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誰の中にでもいる彼 角川文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
| 発売年月日 | 2008/11/25 |
| JAN | 9784043928019 |

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商品レビュー
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夜光虫、テレーゼ、結構な人生、心の壁 愛の歌。この4作が良かった。良かったと感じた順番も、この通り。 蓮見さんの文体には、彼の哲学/美学が、そのまま表れているように思う。センテンスが短く、端的で、言葉の選択に無駄がない。まるで詩歌のような美しさを湛えている。短編だと、その美質がよ...
夜光虫、テレーゼ、結構な人生、心の壁 愛の歌。この4作が良かった。良かったと感じた順番も、この通り。 蓮見さんの文体には、彼の哲学/美学が、そのまま表れているように思う。センテンスが短く、端的で、言葉の選択に無駄がない。まるで詩歌のような美しさを湛えている。短編だと、その美質がより冴える。 前述の作品は、題材と相俟って素晴らしかった。 これほど彼の作品には好感を持っているのだが、ただ一つ、ミソジニー的な視点が散見されるのが、本当に残念。 ある時代を描く際に、登場する人物や背景が、旧弊な意識を纏っていることは「作中の事実」で構わないが、作者の価値観/蔑視が「現実」として響いてしまうことは、いい作家だけに寂しく思う。 とはいえ、佳作ではあるので、一読をお薦めする。
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標題作を含む7編の短編集。 ーー人生には忘れがたい瞬間があるーー 「水曜の朝、午前三時」でも直美と臼井が出会うシーンで使われたこの言葉が、この短編集の作品「誰の中にでもいる彼」と「ハッピー・クリスマス、ヨーコ」でも使われている。歳月と共に恋は色あせ、危機を迎えた夫婦の夫が、妻に出...
標題作を含む7編の短編集。 ーー人生には忘れがたい瞬間があるーー 「水曜の朝、午前三時」でも直美と臼井が出会うシーンで使われたこの言葉が、この短編集の作品「誰の中にでもいる彼」と「ハッピー・クリスマス、ヨーコ」でも使われている。歳月と共に恋は色あせ、危機を迎えた夫婦の夫が、妻に出会った運命の時を思い出して語るシーン。燃えるような恋とその顛末を語るにつれ、心境に変化が生まれる過程がなんともいい。 1話だけ趣向が異なる「夜光虫」は、戦争中、潜水艦の中で激しい爆雷の攻撃を受け、死に直面して考えたことを孫に伝える元海軍医官の話で、これも秀逸。このモチーフがのちの作品「八月十五日の夜会」に引き継がれているらしい。 そちらも是非読みたい。
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安っぽいドラマだと思われるかもしれない。 でも私が蓮見圭一の小説にハマるのは、そのどれもが「誰の中にでもいる彼」というタイトルが象徴するような、誰にでも何かしらあるであろうドラマにこそ価値を求めるからである。 わかったようでわからない、それでもそれに振り回され、囚われる人生に各々...
安っぽいドラマだと思われるかもしれない。 でも私が蓮見圭一の小説にハマるのは、そのどれもが「誰の中にでもいる彼」というタイトルが象徴するような、誰にでも何かしらあるであろうドラマにこそ価値を求めるからである。 わかったようでわからない、それでもそれに振り回され、囚われる人生に各々がどう取り組んでいるか、取り込んできたか、小説を読みながらいろんな像が頭の中に浮かんでいる。 収録されている短編の「テレーゼ」、「夜行虫」は怖かった。著者の「八月十五日の夜会」も併読しているせいか、戦争のことを考えることが多くなった。道端を歩いてすれ違う人の顔を見ながら、私はこの人達と同じ日本人として一緒に戦争に向かえるだろうか?日本のこと、国益を大事に思うけど、思いを同じにして一緒に戦えるのだろうか?そんなことを考えたりしていた。実際には日本が直接戦争に向かうことは無いだろうし、そんなことがあったら全力で阻止するであろう。 時はまさに終戦記念日が近づく日より。 遠く神社の階段の木陰で蝉が鳴く声が響く。 そんな情景がよく思い浮かぶ。
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