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夢小説・闇への逃走 他一篇 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1999/06/18 |
JAN | 9784003243053 |
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夢小説・闇への逃走 他一篇
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商品レビュー
4.1
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
併読している『芸術・無意識・脳』の序盤で紹介されているシュニッツラー、一作も読んだことがなかったので、とりあえず借りてきました。読む前から半ば分かっていたけど、好きだわ笑。 表紙はクリムトの「悲劇」、収録作品は3作品。みんな旅に出ます。笑 「死んだガブリエル」 ガブリエル(男)を恋から死にやった女と付き合っている主人公の男が、ガブリエルに恋していた女(恋敵と主人公が付き合っていることは知らない)をけしかける話。 …ヴィルヘルミーネはもう一度二人に手をさしだした。そしてイレーネとの再会を願うかたわら、フェルディナントに、この勝負はわたしの勝ちね、といわんばかりに笑いかけた(p.30) …突然、ひしと抱きすくめられ、唇にイレーネの唇を感じた。むせるような、熱い甘美な口づけ。これまで一度も味わったことのない口づけだった。それほどかぐわしく、神秘にみちていた。いつはてるとも知れないキスがつづいた。馬車がとまったとき、唇がはなれた。…「ついていらしてはだめ」イレーネはきびしく言いのこした(p.31) 二人の魅力的な女性笑 「夢小説」 自己中心的な男の調子のいい話で、自分のために美しい女性が何人も犠牲になる。忍びこんだ仮面舞踏会が現実のものかはわからない… 最近息を吸うように遊べる男性の側にいるときに感じる諸々が描かれているので笑笑、遊び人の思考って古今東西・万国共通なんだなと感慨深い…。そういう人の"妻"の女性は一番辛いから、アルベルティーネのような復讐をするしかない気持ちもわかる笑 ちなみに私の立場はまんま娼婦のミッツィだったのは自分でも笑ったw …フリドリンは熱い血が逆流するのを感じた。娘のそばに歩みよって、抱きしめようとした。そして信用すると言いながら、あけすけに心配のたねを打ち明けた。娘を引き寄せ、愛する女に求めるようにして愛を求めた。娘は拒んだ。彼は恥ずかしくなって中途でやめた。(p.65) この行きずりの女だからこそ・自分の人生に深く関わってこない女だからこそ「あけすけに心配のたねを打ち明けられる」んだなという。自分もあまり仲良くない人の方が話せることもあるという風に頭ではわかっている一方で、女だからか私だからなのか、仲いい人の方が深く話せるので、そもそも理解しようとすることを止めようと思いました笑。理解しようとすることが、自分の物差しでどうしても歪曲して見てしまうことに繋がるから。 「闇への逃走」 ”忍び寄る狂気の影におびえ、とめどない妄念の自己増殖に自らを失ってゆく”という表紙の説明がぴったり。 自分が狂気に陥っているかもしれず、周りにそう思われているかもしれないという強迫観念を揺り戻しにあいながら、結局はつきつめてしまうローベルト。真に迫っていて、そして迎える破滅が切ない。きっとこうなのだろう。 …「まだ夢を見ているんだ。さあ、目をさませ。ぼくだよ、ローベルトーおまえの兄だ、兄のオットーだ。何をまたありもしないことを考えている?兄のオットーだよーいいか、わかるだろう。ありえないとも、おまえが正気じゃないなんてーおまえが狂ー」(p.320) 冒頭で、…兄弟の絆こそ、自分の存在にとって最良のものであり、この世でただ一つ、不滅を約束されたものと思わずにはいられなかった。親との縁よりも強い。親は早晩、老いを迎え、死んでいく。わが子との関係よりもうちょい。ローベルト自身は、ついぞわが子を持たなかったが、いずれ青春という名のもとに親から去っていくことは承知している。これに対して兄弟の絆は、ふいに魂の暗い奥底からたちのぼって男と女をつつみこむ、あの黒い影とは、きれいさっぱり無縁でいられる。(p.168) 冒頭のこの口調、私も100同意する兄弟の絆について語っていたローベルトが行き着く先が兄を殺し、自分も死ぬ結末だと思うと切ない。世紀末の甘やかさと暗黒が、私に眩暈を与える。
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初読み作家。 訳がいいのか読みやすくてあっという間だった。 全体的にふわふわ&混沌としているけれど、文章があっさりめなのでバランスが良いと思う。 狂人と好奇心に任せてふわふわしている男性たちの物語り。 お気に入り作家に入りました。
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岩波文庫は解説がよい。しっぽまで餡がつまったたい焼きのようで満足。この本も池内紀氏の解説が出色で、世界文学の中で独自の立ち位置を示すシュニッツラーをエピソード豊かに紹介してくれている。 巻頭を飾る「死んだガブリエル」が素晴らしい。期待せず読んだ分、思わぬ拾い物を見つけた気持ち。短...
岩波文庫は解説がよい。しっぽまで餡がつまったたい焼きのようで満足。この本も池内紀氏の解説が出色で、世界文学の中で独自の立ち位置を示すシュニッツラーをエピソード豊かに紹介してくれている。 巻頭を飾る「死んだガブリエル」が素晴らしい。期待せず読んだ分、思わぬ拾い物を見つけた気持ち。短編の妙技。
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