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エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 木楽舎 |
発売年月日 | 2009/06/25 |
JAN | 9784863240155 |
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エレファントム
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商品レビュー
4.1
9件のお客様レビュー
空虚は居心地の悪いものだ。静かになると、たいてい早とちりをした人が終演の拍手を鳴らす。音の合間の静寂は、誰をも少し不安にさせる。意味深い休止を身につけることは実に困難だ。私たちはいつも躍起になって、何もない空間や停滞した空気をがらくたで埋めようとする。無があるからこそ物事が形をと...
空虚は居心地の悪いものだ。静かになると、たいてい早とちりをした人が終演の拍手を鳴らす。音の合間の静寂は、誰をも少し不安にさせる。意味深い休止を身につけることは実に困難だ。私たちはいつも躍起になって、何もない空間や停滞した空気をがらくたで埋めようとする。無があるからこそ物事が形をとり、それぞれに区別されうるのだということを忘れている。 私たちは話すことをやめ、聴かなくてはならない。沈黙に耳を澄ますことを学ばなくてはならない。多くの答えは、音の合間に潜んでいるからだ。沈黙の響きの中に。 象の幻。 幻は、不確かで実体がないものではなく、様々な痕跡を、この世界に確かにある、沢山の欠けらとそれが表すものを、掴むことができるかという、こちら側が存在している世界の広がりを試している。 象は、ヒトには聞こえない音でネットワークを作っている。地球を覆いつくす生態インターネットだ。 もしそうだとしたら、世界は姿を変える。僕たちに見えているものはただそれでしかなく、そうではないものによって、世界が作られていることになる。そこでは個体と全体が同一で、一つに起こることが全てにとっての一部になる。そうやって生きる社会が作られている。 そして、匂いというものが、時空を超えて、表れる。 僕たちの体からも毎日こぼれ落ちていく四千万個にのぼる細胞は、そのたったひとつが個体のすべてを表す情報を同じように含むものかもしれず、そのうちのどれほどかは、上手くいって僕たちの寿命をはるかに超える時間で存在していくかもしれない。その欠けらたちは、匂いという哺乳類がもつ強い嗅覚の力を引き出し、それぞれの存在という情報を拾い、伝えるネットワークとなりえるのかもしれない。 目に見ないものが、繋がりを作っている。 象だけではない。ぼくたちひとも同じように、沢山の感覚を呼び覚まされながら生きている。 いつかの大切な記憶、瞬間、人。 普段は思い出せないようなイメージが、鮮明な感情のように湧き上がる。 それだけではなく、いままでに見たこともないものを見たように思い、はじめての場所に立って覚えがあるように思う。わかるはずのないことがわかったり、見えるはずのないものがないものが見えたりする。それらは同じように、きっかけと僕たちがもっている感覚が土台となって、浮かび上がっている。 象が生きているかもしれない世界を少しだけ垣間見る。そうしてみれば、同じくらい少しだけ、ぼくたちのことが分かったような気になる。見るということだけが繋げる世界に生きているだけでは、何気無くふと、ささやかなるぐらいで、僕らのことを通り過ぎていく素晴らしいきっかけたちを掴み取ることは、決してできはしない。 '「答えのない問いを探せ。それこそが大事な問いだ」'
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象は不思議だ。 ライアル・ワトソン博士の生涯と象を我々は追体験したが、それでも象はまだ不思議だと感じた。 1人に見えてずっと大勢と繋がっている姿は、まさにヒトのような姿ではないか。 博士が知り、理解した象は、今、もう別の性質を帯びているのだろう、なぜなら象はそこに居るだけで大勢と繋がり、次の世代へ的確な遺伝子情報を伝えているのだから。 象の変化はその時の全世界の象の意志を反映しているのだとしたら、ヒトにもそれは可能なのではないか。 世界の総意を集め、どう生きていくのかを決めて次へバトンを渡す。その自然な流れを、世界のルールのように、象から理解させられた。
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昔《生命潮流》や《未知の贈り物》や 絵本のような《水の惑星》を 読んで以来のワトソンさんである この本は永遠のゾウとの巡り合いを書き起こすと同時に ワトソン自身の歴史を綴るというもう一つの姿を持ち 最後の執筆とされている本でもある フロリダに栖む7歳の少年ルーキーの話から始ま...
昔《生命潮流》や《未知の贈り物》や 絵本のような《水の惑星》を 読んで以来のワトソンさんである この本は永遠のゾウとの巡り合いを書き起こすと同時に ワトソン自身の歴史を綴るというもう一つの姿を持ち 最後の執筆とされている本でもある フロリダに栖む7歳の少年ルーキーの話から始まる その内容はこの本の本題の一つでもある 時空を超えたコミュニケーションに付いてである ルーキーは鋭い感性を持ったダウン症の男の子である 湿地の散歩とそこに住む生き物達との出合いを 父親とともに愉しんでいた 言葉が苦手でボディーランゲージを使っていたが ある日父には見えない動物が登場して通じない会話に落ち込み TVに登場したゾウを見たことでそれがゾウであると判明したけれど アメリカでは1万年も前に鼻の長い動物はいなくなっていた つまりルーキーは時折1万年越しの幻を見ていることになる ワトソンは南アフリカの喜望峰で生まれ育つ いたずら盛りの10才から13才までの4年間の夏休み 1ヶ月の間親から離れて町の男の子だけで 海の合宿生活をすることになっていた それは自給自足の生活で水と食材を自分達でまかなっていた 2年生の時に三人で水を探しに遠出をすることになり そこで運命を変える幻の白いゾウと出合い釘付けになる事件が起こる それと同時に弓矢を持って羊の皮をまとった人と巡り合う 彼は先住民のホッテントットとかコイサン族であり 年寄りなのか若者なのか分からなかった 本物のストランドローバーだった 彼の名前は「!カンマ」 サバイバルの知識と技術を教わりながら 言葉の交換をしてしばらくの間毎日いっしょに暮らしたが ある日忽然と消えてしまう この二つの出逢いが彼の一生を形成する大きな転機となる ここで意識や五感以上の感覚や存在との出合いを求める 生き方に強く惹かれることになる ネルソン・マンデラが27年間閉じ込められた初めの頃である 《名前は単なる記号でない・重みと歴史を持ち支配の扉ともなる》 《答えのない答えを探せ・それこそが大事な問だ》 《母性は個であり得ず共同体の中心であり太母と呼ばれる》 雌のゾウはいつも大きな存在の一部として自分を認識している 単独の太母(母系制)は存在し得ない 雌が一頭だけになったらもはや何者でもない 最後の7章《時空を超えて》で語られるコミュニケーション というものの無限性は全体観を理解する 個意識の悟りへの入り口となるかもしれない 集合意識と繋がる道程なのかもしれない バーニークラウスは「野生の聖域へ」で音の棲み分けという考えを 持ち出しているという それぞれの種は音響的領域を持っている 生命の全ては自分達専用の周波数帯を分け持っている 地球中に広がって交信できる クジラとゾウは超低周波や高周波を使って 種を超えたコミュニケーションをしているかもしれない 可能性が無限に広がる何ともロマンのある話ではないか
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