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リルケ詩抄 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/04/18 |
JAN | 9784003117910 |
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リルケ詩抄
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リルケ詩抄
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● これは私が自分を見出す時間だ。 うす暗く牧場は風の中にゆれ、 凡ての白樺の樹皮は輝いて、 夕暮がその上に来る。 私はその沈黙の中に生ひ育つて、 多くの枝で花咲きたい、 それもただ総てのものと一緒に 一つの調和に踊り入る為め… ● 誰だ。楽しい生命を捨てる程、 私を愛するの...
● これは私が自分を見出す時間だ。 うす暗く牧場は風の中にゆれ、 凡ての白樺の樹皮は輝いて、 夕暮がその上に来る。 私はその沈黙の中に生ひ育つて、 多くの枝で花咲きたい、 それもただ総てのものと一緒に 一つの調和に踊り入る為め… ● 誰だ。楽しい生命を捨てる程、 私を愛するのは誰だ。 若し一人が私の為めに海で溺れると、 私は再び石から解かれて、 生命に、生命に帰るのだ。 私はそれ程鳴り巡る血にあこがれる。 石はほんたうに静かだ。 私は生命を夢みる、 生命は好ましい。 私をば蘇生させる 勇気を誰も持たないか。 あらゆる最美なものを与へる 生命さへ私が得れば― さうしたら私はひとり、 泣くだろう。石に焦れて泣くだらう。 葡萄酒のやうに熟すとも、私の血が何の役に立たう。 私を最も愛したその一人を 海から呼戻すことは出来ない ● それで再た私の深い生命は一層高く音たてる。 より広い岸の中を行くやうに。 物は愈々私に近しくなり、 すべての景象はいよいよ明かになって、 私は名のないものに愈々親しいのを感ずる。 鳥のやうに私の感覚を飛ばして、 私は樹から風立つた天に達し、 また池の千ぎれた日の中へ、 魚に乗つてるやうに沈む私の感情 ● 時間は傾いて、明るい 金属の響きで私に触れ、 私の感官は慄へる。私は感ずる、私は出来る― そして私は彫望的な日をつかむ。 私の見なかった中は、何も完成してゐなかつた。 総ての生成は止まつてゐた。 私の眼は熟してゐる。そして花嫁のやうに 誰にでもその思ふものが来るのだ。 何でも私に小さ過ぎはしない。私は小さくても愛する、 そして金地へ大きくそれを画いて 高く捧げる。誰にかは知らないが それは魂を解きほぐす… ● 私の生活は、私が急いでゐる この嶮しい時間ではない 私は私の背景の前の一本の樹、 私の沢山の口のただ一つ、 而も一番早く閉ざされるあの口だ。 私は、死の音が高まらうとするので― 拙いながら互に馴れ合ふ 二音の間の休息だ。 しかし暗いこの間隔の中に、 慄へながら二つの音は和解する。 そして歌は美しい ● しかし私は全歩行で いつもあなたを指指してゆく。 我々が互に解らないのなら、 私は誰で、あなたは又誰でせう。 ● 私の眼を消せ、私はお前を見ることが出来る。 私の耳を塞げ、私はお前を聞くことが出来る。 そして足は無くてもお前の処へゆくことが出来る。 口がなくともお前に誓ふことが出来る。 私の腕を折れ、私は手でするやうに 私の心のでお前をつかむ。 心臓を止めよ、私の額が脈打つだらう。 私の額へ火事を投げれば、 私は私の血でお前を担ふだろう ● 私に二つの声を伴はし給へ。 私を再び都会と心配の中へ蒔き散ら給へ。 彼らと共に私は時代の怒の中にゐませう。 私の歌の響であなたの寝床を作りませう。 あなたが望む到処に。 ● ああ、お前を知つてから私の体は 総ての脈管から匂い高く花咲く。 ご覧、私は一層細つて、一層真直ぐに歩く。 それにお前は唯々待ってゐる。-お前は一体誰なのだ。 ご覧、私は自分を遠ざけ、古いものを 一葉一葉に失ふのを感じてゐる。 ただお前の微笑が星空のやうだ、 お前の上に、また直ぐに私の上にも。 私が子供だった年頃、未だ名もなく 水のやうに輝いている総てのものに、 私はお前の名をつけよう、聖壇で。 お前の髪で灯ともされ、軽く、 お前の乳房で花輪をつける聖壇で ●
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リルケを初めて日本で訳した本、ということらしいので多少旧文語というか、云い回しが難しく感じる。 でも新潮文庫の方と比べると個人的にはこちらの方が好みかな。
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