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寺社勢力の中世 無縁・有縁・移民 ちくま新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2008/08/10 |
JAN | 9784480064356 |
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寺社勢力の中世
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商品レビュー
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10件のお客様レビュー
『平家物語』などを読んでいた時にうっすら感じていた違和感がこれで解消した。 「誰か忘れている、描かれていないファクターがあるのではないか?武士·大名、朝廷や幕府以外で描かれていないものがあるよなぁ」 それが寺社勢力。軍事力を持ち、朝廷や幕府に影響しながらもそれに深く介入して滅ぼさ...
『平家物語』などを読んでいた時にうっすら感じていた違和感がこれで解消した。 「誰か忘れている、描かれていないファクターがあるのではないか?武士·大名、朝廷や幕府以外で描かれていないものがあるよなぁ」 それが寺社勢力。軍事力を持ち、朝廷や幕府に影響しながらもそれに深く介入して滅ぼされることもない。 叡山門前の京都、各地に商工業、金融、軍事の一大センターである寺社勢力があった、その詳しい姿がを知ると歴史や物語の見方が広がってくる。 根来衆や高野山叡山三井寺の軍事力はなんとなくわかっていたけど、それを深堀りすると、民衆史経済史として中世やその前後にかなり大きな影響をしていたことがよくわかった。
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中世は「警察官が罪もない者をつかまえて、犯罪人のレッテルを貼って財産を自分のものにする」ことが検断得分として横行していた(伊藤正敏『寺社勢力の中世 無縁・有縁・移民』筑摩書房、2008年、133頁)。冤罪を作ることが利権となっていた。 「地頭側は百姓達に様々な嫌疑をかけ、科料を...
中世は「警察官が罪もない者をつかまえて、犯罪人のレッテルを貼って財産を自分のものにする」ことが検断得分として横行していた(伊藤正敏『寺社勢力の中世 無縁・有縁・移民』筑摩書房、2008年、133頁)。冤罪を作ることが利権となっていた。 「地頭側は百姓達に様々な嫌疑をかけ、科料をとったり、その身を押さえたり、あるいはその一族を身代として捕らえる等の行為に及んでいる。その際、十分な捜査を行っていないことについても訴えられている。そのうえ、百姓達の財産を押収していることもある」(高橋典幸、五味文彦編『中世史講義 院政期から戦国時代まで』筑摩書房、2019年、110頁) 近年の歴史学は百姓らが支配され、搾取される一方ではなく、逃散や訴訟など抵抗する存在であったことを重視する傾向がある。紀伊国の荘園の百姓の訴状では「ミミヲキリ、ハナヲソキ」と地頭の非道を訴えている。これも近時は百姓が地頭の一方的な支配に抵抗していたことを示すものと解釈される傾向がある。 とはいえ、百姓が抵抗していたことは、地頭の非道がなかったことを示すものでも、地頭の非道が常に是正されたことを示すものでもない。ブラック企業が社会問題になり、糾弾されているとしても、世の中にパワハラや出社ハラスメントがなくなった訳ではないことと同じである。 むしろ、「泣く子と地頭には勝てぬ」という言葉が生じたように地頭の非道に泣き寝入りすることが多かっただろう。この「泣く子と地頭には勝てぬ」という言葉が流布したところに日本社会の後進性がある。 現代日本の刑事司法は人質司法や弁護人の同席なしの取り調べなど人権無視の状況である。これは国際的には日本の刑事司法は中世レベルと批判されている。これは非常に深刻な問題であるが、批判された日本側の意識は低い。そこには中世の非道な状況も「泣く子と地頭には勝てぬ」で受け入れている鈍さも一つの要因だろう。
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他の方の感想と同じになるが、網野善彦の無縁から発展させて寺社勢力に着目したとても興味深い本。 中世資料がほとんど寺社にしかないとは知りませんでした。 京都祇園社まで延暦寺だったとも知りませんでした。 目から鱗が何枚も落ちたが、その割に凄くいい本のときに感じるオーラがないのは何故だろう。 網野善彦の異形の王権なんかはオーラ感じまくりだったのだが。 著者の思い入れや主観が入りすぎているためかもしれない。 勉強にはなったが、今ひとつ入りきれなかった。
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