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日高敏隆選集(8) 人間はどういう動物か
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | ランダムハウス講談社 |
| 発売年月日 | 2008/06/27 |
| JAN | 9784270003756 |

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日高敏隆選集(8)
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA86412060
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日高さんは、動物行動学の泰斗。というより、日本におけるこの学術分野は日高さんから始まったと言ってよい。「チョウは、どうしてお庭の決まった所しか飛ばないんだろう」という、本書の冒頭にある日高少年の素朴な疑問から、日本の動物行動学は生まれた。 夏休み、虫取り網を振り回して昆虫採...
日高さんは、動物行動学の泰斗。というより、日本におけるこの学術分野は日高さんから始まったと言ってよい。「チョウは、どうしてお庭の決まった所しか飛ばないんだろう」という、本書の冒頭にある日高少年の素朴な疑問から、日本の動物行動学は生まれた。 夏休み、虫取り網を振り回して昆虫採集に夢中になった記憶は、多くの者がもつ。だが、並みの男の子たちは、ハンターとしての本能に駆られて無闇にチョウやカブト虫を採りまくっていただけだ。少なくとも私はそうだった。 ある種のチョウには、どこをどんな風に飛ぶかの法則性がキチンとあるという、いわゆる「チョウ道」の発見へと発展していく長い長い探求のきっかけが、少年の素朴な疑問であったのだ。だが、そののち研究者となった後までも連綿と繰返されていく、仮説、検証、失敗、仮説の再構築、検証・・・法則発見という、根気強い学問的営為に発展してゆくところが、我々凡人とは大いに異なるところだ。 『昆虫記』のファーブルが面白いのも、『攻撃』のコンラート・ロレンツが人を惹きつけるのも、根気強い観察と諦めない探求により、生き物が「どうしてそうするのか」をひとつひとつ解き明かしてくれるひとつの物語であるからだろう。さらには日高さんの著作は専門書にもかかわらずわかりやすい語り口で、読み物としても一級である。 私のようなものでも、もし学者になったらと考えてみたことが一度ある。 栗本慎一郎に触発されてだった。今は健康食品の宣伝マンの彼だが、遡れば前は国会議員だった。さらにその前は経済人類学の学者だったのだ(さらに前は仮面ライダーの製作者だったり)。栗本流経済人類学の影響で、やるなら経済人類学、と決め込んでいた。 当時の経済学は学としての権威は高いが実用性実効性には著しく欠けた学問だった。経済学部の教授といえば、福祉学部やら環境学部、国際学部みたいなところよりも一段高いところみたいな印象だけはあった。だが、経済学者と称する学者のなかに来年の景気が上向くか下がるか、予想を当てられる者は1人も居なかった。役には立たないのが経済学の通り相場であった。 栗本流の経済人類学は、旧来の経済理論ではなく、数々の異分野の研究手法や論理をごった煮のごとく導入したところが魅力だった。ごった煮の「具」は、人類学のフィールドワークのような目の前の現実を観察する手法だったり、秩序正しい営為から輩出されるカスが目に見えずにたまってゆくという資源物理学のエントロピーの理論だったりした。そしてロレンツや日高さんの動物行動学だった。結局その膨大な知の森に踏み込むことはしなかったが、役に立たない「学」ではなく、なにか目の前の現実にしっかり向き合う手ごたえのある学問だという予感だけは感じていたものだった。そう感じさせた一番美味しい「具」が日高動物行動学であった。 先日馴染みの書店の「話題の本」コーナーで見かけて「あ、あの日高さんの本だ」と、ずっと気にかかっていた。昨日BSNHK週刊ブックレビューで、サックス奏者兼ミジンコ研究家の坂田明さんが絶賛していた。あわてて件の書店で買い求め、母の病院への行きかえりに高速バスのなかで読んだ。面白くて一冊があっという間だった。 あらゆる学問に肝心なのは、結局のところ、失敗を繰り返し、思惑違いの連続であっても、根気よく真実を求め続け、仮説を立て続ける探求姿勢であると強く教えられる。 そして、日高さんの語り口が他の学者と決定的に違うのは、「ぼくのお家のお庭」に迷いこんだチョウが「どうしてそういうふうに飛ぶのか」といった、普通の目線から絶対に遊離しないことだ。高いところから始まってより高いところに到達する、結局終始わからないといった学術論ではないことだ。 そんなやり方なら、失敗しても苦労してもきっと楽しかったに違いなかろうと思える。 そして勿論、読んでこれほど解り易くて楽しいものもない。
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