商品レビュー
3.7
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読了。 若い芸術家の肖像やユリシーズより格段に読みやすい。 一番気に入った箇所は、「委員会室の蔦の日」の、スタウト(黒ビール)を「彼はテーブルから瓶を二本取り上げると、暖炉へ持っていき、その内棚にのせた。・・・ニ、三分後、釈明するみたいなポヒョーン!という音がして、コルク栓がラ...
読了。 若い芸術家の肖像やユリシーズより格段に読みやすい。 一番気に入った箇所は、「委員会室の蔦の日」の、スタウト(黒ビール)を「彼はテーブルから瓶を二本取り上げると、暖炉へ持っていき、その内棚にのせた。・・・ニ、三分後、釈明するみたいなポヒョーン!という音がして、コルク栓がライアンズ氏の瓶から弾け飛んだ。」というところ。 暖炉の火でビールが温まるより、ビール瓶の栓を開けることを優先する、なんとも酔っ払いな雰囲気。 解説によると、ポヒョーンの数、スタウト瓶の「きりのいい本数」、スタウトを飲んだ人の数を読み合わせて、爆笑ということらしい。爆笑に至るまで複数回読み直すことになりそう。
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ダブリンを舞台とする短編集であるが、最後の一篇「死者たち」を除いて、短編小説というよりスケッチのような印象を受ける。物語の冒頭から「彼」のような代名詞を持ってくるのが20世紀的。 しかし最も驚くべきは、ジョイスが若干22歳にしてこのようなハイレベルの文章を操っていた事実だろう。 ...
ダブリンを舞台とする短編集であるが、最後の一篇「死者たち」を除いて、短編小説というよりスケッチのような印象を受ける。物語の冒頭から「彼」のような代名詞を持ってくるのが20世紀的。 しかし最も驚くべきは、ジョイスが若干22歳にしてこのようなハイレベルの文章を操っていた事実だろう。 脚注の全くない柳瀬尚紀訳には賛否あると思う。
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前ぶれもなくダブリンの街に放り込まれたような臨場感と躍動感を感じた。 駆け落ち寸前に揺れる心を描く『エヴリン』、心寄せた婦人の気持ちに応えられなかった『痛ましい事故』、どれもありふれた日常に潜むやるせない気持ちが描かれていて味わい深かった。 『死せるものたち』は、ダブリンという...
前ぶれもなくダブリンの街に放り込まれたような臨場感と躍動感を感じた。 駆け落ち寸前に揺れる心を描く『エヴリン』、心寄せた婦人の気持ちに応えられなかった『痛ましい事故』、どれもありふれた日常に潜むやるせない気持ちが描かれていて味わい深かった。 『死せるものたち』は、ダブリンという街の社会的背景が今ひとつ掴みきれないけど、映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』に引用された"生けるものと死せるものに全てに降り注ぐ雪の静けさ"に耳を傾けたい気分になった。
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