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フラッシュフォワード ハヤカワ文庫SF
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2010/01/15 |
JAN | 9784150117436 |
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商品レビュー
3.6
17件のお客様レビュー
ある物理実験と寸分違わず同じタイミングで、全人類の意識が約2分間だけ、21年後の未来にとんでしまった。その影響で現実世界では事故が多発し、未来を見た人々に混乱を生じさせた。 タイムトラベルやアクションシーン満載の派手なSFではなく「人類の多くが未来と思われる場面をみてしまったら...
ある物理実験と寸分違わず同じタイミングで、全人類の意識が約2分間だけ、21年後の未来にとんでしまった。その影響で現実世界では事故が多発し、未来を見た人々に混乱を生じさせた。 タイムトラベルやアクションシーン満載の派手なSFではなく「人類の多くが未来と思われる場面をみてしまったら、どうなってしまうのか」という考察を突き詰めた作品。 興味深いのは、よくある未来の情報を使った金儲けとか、絶望的な未来を変えるというような話ではない点です。多少は言及されますが、メインではありません。 実際にそんな現象が起きれば、何が起きたのか、なぜ起きたのかの検証に躍起になるでしょう。再発の可能性が否定できないかぎり、外を歩くのも、赤ちゃんを抱くのも、あらゆる行動に危険が伴います。 そんな中、物理実験を行った責任者達の取るべき行動は?実験による影響という証拠は何一つ無いが、それ以外考えられないという状況。世界中で多くの人が亡くなった今、どのような行動が正しいのか。公表すれば取り敢えず、自分たちが再実験しない限り、二度と起こらないと伝えることはできる。公表したとして次に問題となるのは、多くの人が見た未来は、変えられるものなのか、変わらないものなのか。物理学者として、見解を示さなければなりませんが、変わらないとなれば、多くの人が命や人生を捨ててしまいます。 更に21年後の2分間に寝ていた人や既に亡くなっている人は、未来を見ていません。しかし未来を見た人の中には、そんな彼らの事件を見聞していることもあります。またそれには地域差もあります。21年後の2分間が夜だった地域では、圧倒的に未来の情報が少なくなります。 これだけのことを詰め込み、かつ海外作品で、更には20年以上前に書かれた作品であることを考えれば、違和感も最小限に抑えられていると感じました。 評論家の岡田斗司夫氏は、日本が高い技術や開発力を持ちながら、製品として世界に広めることが出来ず、多くの企業が長続きしない原因を、想像力のなさと分析しています。実際多くの欧米人は子供の頃からSF小説に触れており、もちろん社長も例外ではないそうです。 想像力を養うためのSF作品としてもおすすめな点も踏まえ、細かな違和感を含めても★5とさせて頂きました。
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2030年に死んだのは兄さんだけじゃない。ぼくも死んだんだー観光客相手のばか高い三流レストランのウエイター! ぼくだけじゃなく、ほかにも何百万という人びとが死んだはずだ。兄さんが殺したんだよ。兄さんはみんなの希望を、みんなの夢を、みんなの未来を殺したんだ 科学技術のSFというよ...
2030年に死んだのは兄さんだけじゃない。ぼくも死んだんだー観光客相手のばか高い三流レストランのウエイター! ぼくだけじゃなく、ほかにも何百万という人びとが死んだはずだ。兄さんが殺したんだよ。兄さんはみんなの希望を、みんなの夢を、みんなの未来を殺したんだ 科学技術のSFというより、20年後の姿を垣間見てしまった人々の、無意識の思考や運命にあらがう行動に焦点を当てた話。 ロイドとミチコの愛の行方、当日の事故と混乱、将来売れることを夢見る芸術家や、独立運動家、宝くじや株で儲けようと考える人々、数十秒で一つの世界を再現するモザイク・プロジェクト。 心当たりのない人に殺されるテオのささやかな抵抗、関係者へのききこみ、そして当日の緊迫感と結末がうまく伏線回収されてて良かった。
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2009年、CRENにある加速器では、ヒッグス粒子を捕まえるための実験を行っていた。実験を開始した瞬間、世界中の人が2分足らずの間、ある風景を目にする。それは21年後の自分の視点だった。21年後に今と違う妻がいる者、娘が生まれている者、そして何も見ない者。未来は固定されてしまって...
2009年、CRENにある加速器では、ヒッグス粒子を捕まえるための実験を行っていた。実験を開始した瞬間、世界中の人が2分足らずの間、ある風景を目にする。それは21年後の自分の視点だった。21年後に今と違う妻がいる者、娘が生まれている者、そして何も見ない者。未来は固定されてしまっているのか…。 2001年に翻訳初版が刊行された本であることを、まず頭に入れておかなければならないが、2009年に書かれたと思っても、さほど不思議のない自然な描写。読み終わるまで勘違いしていた。 2001年以前に書かれているので、2010年代の描写がものすごく未来的で、エイズが克服されるなど、引っかかるところはある。というか、未来の描写はいまいちなのだ。 その部分は差し引いたとしても、ここんとこ、"まあまあ"な本ばかり読んできたのもあり、久しぶりに仕事を止めてでも続きが読みたいと思えた作品である。 21年後を見る「フラッシュフォワード」現象を軸に、人間関係を模索する者、21年の間にある事件を探す者など、ともすれば漠然としがちなテーマを、数名の視点に絞って、スリリングに描いているのは興味深い。 またその中で「よくわからない現象だったね」で終わらせるのではなく、原因と再現まで考えるところが、最近のSFに欠けがちな部分だと思われる。 分岐型の未来については、深く検証されることはなかったが、ビデオカメラなどの記録装置のところでほのめかされており、それだけで一つのSF作品を作れそうなテーマである。 最終的には、2030年まで描かれてしまうのだが、そこ必要だったかな?という気持ちも若干ある。読者的にもテオがどうなるのか気になるのは仕方がないものの、ちょっと取ってつけたような話になっている。作者も激しめの描写が苦手なのか、内容もそれまでと打って変わって、状況がつかめない(理由などはわかる)。 途中の、未来予想ネタ(トランプがピラミッドを建てる?)など、アンディ・ウィアーの作品のごとく、クスッとくるネタも散りばめられており、こういうところも読んでいるのが楽しくなるポイントであろう。 終盤のストーリーの破綻や、ハヤカワでブックカバーに入らないなどの大きめの不満点もあれど、気に入った1冊になったので甘めの採点をしておく。 余談。 研究者の年齢が、26~28歳でチームリーダー、45歳でシニアリサーチャーみたいなの、21年後を描かなければいけなかったという意味では、仕方のない部分も有るだろうけれども、28歳だと大学院生だ。45歳で教授はギリギリ有りだけど、現実にはどうだろう?50超えてないとリアリティがないのでは? そういう年齢に対する、創作側と読者側の感覚のずれ、作者の国による感覚のずれが、ここ20年ほどで急激に気になる事が増えた。
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