を殺す。見出しからは想像できないような、でもこんな話があったら美しいだろうなと思う話に仕立てる三島由紀夫、さすがである。。。後記に記されているように、「事件というものが一種の古典的性格をもっていることは、古典というものが年月の経過と共に一種の事件的性格を帯びるのと似通っている。事件も古典と同じように、さまざまの語り変えが可能である。この小説もその語り変えの一つである」ということだ。 結婚なんてケッと思ってしまうけれど、猪口の純粋さがかわいらしくもある。あくまで傍観者の元カレ(その時惚れている女には敬語を使うというのも、なんだか愛嬌がある) 「牝犬」も本作と似ているところがあるなーと思いつつ、ヒモ男が年上ストーカー養い女から逃げる様は、なんだか今風だななんて思ってしまいました 「椅子」 これまた三島由紀夫ご本人(平岡公威君と言った方が良いかもしれぬが)の話を透徹な眼で見ながら、フィクションも混ぜ込むなかなかの一品。「…すると二階の藤椅子から母が見ていたものは、とりもなおさず、母自身の姿ではなかろうか?」 「志賀寺上人の恋」 高僧と御息所の身分違いの恋もどきな想いと、現世と来世、解説にもある「現実(実在)と非現実(不在)の相克」というのがうまく絡みあって一つの絵草子のようになっているのがなんともいえない 「水音」可哀想な兄妹 貧しさと病と兄妹という関係性とが立ちはだかり、解説の「父を殺す相愛の兄妹…これらの愛には禁断、不可能という条件が本来的であり、したがって現世を否定する彼岸への想いが登場するか、死または殺人という悪の結末が必要となる」のだ… 「十九歳」すがすがしい話 「月澹荘綺譚」怪談というよりか、ただの殺人事件というかホラーといえばいいんだろうか。殿様の「見るに徹底する姿勢」というものに、改めて「やばさ」を感じるのだけど、解説の「見つめる目と愛の不能、言い換えると意識と行為の絶対的な溝というテーマの、グロテスクで美しいフィクションである」というところに還ってきてしまう。見る人は行為する人にはなりえないのだという痛烈な信条が、こうも美しい(議論の余地は認めるが)一篇に昇華される、というと平易で平凡で申し訳ないが、「こうも美しい」というのがポイントなのだ。三島自身はその間というか、見る人よりだけど完全にはそうではないという心情だったのだねえというのがよくわかります。 「少なくとも私にはすぐにわかりました。殿様の屍体からは両眼がゑぐられて、そのうつろに夏茱萸の実がぎつしり詰め込んであつたのです」

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2022/01/26

三島由紀夫短篇集。それぞれに濃い内容で面白い。官能の奥に生と死というテーマが潜んでいる。独特の言葉の使い方や表現の仕方。外国文学のような雰囲気をまとうものも感じられた。『金閣寺』しか読んでいなかったから、もっと他の作品にも触れてみたいとおもった。

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2021/01/19

三島没後50年でいろいろなフェアをやっていたのに触発され、再読。大昔に読んだときも同じような読後感。きらびやかな短編小説ばかりだ。

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2018/07/26

短編集。意外とどれも読みやすく面白い。解説によると現実(実在)と非現実(不在)の相克が描かれているらしい。人の不在によって、その人を強く意識したりするというのを実感させられる作品が確かに多い気がする。印象に残っているのはやはり「月澹荘奇譚」。ラストが怖すぎる。

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2017/02/07

13編収録。昭和19年〜40年に書かれた短編が経時的に並んでいる。 表題作含む冒頭2作は夢幻的な物語で私の解読力では及ばなかったけれど、突っ込みどころが満載の3作目から一気に親しみが湧いて楽しめた。一貫しているのは恋愛と生死を基調として書かれていることだろうか。届かぬものに焦がれ...

13編収録。昭和19年〜40年に書かれた短編が経時的に並んでいる。 表題作含む冒頭2作は夢幻的な物語で私の解読力では及ばなかったけれど、突っ込みどころが満載の3作目から一気に親しみが湧いて楽しめた。一貫しているのは恋愛と生死を基調として書かれていることだろうか。届かぬものに焦がれる地獄に生きている様が静謐な文体から伝わってくる。詩的な情景から読み取れれば、さらに楽しめるのだろうと思う。

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2015/11/06

比較的読みやすい短編がそろっていた。表題作の「岬にての物語」は夏の海浜の表現が美しく、潮の香りも嗅がれるかと思うほどその光景が鮮やかに頭に浮かんでくるようだった。「頭文字」の最後は多少予想がついた。

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