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古書の来歴
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古書の来歴

G.ブルックス(著者), 森嶋マリ(著者)

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古書の来歴

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ランダムハウス講談社
発売年月日 2010/01/01
JAN 9784270005620

古書の来歴

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商品レビュー

4.1

48件のお客様レビュー

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2024/04/26

地中海地域をキリスト教、イスラム教、ユダヤ教のせめぎ合いと融和の中で流れてきた一冊の書物の来歴を追う。 この書物が人間の意思に翻弄されているようにも、逆に人間の論理を超越した存在のようにも思えてくるのが面白い。 各々の時代に注目すると人間の愚かさによって人間の叡智が翻弄されるとい...

地中海地域をキリスト教、イスラム教、ユダヤ教のせめぎ合いと融和の中で流れてきた一冊の書物の来歴を追う。 この書物が人間の意思に翻弄されているようにも、逆に人間の論理を超越した存在のようにも思えてくるのが面白い。 各々の時代に注目すると人間の愚かさによって人間の叡智が翻弄されるということが意識されるが、想像(作中では全てが語られないので私の想像も含む)によって補われた五百年の物語においては古書はあるべき場所に自然と収まっているように感じられる。 この説得力こそ物語が持つ力だと思う。そして現代(作中では1996年)の主人公もその物語の一部となり、そして今後何世紀か先の誰かの記録に新たな物語として加えられる。

Posted by ブクログ

2024/02/24

東京創元社さんから文庫化されたタイミングで、評判がいいので気になっていた。 親本はランダムハウス講談社。なつかしい… 作品はとても面白かった。ゆっくり読もうと思っていたけど、一気読みしてしまった。 1冊のハガダーをめぐり、シミから歴史を辿ろうとする専門家の時代と、それらの手がか...

東京創元社さんから文庫化されたタイミングで、評判がいいので気になっていた。 親本はランダムハウス講談社。なつかしい… 作品はとても面白かった。ゆっくり読もうと思っていたけど、一気読みしてしまった。 1冊のハガダーをめぐり、シミから歴史を辿ろうとする専門家の時代と、それらの手がかりが残された時代が交互に描かれる。 過去パートは何代も持主を遡り、ついに作者(画家?)までたどり着いたときには長い旅の終着点まで来られた、と感じる。 ユダヤ人迫害の歴史に翻弄されながら、ハガダーが現代まで残存したことに感動をおぼえる。 モチーフは史実で、エピソードは創作のようだが、十分楽しめる。

Posted by ブクログ

2023/12/29

・本に関係がありさうだとすぐに買ひたくなつてしまふ。それでまた1冊、ジェラルディン・ブルックス「古書の来歴」(創元推理文庫)である。これは帯に「焚書と戦火の時代、伝説の古書は誰に読まれ、守られてきたのか?」とある通りの内容である。従つて、ミステリーであらうがなからうが、私には買ひ...

・本に関係がありさうだとすぐに買ひたくなつてしまふ。それでまた1冊、ジェラルディン・ブルックス「古書の来歴」(創元推理文庫)である。これは帯に「焚書と戦火の時代、伝説の古書は誰に読まれ、守られてきたのか?」とある通りの内容である。従つて、ミステリーであらうがなからうが、私には買ひである。この古書を「サラエボ・ ハガダー」といふ。 Sarajevo Haggadahと書く。「この小説はサラエボ・ハガダーとして知られるヘブライ語の実在の書物に着想を得たフィクションである。そのハガダーの現時点で明らかになっている歴史に基づく部分もいくつか含まれているが、大半の筋と登場人物は架空のものである。」(「あとがき」571頁)と著者が書くやうに、基本的には実在の書にまつはるフィクション、物語である。これは「14世紀中葉のスペインで作られたハッガーダー。(中略)中世の細密画が描かれたヘブライ語の本としては最古に属する。」(Wiki)といふもので、検索すると、ハガダーの由来等、本体に関する内容が多く出てくる。大体は細密画がついてをり、うまくいけばほぼ全体を見ることができるサイトもある。現在はサラエボの国立博物館蔵である。複製も含めて、この手の本を、当然のことながら、私は手にしたことがない。しかし、その絵は細密画におなじみのもので、いろいろなところで、似たやうな細密画を写真で見たことがある。そのハガダーに残されたいくつかのものから作品は生まれた。残されたとい つても隅から隅まで目をこらして見なければ見落としさうなものである。それが物語となり、次の物語を生んでいく。時代をさかのぼるやうに作られてをり、最後はハガダー制作現場に行き着く。1996年から始まり1480年までゆく。その後に2002年があるのだが、これは別と言ふべきかどうか。この500年間の物語は実におもしろい。実際にこんなことがあつたのではと思つて見たりする。 ・物語の中心にゐるのはユダヤ人である。ヘブライ語の書だから当然のことだが、ハガダーはユダヤ人に守られてきた。それがいくつもの物語になつてゐる。そこに共通するのは虐げられたユダヤ人である。ナチスドイツの時代も含めて、ユダヤ人は虐げられてきた。15世紀も同様である。そんな中でこのハガダーがいかに作られたのか。1480年は「白い毛」と名づけられた物語である。その毛は猫の毛であつた。ただし、「毛表皮から、猫の毛にあるはずのない粒子が検出されたわ。黄色のとくに強い染料に含まれる粒子が。」(426頁)といふものであるがゆゑに、この毛がい かなるものかは分からない。それを明らかにするのが「白い 毛」である。その最後、主人公 がモーセの魔法の杖の話をききながら、「もし、ここにもそんな杖があれば、私も自由になれる。」(490頁)と考へる。 さうして「自由と祖国。そのふたつこそユダヤ人が切望していたもの」(同前)だとして、「大海がふたつに分かれて、私は歩みだす。故郷へ通じる乾いた果てしない道を悠然と。」(同前)本当に歩き出したのかは分からないのだが、自由と祖国を求めるユダヤ人の心がここにある。これは1996年の物語にも共通する。のみならず、現在進行中のガザの戦争にも共通する。常識的にはそれがいかなる悪であれ、ユダヤ人には祖国と自由を求めるためにはさうせざるを得ないといふことであらう。それでも、イスラエルはガザの戦ひから直ちに手を引くべきだと私は思ふ。手を引いて自由と祖国、自由な祖国が得られるかどうかは分からない。本書はそんな政治的物語ではない。あくまでハガダーをめぐるミステリーであつた。

Posted by ブクログ

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