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氷点
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 1970/05/30 |
JAN | 9784022538031 |
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氷点
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初めて読んだのは中学三年生、15歳。 夏休み、宿題をやりに出かけた公民館の書架で見つけ、何気に読み始めたら止まらなくなり。 貸し出してはもらえなかったので、数日通って読んだ。 娘が連日熱心に勉強していると思いこんでいた母に初めは内緒にしていたけれど、我慢できなくて「おかあさんも氷...
初めて読んだのは中学三年生、15歳。 夏休み、宿題をやりに出かけた公民館の書架で見つけ、何気に読み始めたら止まらなくなり。 貸し出してはもらえなかったので、数日通って読んだ。 娘が連日熱心に勉強していると思いこんでいた母に初めは内緒にしていたけれど、我慢できなくて「おかあさんも氷点読んだ?」と聞いたら、もちろん読んだ、ドラマ化もされて内藤洋子さんがとても可憐で涙した、と話してくれた。 幼心に感じた、罪と罰、人間の業、みたいなものへの疑問や衝撃が、30年以上経った今も余韻として続いている。
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何度も映画やドラマ化されて多くの人が知っている小説。人間の原罪、がテーマ。 クリスチャンの三浦綾子が描く物語だから根底にはキリスト教というものがあるのだろうけど、要素としてものすごく強いわけではないと私は感じた。 宗教よりもっと普遍的な感覚で、人間の根底にある悪を登場人物の中に見...
何度も映画やドラマ化されて多くの人が知っている小説。人間の原罪、がテーマ。 クリスチャンの三浦綾子が描く物語だから根底にはキリスト教というものがあるのだろうけど、要素としてものすごく強いわけではないと私は感じた。 宗教よりもっと普遍的な感覚で、人間の根底にある悪を登場人物の中に見るような。 主人公の少女・陽子は高潔な人間だけど、それ以外の登場人物にはもれなく“悪”の要素があって、だけどその“悪”に走ってしまう理由が理解出来るから、不可解とは思わない。 とりわけ“嫉妬”という悪い感情が多く登場人物の中に見て取れる。そしてその悪い感情がまっすぐではなく複雑に絡まり合って誤解を生んで、その誤解が大きな悲劇を呼んでしまう。 陽子のように高潔で前向きな人間でも、自分のルーツに“悪”を見つけてしまったとき、それまでの前向きさを全て崩すほどのエネルギーを生んでしまう。 そういうものなのだろうか?と想像してみたけれど、高潔だからこそ許すことが出来なかったのだろう、と自分のなかで結論づけた。 陽子が自分や他人の罪に対して潔癖じゃなかったら、もしかしたら結末は違ったのかもしれない。 私の知人が「三浦綾子の小説は宗教くさいから嫌いだ」と言っていて、きっとそういう風に思う人は世の中にたくさんいるのだろうけど、個人的には宗教から切り離しても読めると思った。数年だけどキリスト教について学んだ経験があるから思うことかもしれないけれど。 人間の根底にあるもの。目を逸らしてしまえる人も多くいるけれど、一部の人間は真剣に見つめてしまうもの。 時折現れる自分のなかの原罪にはっとさせられる。私にとっては、そんな物語。
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