日本人の戦争 の商品レビュー
アメリカ海軍の情報士官として太平洋戦線で日本語の通訳官を務めたドナルド・キーン氏が、戦争(大東亜戦争)への想いを日記にしるした日本人作家の思想と心理の変化を追ったドキュメンタリー。警察の監視の眼を逃れながら、開戦当時から軍部に反感を抱き続けた作家(永井荷風)、戦争遂行の強硬論を唱...
アメリカ海軍の情報士官として太平洋戦線で日本語の通訳官を務めたドナルド・キーン氏が、戦争(大東亜戦争)への想いを日記にしるした日本人作家の思想と心理の変化を追ったドキュメンタリー。警察の監視の眼を逃れながら、開戦当時から軍部に反感を抱き続けた作家(永井荷風)、戦争遂行の強硬論を唱え戦意高揚を掲げた作家(伊藤整、山田風太郎、海野十三、徳富蘇峰・・)、無条件降伏後の表現の自由により呪縛から解放された作家(高見順、德川夢声)など、戦争という狂気の沙汰で揺れ動く人間心理の脆弱性が垣間見える不幸な時代の記録。
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山田風太郎、高見順などを中心に永井荷風、その他多くの日記が取り上げられています。山田風太郎の戦争前の右翼ぶりから、徐々に軍部批判になっていくというのはがっかりした思いがします。高見順も開戦前には少し日和った内容もある!これは当時の風潮からしてやむを得ないように思います。その中でフランス文学の渡辺一夫氏は鋭い軍部批判で徹底し、一切煽動に加担せず、そしてフランス語で日記を書いていたのは尊敬できる方です。荷風のような人が軍からは安全な色好きの老人としてマークされなかったものの、軍に批判的なことを書いており、戦後の日記の戦後の日記の発表を考えていたということも面白いものがあります。日米開戦前から終戦の年までの約5年間を取り上げていますが、毎年の正月の雰囲気、銭湯での会話の内容が徐々に変わり、最後は黙々と入浴していた人たちが多くなったというのも生々しく確かにそうだっただろうと思う内容でした。
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太平洋戦争開始から敗戦一年後までの作家の日記を読む,という本。著者は大戦当時米軍の情報将校で日本語通訳をしており,押収した日本兵の日記を読んでいた。それが日本人の日記との出会いという。本書では公刊された作家の日記を,開戦→進撃→後退→空襲→敗戦→占領と変転する情勢にそって取り上...
太平洋戦争開始から敗戦一年後までの作家の日記を読む,という本。著者は大戦当時米軍の情報将校で日本語通訳をしており,押収した日本兵の日記を読んでいた。それが日本人の日記との出会いという。本書では公刊された作家の日記を,開戦→進撃→後退→空襲→敗戦→占領と変転する情勢にそって取り上げていく。 取り上げられているのは,永井荷風,高見順,伊藤整,山田風太郎など。作家によって,戦争の受け取り方もさまざまだ。永井荷風や高見順,清沢洌は当初から軍部に批判的で戦争の行方を危ぶんでいたが,伊藤整や山田風太郎は日本の勝利を熱望し,そのような日記を書いている。著者は英文学の翻訳家である伊藤や,ヨーロッパ文学を読み漁っていた山田が,国粋的な内容の日記を書いていたことに軽い衝撃を受けている。人は読んだ本によって信念を形成する,という彼の持論が覆されたというのだ。アイデンティティのウェイトはやはり大きいのだろう。 おそらく平均的日本人は,空襲がひどくなる前までは日本の勝利を信じて戦争に進んで協力してきたんだろう。日本本土にまで直接の脅威が及ぶようになって,疑問を感じ始めたに違いない。しかし知識人である作家ともなると,なかなかそういう軌道修正が効かなかった面もあるのではないだろうか。山田は一貫して日本は降伏すべきでないとし,最後の一人まで戦うことを呼びかけている。敗戦後には復讐を訴えたが,聞く耳をもつ者はほとんどいなかった。文学者だけにそういうロマンに走りやすいのかもしれない。国民はよほど現実的だ。 戦争に批判的な作家も,戦時中の言論統制の中では思うような表現ができなかった。日記が憲兵に見つかろうものなら大変なので,隠し場所には神経を使う。空襲が始まってからは,焼けて失われる可能性も高く,そんな中で日記をつけつづけるのは容易なことではなかった。 彼らは自分の日記を後世に伝えて,自分の生きた時代がどのようなものだったかを記録しようとしていた。そのおかげで今こうして読むことができるのはとても有難い。
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荷風と風太郎を比較しながら戦争を考える【赤松正雄の読書録ブログ】 「日本という国が生まれてから今日までの歴史の中で、もっとも劇的な五年間」―「大東亜戦争が始まった昭和16年後半から、連合軍の日本占領の最初の一年が終わる昭和21年後半まで」に、永井荷風、山田風太郎、高見順、伊藤...
荷風と風太郎を比較しながら戦争を考える【赤松正雄の読書録ブログ】 「日本という国が生まれてから今日までの歴史の中で、もっとも劇的な五年間」―「大東亜戦争が始まった昭和16年後半から、連合軍の日本占領の最初の一年が終わる昭和21年後半まで」に、永井荷風、山田風太郎、高見順、伊藤整ら作家が書いた日記を読むことが出来た。ドナルド・キーン『日本人の戦争』によってである。著者はあとがきで「引用部分も多く、書きやすい一冊だった」と告白しているが、決して軽い中身ではなく、実に重い。昨今、司馬遼太郎の『坂の上の雲』が話題を呼び、日清、日露の戦争に向かっていった頃の日本と日本人に改めて関心が集まっている。先の大戦はこの二つの戦争の延長線上にあるだけに双方同時に捉えて行く必要があることは言うまでもない。 戦争を全く知らない世代が60歳の半ばを超えてしまった今、特に若い人々に読まれるといいだろう。戦時中20歳代前半だった山田風太郎と老境期に入っていた永井荷風の二人が何かにつけて対比されて書かれているのは興味深い。 ヒットラーの死を知って「彼や実に英雄なりき!当分の歴史が何と断ずるにせよ、彼はまさしく、(中略)人類史上の超人なりき」と絶賛し、対米復讐を誓っている風太郎。一方、荷風は終始一貫戦争に憎悪を抱いており、その態度は当時の文化人の中で群を抜いている。風太郎で強く印象付けられたのは、「ひっきりなしに本を読んでいた」こと。とくに荷風のものが好きだったというから面白い。勿論、荷風の日記など当時の風太郎は知る由もないが・・・。 荷風はその後、昭和34年まで戦後を生き抜いた。戦争中と同様に「孤立」を貫いた姿は目を瞠るばかりだ。そのあたり半藤一利『荷風さんの戦後』にくわしい。「断腸亭日乗」なる全集を書棚に並べてはいるものの、手を伸ばす機会は全くない私にとって、キーンさんや半藤さんの手引きで荷風の一端を知ってすっかり分かった気になっている。
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読んでいるとなんか はぁーーーーーっていう感じにはなる。それは 本当に女の人の地位が低いのでああ今の世の中に産まれてよかった
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図書館で借りたものの、たまたまやたらと忙しかったせいで、2週間で読み切ること出来ず至極残念無念。 また予約して借りたいと思う。 戦前・戦中・戦後の様子が、当時の人の考え方、気持ちの変わり様が分かって面白かった。
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