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悲しみよこんにちは 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2008/12/22 |
| JAN | 9784102118283 |

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商品レビュー
4
438件のお客様レビュー
才能に脱帽
眩しい太陽、南仏の海、松林。煌めく夏に包まれて、少女は想いをめぐらせる。思春期の少女だけに許される、ある種の残酷さと傲慢さ、危うい魅力。それを余すことなく描ききった18歳のサガン……その才能に脱帽。
yui
2026.51 夏のおすすめとしてSNSで紹介されており気になっていたところに、新潮社文庫50周年のプレミアムカバーが藤色で素敵だったので購入。 美しい夏を感じる描写が多く、それらがみずみずしくて、これは確かに夏にぴったりの本だなあと思った。初夏に読むべきだった。 読みや...
2026.51 夏のおすすめとしてSNSで紹介されており気になっていたところに、新潮社文庫50周年のプレミアムカバーが藤色で素敵だったので購入。 美しい夏を感じる描写が多く、それらがみずみずしくて、これは確かに夏にぴったりの本だなあと思った。初夏に読むべきだった。 読みやすいのは河野万里子さんの訳だからなのかもしれない。他にも河野万里子さん訳の作品があるなら読んでみたい。 巻末にある作家の小池真理子さんによる文章も素敵だった。わたしの知らない"あの頃"の雰囲気を想像しながら読んだ。 === P31 わたしはコーヒーカップとオレンジを一個持って、ゆったり石段にすわり、朝の楽しみにとりかかった。まずオレンジをかじる。口じゅうに甘い果汁がほとばしる。続いて、やけどしそうに熱いブラックコーヒーをひと口。それからまた、さわやかなオレンジ。朝の太陽がわたしの髪をあたため、肌についたシーツの跡を消していく。あと五分で泳ぎに行こう。 P38 水底にすてきな貝がらがあるのを、わたしは見つけた。実際は、バラ色とブルーの小石だった。わたしはもぐってそれを拾うと、昼食まで大事に手のひらでころがしていた。これをお守りにして、夏のあいだずっと持っていよう、とわたしは決めた。なんでもなくしてしまうわたしが、なぜこれだけはなくさなかったのか、わからない。石は今も、わたしの手のひらにある。バラ色で、あたたかみを帯びて。そうしてわたしを、泣きたくさせる。 P73 ただ明け方、パリの車が流れていく音だけを聞きながらベッドにいると、ときどき記憶がよみかえる。夏かまた、すべての思い出を連れてやってくる。アンヌ、アンヌ!闇のなかで、わたしは彼女の名前を、低い声で、長いあいだくり返す。するとなにかが胸にこみあげてきて、わたしはそれをその名のままに、目を閉じて、迎えいれる。悲しみよ、こんにちは。 P182 ヒロインを演じた当時十九歳のジーン・セバーグの髪型が、「セシル・カット」と呼ばれて大流行し、『悲しみよ こんにちは』とサガンの名前は、ますます世界じゅうに広まっていった。 P192 全国を学園紛争の嵐が吹き荒れていた時代だった。運命を掲げ、論じ、デモの隊列の中から火炎瓶を投げては、機動隊にジュラルミンの橘で押しつぶされそうになっていた学生も、うすぐらいジャズ喫茶で煙草の紫煙に包まれながら、深夜まで、どこかで聞きかじったような言葉を連ね、仲間と議論し続けていた、無精髭とぼさぼさの長髪をトレードマークにした男たちも、私の知る限り、皆、こっそり陰でサガンを読んでいた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一文一文を読むのがとても楽しかった。綺麗でした。 最初は、夏の別荘で過ごす少女の青春小説のようなイメージで読み始めたけれど、死までつながっていくとは思わず、思っていた以上に重い話だった。セシルの行動には、悪いことをした少女の話として片付けるのではなく、自由でいたい、自分の生活を変えたくないという気持ちが、少しずつ取り返しのつかない結果につながっていくところが印象に残った。 「罪は、現代社会に残った唯一の鮮明な色彩である」という一文が印象的だった。罪そのものを肯定しているのではなく、社会の中で感情や欲望を抑えて生きる人間にとって、罪はむしろ自分の欲望や感情がむき出しになる瞬間なのかなと思った。そう考えると、セシルの自由への執着や、アンヌに対する複雑な感情も少し違って見えてきた。
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