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日本人の戦争 作家の日記を読む
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ドナルドキーン【著】, 角地幸男【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2009/07/15
JAN 9784163715704

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商品レビュー

3.3

6件のお客様レビュー

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2021/06/09

アメリカ海軍の情報士官として太平洋戦線で日本語の通訳官を務めたドナルド・キーン氏が、戦争(大東亜戦争)への想いを日記にしるした日本人作家の思想と心理の変化を追ったドキュメンタリー。警察の監視の眼を逃れながら、開戦当時から軍部に反感を抱き続けた作家(永井荷風)、戦争遂行の強硬論を唱...

アメリカ海軍の情報士官として太平洋戦線で日本語の通訳官を務めたドナルド・キーン氏が、戦争(大東亜戦争)への想いを日記にしるした日本人作家の思想と心理の変化を追ったドキュメンタリー。警察の監視の眼を逃れながら、開戦当時から軍部に反感を抱き続けた作家(永井荷風)、戦争遂行の強硬論を唱え戦意高揚を掲げた作家(伊藤整、山田風太郎、海野十三、徳富蘇峰・・)、無条件降伏後の表現の自由により呪縛から解放された作家(高見順、德川夢声)など、戦争という狂気の沙汰で揺れ動く人間心理の脆弱性が垣間見える不幸な時代の記録。

Posted by ブクログ

2013/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

山田風太郎、高見順などを中心に永井荷風、その他多くの日記が取り上げられています。山田風太郎の戦争前の右翼ぶりから、徐々に軍部批判になっていくというのはがっかりした思いがします。高見順も開戦前には少し日和った内容もある!これは当時の風潮からしてやむを得ないように思います。その中でフランス文学の渡辺一夫氏は鋭い軍部批判で徹底し、一切煽動に加担せず、そしてフランス語で日記を書いていたのは尊敬できる方です。荷風のような人が軍からは安全な色好きの老人としてマークされなかったものの、軍に批判的なことを書いており、戦後の日記の戦後の日記の発表を考えていたということも面白いものがあります。日米開戦前から終戦の年までの約5年間を取り上げていますが、毎年の正月の雰囲気、銭湯での会話の内容が徐々に変わり、最後は黙々と入浴していた人たちが多くなったというのも生々しく確かにそうだっただろうと思う内容でした。

Posted by ブクログ

2011/11/21

 太平洋戦争開始から敗戦一年後までの作家の日記を読む,という本。著者は大戦当時米軍の情報将校で日本語通訳をしており,押収した日本兵の日記を読んでいた。それが日本人の日記との出会いという。本書では公刊された作家の日記を,開戦→進撃→後退→空襲→敗戦→占領と変転する情勢にそって取り上...

 太平洋戦争開始から敗戦一年後までの作家の日記を読む,という本。著者は大戦当時米軍の情報将校で日本語通訳をしており,押収した日本兵の日記を読んでいた。それが日本人の日記との出会いという。本書では公刊された作家の日記を,開戦→進撃→後退→空襲→敗戦→占領と変転する情勢にそって取り上げていく。  取り上げられているのは,永井荷風,高見順,伊藤整,山田風太郎など。作家によって,戦争の受け取り方もさまざまだ。永井荷風や高見順,清沢洌は当初から軍部に批判的で戦争の行方を危ぶんでいたが,伊藤整や山田風太郎は日本の勝利を熱望し,そのような日記を書いている。著者は英文学の翻訳家である伊藤や,ヨーロッパ文学を読み漁っていた山田が,国粋的な内容の日記を書いていたことに軽い衝撃を受けている。人は読んだ本によって信念を形成する,という彼の持論が覆されたというのだ。アイデンティティのウェイトはやはり大きいのだろう。  おそらく平均的日本人は,空襲がひどくなる前までは日本の勝利を信じて戦争に進んで協力してきたんだろう。日本本土にまで直接の脅威が及ぶようになって,疑問を感じ始めたに違いない。しかし知識人である作家ともなると,なかなかそういう軌道修正が効かなかった面もあるのではないだろうか。山田は一貫して日本は降伏すべきでないとし,最後の一人まで戦うことを呼びかけている。敗戦後には復讐を訴えたが,聞く耳をもつ者はほとんどいなかった。文学者だけにそういうロマンに走りやすいのかもしれない。国民はよほど現実的だ。  戦争に批判的な作家も,戦時中の言論統制の中では思うような表現ができなかった。日記が憲兵に見つかろうものなら大変なので,隠し場所には神経を使う。空襲が始まってからは,焼けて失われる可能性も高く,そんな中で日記をつけつづけるのは容易なことではなかった。  彼らは自分の日記を後世に伝えて,自分の生きた時代がどのようなものだったかを記録しようとしていた。そのおかげで今こうして読むことができるのはとても有難い。

Posted by ブクログ

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