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鉄の時代 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集Ⅰ-11
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鉄の時代 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集Ⅰ-11

J.M.クッツェー(著者), くぼたのぞみ(訳者)

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鉄の時代 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集Ⅰ-11

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2008/09/30
JAN 9784309709512

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鉄の時代

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2026/01/02

母から娘への手紙という書簡形式の中で、1980年代南アフリカのアパルトヘイト体制の実情を描く作品。 死に急ぐ黒人少年を直に目撃することで、白人の老婆が死を間際に葛藤する内面描写が凄まじい。 読み進めるうちに、本書で語られるのは単に母から娘に宛てた手紙ではなく、著者から読者へ宛て...

母から娘への手紙という書簡形式の中で、1980年代南アフリカのアパルトヘイト体制の実情を描く作品。 死に急ぐ黒人少年を直に目撃することで、白人の老婆が死を間際に葛藤する内面描写が凄まじい。 読み進めるうちに、本書で語られるのは単に母から娘に宛てた手紙ではなく、著者から読者へ宛てた手紙でもあると認識する。 (p.123〜p.124) 「わたしがあなたにこの物語を語るのは、わたしに共感してもらうためではなくて、事態がどうなっているかを学んでもらうためだから。(中略)もしもことばのなかに嘘、嘆願、弁解が織り込まれていたら、どうかそれに耳を澄まして。読み飛ばしたりしないで、安易に許したりしないで。この懇願にしても、厳しい目で、すべてを読んで。」 上記の文章は、まさしく読者への忠告だと読み解くことができる。この文章の前後で、黒人少年が白人に無慈悲に殺されていく様子が生々しく描かれる。読者は否が応でもアパルトヘイトの現実を直視させられる。 そんな中でも、(p.223)「人はひたすら、話に耳を傾けるすべを学ぶべきなのだ。」等、著者の祈りのようなポジティブなメッセージも随所に散りばめられている。本作のこうしたメッセージを、母が娘に生命を繋ぐように、読者は次世代に繋いでいく必要がある。 ひとりの女性の視点から、アパルトヘイト体制(鉄の時代)の南アフリカが抱える様々な問題を徐々に浮き彫りにさせていく構成が非常に見事な作品だった。

Posted by ブクログ

2025/12/20

南アフリカの実情(ちょっと昔の?)が描かれた作品。南アフリカの事情にはとんと疎く、舞台とされている作品を読んだのもこれが初めて。 ストーリーがあるというよりも、一人の女性の独白に近い形式。本当はもっと悲惨で暴力の渦巻く世界なのだろうけれど、この作品では過激な描写もありはするものの...

南アフリカの実情(ちょっと昔の?)が描かれた作品。南アフリカの事情にはとんと疎く、舞台とされている作品を読んだのもこれが初めて。 ストーリーがあるというよりも、一人の女性の独白に近い形式。本当はもっと悲惨で暴力の渦巻く世界なのだろうけれど、この作品では過激な描写もありはするものの、もっとその国が形成されてきた歴史を女性がどう感じているかなどの観念、形而上に焦点を当てている。 作品では全くと言っていいほどに、黒人と白人のことは描かれていないので、主人公の女性が白人で、その周囲の人々が黒人であることを理解しないまま読み進めていきそうになるが、そうなるとこの作品の勘所が掴めないのでそこは注意。

Posted by ブクログ

2022/09/23

220923*読了 50歳の男性が、60代のガンに侵された女性の心情を描いた点に力量を感じました。 どこにも違和感がない。 南アフリカも、アパルトヘイトの時代も、自分にとってはあまりにも遠く。それは本や映像で知る回数の多い、第二次世界大戦よりもさらに遠く。 自分が全く知らなかっ...

220923*読了 50歳の男性が、60代のガンに侵された女性の心情を描いた点に力量を感じました。 どこにも違和感がない。 南アフリカも、アパルトヘイトの時代も、自分にとってはあまりにも遠く。それは本や映像で知る回数の多い、第二次世界大戦よりもさらに遠く。 自分が全く知らなかった世界、あまりにも苦しい人生を生きた南アの少年たちに触れ、重苦しい気持ちになりました。 自宅の庭にホームレスが棲みつく、家政婦の息子の友達が居座る、うん、想像もつかない。 ミセス・カレンはガンを宣告され、娘はアメリカにいて、孤独感を感じたのだろう。 そんな時に自分のもとに臨まざるともやってきたファーカイルに縋りたかったのだろう。 だんだんと二人の心が近づいていく様子は、恋愛のようにも思える。それが死が目前に迫る、限られた時間だからこそのものであっても。 娘にこの遺書は届けられたのだろうか。 届けられる側はすごく辛いだろうけれど。私なら、母の遺書を読みたいかな。そこに何が書かれているのか、とても怖いと思う。 もし読んだとして、この内容だとしたら、私はどう感じるだろう。 母の最後に寄り添ってくれた人がいたことには安堵するだろうか。

Posted by ブクログ

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