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秋月記
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秋月記

葉室麟【著】

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秋月記

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 角川書店/角川グループパブリッシング
発売年月日 2009/01/31
JAN 9784048739214

秋月記

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商品レビュー

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31件のお客様レビュー

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2025/09/30

筑前秋月藩で、郡奉行、町奉行、御用人など要職を務めてきた間(はざま)余楽斎が失脚し、流刑となる。しかし感想を問われて彼は、悔しさを口にするどころか、安堵した旨を述べる。 さてそれは何故だろう?という所で、物語は余楽斎が吉田小四郎と名乗っていた幼少期にさかのぼる。 まず主人公達の...

筑前秋月藩で、郡奉行、町奉行、御用人など要職を務めてきた間(はざま)余楽斎が失脚し、流刑となる。しかし感想を問われて彼は、悔しさを口にするどころか、安堵した旨を述べる。 さてそれは何故だろう?という所で、物語は余楽斎が吉田小四郎と名乗っていた幼少期にさかのぼる。 まず主人公達の現状が述べられ、次にその現状に在る意外性(当然こうなっているはずが、なぜそう思わないのか/なぜ予想した通りになっていないのか)が、なぜ意外ではない-必然である-のかが、その後に述べられる「過去」によって明らかになっていく。この展開は、著者の『銀漢の賦』と同様であり、ただありきたりに編年体で物語を進めるのでなく、敢えて読者に登場人物に対して誤った印象を先に抱かせることで、後の出来事により彼に対する認識や印象を一層深める・強めるという効果がある。 さて、本書を読んでいて、くしくも退陣を決めた我が国の宰相が浮かんだ。性格は決して悪いわけではなく、むしろ優しいが、言葉の軽さを責められてその地位を下りることになってしまった。優しさの裏返しは優柔不断であり、誰にとっても優しくあることは、所詮できないのである。全ての人にとって正しいと思える、人生の解がないのだから。だから先頭に立ち為政を行う者は、自ら泥に塗れることを恐れていてはいけないのだ。そして自身を理解してくれる数少ない賛同者の支えを得て、全ての人の幸福ではないが、大局或いは歴史から見れば、これで概ね良かったであろうとする幸福を求めていくほかはないのである。専横を極める家老を排除した間小四郎が、希望と意欲に燃え、藩の改革に進んでゆくうちに悟ったことも、それと同じであった。 武家の世と現代とは生活様式も政治体制も異なるのに、それでも、人の生きる世の中で、変わらぬものはある、いや、変わってはいかないもの、変わってはならないものがあると言うべきか。 歴史上の出来事を描きながら、すぐ先の未来を予見したような作品で秀逸であった。

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2020/05/21

再読。 筑前の小藩・秋月藩での政争を題材にした歴史小説であるが、重層構造ゆえ、多様な読み方ができる。 ①ビジネス小説として 本藩の福岡藩と支藩秋月藩との関係から、現代の親会社に対する子会社が独立を保とうとする抗争劇として。 ②政治小説として 誰が味方で誰が敵か。裏切りと騙し合いが...

再読。 筑前の小藩・秋月藩での政争を題材にした歴史小説であるが、重層構造ゆえ、多様な読み方ができる。 ①ビジネス小説として 本藩の福岡藩と支藩秋月藩との関係から、現代の親会社に対する子会社が独立を保とうとする抗争劇として。 ②政治小説として 誰が味方で誰が敵か。裏切りと騙し合いが錯綜し、それぞれの心の内が読めない展開に。 「目の前の敵がいなくなれば、味方の中に敵ができる」「金が必要であれば、誰かが手を汚さなければならぬ」と、政治の要諦を示す語りが。 ③成長小説として 幼い日の体験を反省し、「自らの大事なものは自ら守らねばならぬ」「逃げない男になりたい」と誓い、生き抜いた成長物語として。 ④友情小説として 幼馴染7人の交流が清爽に描かれる。彼らが成人後、主人公の危機に助力することになる。しかし、その後立場を異にするが。 主人公が晩年語る言葉が心に残る。 「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ」

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2019/06/07

九州の小藩、秋月藩で専横極める家老を糾弾すべく間小四郎は仲間と立ち上がり家老の排除に成功。しかしその裏には本藩福岡藩の策謀があった。 専横排除のために戦った仲間も現実を知り自らの力の限界を知らされ、また圧力に屈し保身に走っていく。 正義を貫こうとする心意気は、歳をとるとともにあ...

九州の小藩、秋月藩で専横極める家老を糾弾すべく間小四郎は仲間と立ち上がり家老の排除に成功。しかしその裏には本藩福岡藩の策謀があった。 専横排除のために戦った仲間も現実を知り自らの力の限界を知らされ、また圧力に屈し保身に走っていく。 正義を貫こうとする心意気は、歳をとるとともにあるいは立場によってともすれば萎えて事なかれという気持ちになりがちで、それでも頑張ろうとする者は周囲から浮いてしまうことがある。 私達の平凡な人生でも、悪さも一緒だった竹馬の友、馬鹿騒ぎをしたり、反体制デモ、シュプレヒコールをともに叫んだ学友も妻を娶り子をなし、仕事もそれなりの地位を得れば良くも悪くも皆落ち着いてくるもの。 そんな中にあっても幼少期に妹を死なせた後悔ゆえに「逃げない男」になると決めた小四郎は本藩に取り込まれぬように奮迅する。 人はなんのために生きるのか、様々な選択肢はある。 小四郎のそれは正しく生きている人間が幸福に生きていかれる世の中になるべく命がけで働く事だったのだろうか。 そして彼は妻に「この世の一番の悪は怠けだ」と語る。

Posted by ブクログ