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『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内 新潮新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2009/04/20 |
JAN | 9784106103087 |
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『こころ』は本当に名作か
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商品レビュー
3.3
21件のお客様レビュー
小谷野敦(とん)、私の読書記録で確認すると既に8冊読んでいる、私にとっては比較的相性のいい好きな作家さん。 名作評価といえば大袈裟だが、例えば本ブクログなどでも各自素人が思い思いの評価や感想を書いて楽しんでいる。そうした個人評価自体は大した実害はないが、その評価が作品のクオリティ...
小谷野敦(とん)、私の読書記録で確認すると既に8冊読んでいる、私にとっては比較的相性のいい好きな作家さん。 名作評価といえば大袈裟だが、例えば本ブクログなどでも各自素人が思い思いの評価や感想を書いて楽しんでいる。そうした個人評価自体は大した実害はないが、その評価が作品のクオリティ以上に絶賛され世間で名作とまで言われると、一言居士のオジサンは「ちょっと待った」と言わずにはいられない、らしい。 そんな不純な動機から(?)執筆された作品。 まず、世界的権威であるノーベル文学賞の実態について。本書の2009年時点では受賞者105人(内辞退者2人でサルトルとパステルナーク)、またトルストイやグレアム・グリーンなどの巨匠も受賞していない。 有名なところでは、ショーロホフ、ソルジェニーツィン、ユージン・オニール、パール・バック、フォークナー、ヘミングウェイ、スタインベック、キップリング、バーナード・ショー、TSエリオット、ラッセル、チャーチル、ロマン・ロラン、アナトール・フランス、ベルクソン、アンドレ・ジイド、アルベール・カミュ、川端康成、三島由紀夫など。 さて、本書で指摘される疑わしい名作は夏目漱石「こころ」、森鴎外「舞姫」、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、スタンダール「赤と黒」、トーマス・マン「魔の山」などを筆頭にワイルド、フォークナー、ヘミングウェイ、テネシー・ウィリアムズ、ダンテ、近松門左衛門、井原西鶴、上田秋成、樋口一葉、志賀直哉、永井荷風、芥川龍之介、三島由紀夫などの作家が俎上にあがっています。もちろん、これら作家の良作にも触れており、あくまでも過剰評価されている作品には容赦ありません。具体的作品名が気になる方は本書を読んでください。 箸休め的コラムも面白いのですが、専門外の「古典漫画の評価」は思ったより浅く、「児童文学の古典」では「ぼくがぼくであること」「とべたら本こ」「ユタとふしぎな仲間たち」「星の牧場」など掘り出し物件も。 もちろん、筆者による名作の紹介もあります。「源氏物語」「ドン・キホーテ」「ガリヴァー旅行記」「若きウェルテルの悩み」「孤独な散歩者の夢想」「プライドと偏見」「レ・ミゼラブル」「ジェイン・エア」「白鯨」「モンテ・クリスト伯」「ハックルベリー・フィンの冒険」「水滸伝」etc. 個々の作品への評価は別にしても、著者の読書量はやはりすごい。太宰治の「女生徒」を評価しているのも信用出来ます。
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著者がこれまで読んできた、名作と呼ばれる小説を選定した本。冒頭で、文学には普遍的な価値基準は存在しない、と前置きしたうえで、名作本をいくつかの段階に分ける。著者の見解として、紫式部『源氏物語』、シェイクスピア作品、ホメロス『イリアス』、『オデッセイア』、そしてギリシャ悲劇(ちな...
著者がこれまで読んできた、名作と呼ばれる小説を選定した本。冒頭で、文学には普遍的な価値基準は存在しない、と前置きしたうえで、名作本をいくつかの段階に分ける。著者の見解として、紫式部『源氏物語』、シェイクスピア作品、ホメロス『イリアス』、『オデッセイア』、そしてギリシャ悲劇(ちなみにギリシャ喜劇のほうは面白くないと考える。笑いは地域と時代によって通用しないからだという。)が最高峰の名作だという。先ほど述べたように、文学において普遍的な要素を求めるべきではないし、著者自身もこれらの作品が後世に読み継がれる保証はないと考える。それでも、近代の作品と比べると上記の作品のほうが長い時を経ても耐えているので、作品としては上手である。 その一方で、一般的に名作といわれる小説、たとえば夏目漱石『こころ』が本当に名作に値するのかを本書の後半で検討する。たとえばドストエフスキー『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』やダンテ『神曲』に関しては、キリスト教に馴染みのない人に深く理解できるのかと、著者は疑問を投げかける。それ以外にも有名な作品を批判するが、全体的に見て近代以降の作品が多い印象である。言い換えると、著者は読者に近代以前の名作を読むように推奨してるような気がする。
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おもしろかった。突飛な意見もあるが、私には著者の意見は的を射てゐると思った。高校の時に買はされ、教科書で読まされたこゝろはつまらなかった。昔私は、自身にとってつまらなかったり理解できなかったりしても良い作品はあると思ってゐた。いま考へると自己欺瞞だったのだらう。書き方がいやといふ...
おもしろかった。突飛な意見もあるが、私には著者の意見は的を射てゐると思った。高校の時に買はされ、教科書で読まされたこゝろはつまらなかった。昔私は、自身にとってつまらなかったり理解できなかったりしても良い作品はあると思ってゐた。いま考へると自己欺瞞だったのだらう。書き方がいやといふ他人の感想も解るが、よく勉強してゐて芯が通ってゐる事やその正直さを私は評価する。
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