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- 1205-02-22
ともしびをかかげて(下) 岩波少年文庫582
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2008/04/16 |
| JAN | 9784001145823 |
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ともしびをかかげて(下)
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商品レビュー
4.3
12件のお客様レビュー
児童書ながらなかなか重いテーマだった。10代に読んでいたら過酷な人生を歩む主人公や妹のことをどう感じただろうか。もっと早くこの本と出会ってみたかった。 子供たちには、映像情報の洪水に埋もれる前のまだ柔軟で感受性豊かな時にこそ様々な本を読み、多種多様な価値観に触れ、それによって自...
児童書ながらなかなか重いテーマだった。10代に読んでいたら過酷な人生を歩む主人公や妹のことをどう感じただろうか。もっと早くこの本と出会ってみたかった。 子供たちには、映像情報の洪水に埋もれる前のまだ柔軟で感受性豊かな時にこそ様々な本を読み、多種多様な価値観に触れ、それによって自分の心がどう動くか体感して欲しいと願う。
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ローマン・ブリテン四部作を読んできて、一番面白かった。。児童文学でありながら、ご都合主義に終わらない、しっかりと人の生を描き、そこでの挫折や苦悩や葛藤を描ききるそのバランスが本当に良い。一方で、符牒が繋がるシーンは鉄板で胸が熱くなる。あの家族が笑っていた幸福そのもののような時代の言葉が蘇るとき、もう二度と戻らない時間に身を切られるような痛さもある。 「ベンタから山まではたっぷり三百二十キロはある、からな」(上、p.224) 「スモモの木の下のテラスの階段のことを覚えているかどうかきいてごらんそこでおれたちが話あったことを覚えているかどうか、たずねるのだ。オデッセウスが帰ってきた時のことをな。こういってくれーおれがおまえの口をかりて話しているようにいうのだぞ。『ごらん、肩にイルカの入墨があるじゃないか。おれは長いあいだ行方不明になってたおまえの兄きだぜ。』」(下、p.216) そうアクイラが言ったとき、 「でも、わたし、こういうかもしれなくてよ。『よそのおかた、だれでも肩に入墨をすることはできますからね。』って。わたしなら、入墨よりも、そのお鼻のかたちですぐみわけられるわよ。にいさんがどんなに長く留守にしたって。」(上、p.21) がアクイラにもフラビアの心の中にも浮かぶだろう。そうしてそのとき「じぶんではどうしてそうなったかわからないふしぎな方法で、アクイラは失ったフラビアをふたたびとりかえしたのだ」(下、p.238)ことを強く感じるだろう。人生の中で、こうして時を超えて行ったり来たりすることができるということが、温かくもあり、なんともいえない不思議な気持ちが去来する。一言「良かった」とまとめられないことこそが人生であり、澱もあり美しい光もあるのが人生であるということを感じさせてくれるように思えた。 あとぐっときたのは、ブリーハンが好きだったのですが、彼がメダカとアクイラに言った「むすこである、ってことはいったいどういうことなんだい?それにむすこをもつ、ってのはどういうことなんだい?」と答えを待たずに去っていた姿が(下、p.134)、「おれは妹をもたん。だがもしもっていたら、二十年たってもそんなに妹思いでありたいよ。」(下、p.234)といったアルトスの姿が重なる。人生には、持ちたくても伴侶を持てないことも、子どもを持てないこともあるだろうし、その他得たいと思った仕事や栄誉や、健康や人間関係など諸々諦めたことが人にはあると思う。自分が持ちたい・なりたいと思った姿を諦め、自分の心と折り合いをつけながら、それでもそれを持った友を受け入れ、責めず・許すことの人間の温かさというものを感じずにはいられなかった。 それからタイトルの回収はやっぱりぐっと、、きました、、 …「われわれはいま、夕日のまえに立っているようにわしには思われるのだ。」ちょっと間をおいてユージーニアスはいった。「そのうち夜がわれわれをおおいつくすだろう。しかしかならず朝はくる。朝はいつでも闇からあらわれる。太陽の沈むのをみた人々にとっては、そうは思われんかもしれんがね。われわれは『ともしび』をかかげる者だ。なあ友だちよ。われわれは何か燃えるものをかかげて、暗闇と風のなかに光をもたらす者なのだ。」アクイラはだまった。それから奇妙なことばをつぶやいた。「暗闇のむこうにいる人びとは、われわれのことを記憶していてくれるものでしょうかね。」…「おまえさんだの、わしだの、あの連中だのは、すっかり忘れられてしまうさ。たとえあとにくる連中がわれわれのしたことを受け継ぎ、そのなかで生き、死んでいってもな。」(下、p.235-6) 一点だけ言うのならば、私が女だからか、もう大人だからか、フラビアに対する複雑な思いはわかりきらないところもありましたが笑。(対アクイラで笑)
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ブリテンの王子アンブロシウスの部下となるアクイラ。 サクソン軍との戦いに挑むことになる。 ネスを妻とし愛の無いまま結婚生活を送る二人だが、 ネスがアクイラと離れて息子のフラビアンと共に逃げることを是とできない姿に 妹のフラビアの姿が重なったところにはっとした。 アクイラはここでやっと妹の気持ちが理解できて、彼女を許せたのではないだろうか。 ブリトン側が勝利した後、サクソン兵として戦いに出ていたフラビアの息子マルに出会うアクイラが 彼を助け、マルもまた伯父の好意を最終的には受け入れる。 託した指輪が送り返されてきた時にはほっとした。 伝言もフラビアに届けられたことだろう。 このことをアンブロシウスに告白するシーンも心に残る。 下巻の上橋菜穂子先生の『運命の本』という文章も素敵だ。 このシリーズの主人公には必ず『諦めることを受け入れる』という転換期がある。 諦めずに頑張る、というのではなく、諦めてそこを乗り越えるというところに 運命をどう受け入れ生きていくのか、人間の姿が見えてくると思う。
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