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世界は分けてもわからない 講談社現代新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社 |
| 発売年月日 | 2009/07/20 |
| JAN | 9784062880008 |
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世界は分けてもわからない
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商品レビュー
3.8
184件のお客様レビュー
世界は分けてもわからない、読了 筆者は文章がとても上手でユーモアにもあふれていて、美術にも精通していて… なんか正直うらやましい。 当然それだけの努力をしてきたからに違いないのは違いないのだけれども。 ちょっと読み始めて、数ページでもう面白かったから友人に勧めてみた。 どんな...
世界は分けてもわからない、読了 筆者は文章がとても上手でユーモアにもあふれていて、美術にも精通していて… なんか正直うらやましい。 当然それだけの努力をしてきたからに違いないのは違いないのだけれども。 ちょっと読み始めて、数ページでもう面白かったから友人に勧めてみた。 どんな本か説明しようとして…止まった。 内容がわかる前に紹介してしまったからだ。 そんなことある?自分でもそう思った。 とりあえず、生物学をかじった人には刺さる内容、と逃げておいた。 個人的にはまったのは、膵臓の話。 全て消化するのは、情報を入れないため。 しかし自己と他者の区別って難しい。 どこまでが自分と言い切れるのか、腸内に棲む数多の細菌や受精すれば別の生物となる卵細胞や移植された臓器は?…それって本当に自分なのかな? そんなことを考えた。 またデータ捏造の話は、ちょうど同じくらいの時期に実験をしていたので、 研究手法が同じで用語一つ一つがとても懐かしかった。 SDSの終わりの時間を忘れないようにタイマーかけたり、手袋に時間を書いたりするんだよねw MAPキナーゼ関係(ちょっとぼやかす)のリン酸化酵素とかも扱っていたから余計に。 そして、20年ちょっと経って漸く生物の、研究の世界を諦められたんだと気づいた。 今の仕事が少し様になってきたからかもしれない。 それに気づけて良かった。 友人からお返しにウルドさん?のバッタの本を紹介されたので、図書館で探してみる! 生物と無生物のあいだ、これも読みたい。 世界は分けないことにはわからない。 でも世界は分けてもわからない。
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エッセイに近い。もっと動的平衡について分かるかと思ったけど、まだ私の頭では雲を掴んでいる感触。まだまだ彼の本を読まないといけない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先ず言葉遣いの巧さに惹き込まれた。専門的な内容は理解し切れていない部分もあるが、主に研究者が何を考えて研究に取り組んでいるのか、その視点を得ることができた。特にミクロ-マクロのパラドクス(世界は分けなければわからないが、分けてもわからない)は、答えこそないものの、謙虚に自身の中に留めておくものであると認識。過度な一般化を避けつつ、但しどこまでは正しそうなのか、仮説を基に自身の発見を主張していく、これが研究者の生き方なのであると学んだ。分ける(解像度を上げる)ことにより自分の視野から外れている物事があるということ、厳密にはいつまでも成立するようなたしかな因果関係は存在しないということ、そして、世界をわかるためにはそれでも分けなければならない、ということを念頭に置きつつ、そのパラドクスをいかに越えるか、研究の世界で挑戦をしてみたいと感じた。 特に印象に残った箇所は以下の通り ・研究者の希望は、毎朝生まれて、夜毎に消える(p.23) ・この世界には、階層構造がある。マクロを形作るミクロな世界の中に、マクロな世界と同じ階層原理が、無限の入れ子構造として内包されている(p.38) ・顕微鏡で生物組織を観察すると、細胞が整然と並んでいる様子を見ることができる。倍率を上げると細胞の一粒が、一気に近づいて見える。しかしその瞬間、私は元の視野のどの一粒が切りとられて拡大されたのかを見失う。拡大された絵は元の世界のごく一部であり、一部の光しか届いていない。ほの暗い。その暗さの中に名もなき構造物がたゆたっている。そして、今見ている視野の一歩外の世界は、視野内部の世界と均一に連続している保証はどこにもないのである(p.62) ・絵柄は高い視点から見下ろしたときだけ、そのように見えるのであり、私たち人間は、そのような絵柄として生物を見なしている。心臓の細胞は、心臓の形や大きさを知らない。心臓の細胞は、自らが一個の細胞から出発してできた個体の一部であることは知っているかもしれないが、心臓の一部であることを知らない。なぜなら心臓とは、われわれマップラバーが人体を見下ろしたとき見える絵柄に過ぎないからである(p.104〜105) ・たとえ実際の、酵素発見、酵素精製の研究競争に負けたとしても、スペクターとラッカーの名前は生化学史上の偉大な天才として残ったはずなのだ。なぜなら、彼らは正しかったから。彼らの描いた星座は、そのとき皆が見たいと渇望した星座そのものだったという意味において(p.269) ・そして、この世界のあらゆる因子は、互いに他を律し、あるいは相補している。物質・エネルギー・情報をやりとりしている。そのやりとりには、ある瞬間だけを捉えてみると、供し手と受け手があるように見える。しかしその微分を解き、次の瞬間を見ると、原因と結果は逆転している。あるいは、また別の平衡を求めて動いている。つまり、この世界には、ほんとうの意味で因果関係と呼ぶべきものもまた存在しない。世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けてもわからないのである(p.274〜275) ・分けてもわからないと知りつつ、今日もなお私は世界を分けようとしている。それは世界を認識することの契機がその往還にしかないからである
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