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徒然草 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2010/04/10 |
JAN | 9784480092861 |
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商品レビュー
4.4
9件のお客様レビュー
俗と聖の狭間
全段通読可能という有難い本。 訳が意訳に近い部分もあるのが難点。注で補足した方が良いのではとも思った。 隠遁しながらも、実社会での経験等、俗っぽい話題も多い。この点、方丈記とは異なっている。方丈記がひたすら仏道の精進を目指すのに対してこちらは凡俗の迷いが見えて分かりやすい...
全段通読可能という有難い本。 訳が意訳に近い部分もあるのが難点。注で補足した方が良いのではとも思った。 隠遁しながらも、実社会での経験等、俗っぽい話題も多い。この点、方丈記とは異なっている。方丈記がひたすら仏道の精進を目指すのに対してこちらは凡俗の迷いが見えて分かりやすい。人気なのも理解できる。
ユスト
言わずと知れた古典文学。 散文形式で書かれた内容は、宮廷生活や本人の読書体験により培われた記憶が映し、心に移りゆく由無し事。 人生の理想の過ごし方に対する思索を時折挟みながら、自由に、それでいて秩序ある連想を続けていく。 意訳をふんだんに取り入れた現代語訳により、原文を直接読む...
言わずと知れた古典文学。 散文形式で書かれた内容は、宮廷生活や本人の読書体験により培われた記憶が映し、心に移りゆく由無し事。 人生の理想の過ごし方に対する思索を時折挟みながら、自由に、それでいて秩序ある連想を続けていく。 意訳をふんだんに取り入れた現代語訳により、原文を直接読むよりも、はるかに読みやすい内容となっている。通読も容易いだろう。
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卜部兼好(1283頃~1352頃)によって書かれた徒然草は十五世紀半ば以降、すなわち、没後約100年後に歌人、連歌師そして武士たちによって脚光を浴び始めた。実は生前から注目を集めていたわけではなかったのだ。 古典作品は初めから古典だったわけではなく、いったん忘れられた後誰かが価値...
卜部兼好(1283頃~1352頃)によって書かれた徒然草は十五世紀半ば以降、すなわち、没後約100年後に歌人、連歌師そして武士たちによって脚光を浴び始めた。実は生前から注目を集めていたわけではなかったのだ。 古典作品は初めから古典だったわけではなく、いったん忘れられた後誰かが価値を再発見し、作者の隠された意図を明らかにすることで評価される。だから古典はその時代の価値観によって評価が変動する。 徒然草は初め、洗練された美意識の書物として注目を集め、戦乱の時代では世の中や人生を無常として捉える側面から読まれるようになった。江戸時代になると教訓書として流行した。いずれも、現在の価値観と当時の価値観を比較し、現在と過去を重ね合わせることで物事を相対化している。そうした行いを現代に当てはめるとどうなるだろうか。 科学的合理精神の現代と淳素(まともで質朴な状態)を理想とする兼好の時代を照らし合わせると、「専門知への態度」が興味深い。例えば、第百九十三段で「己が境界にあらざる物をば、争ふべからず、是非すべからず。」とある。自分の専門分野以外のことに関しては、争ってはならないし、相手のことをみだりに批判したり否定したりしてはいけないということだ。 知識(特に科学技術)の細分化、専門家が進んだ現代では、往々にして専門家の意見が重宝される。しかし、そうした専門家を推量して安易にその人の知恵の程度が分かったと決め込み、行動することは身を危険にさらすリスクを上昇させる。そのため、伝染病から自分や家族を守ったり、病気よりもたちの悪い迷信から抜け出すためには、人間が陥りがちな慢心や他者に対する無理解を反省しなければならないと考えられる。 古典を読むという体験を重視した読書を目指した。じっくり読み新しい発見もあったが、背景知識の不足からよくわからない部分もあった。それは今後の課題としよう。
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