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西ひがし 中公文庫
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西ひがし 中公文庫

金子光晴【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2007/12/20
JAN 9784122049529

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商品レビュー

4.1

8件のお客様レビュー

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2024/03/11

パリをはなれ、連れ合いがパリにいるときに、自分でシンガポールやマレーシアやインドネシアの各地を飛び回り、金の算段をしたかと思うと使ってしまうという生活である。アジア旅行といえば言えなくもないが、常に金の心配をしながら、さらに金の算段を目指しての旅であった。アジアの貧乏旅行記として...

パリをはなれ、連れ合いがパリにいるときに、自分でシンガポールやマレーシアやインドネシアの各地を飛び回り、金の算段をしたかと思うと使ってしまうという生活である。アジア旅行といえば言えなくもないが、常に金の心配をしながら、さらに金の算段を目指しての旅であった。アジアの貧乏旅行記としても旅行者にはやくだつであろう。

Posted by ブクログ

2022/04/24

本書は金子光晴の自伝的放浪記の三部作、「どくろ杯」「ねむれ巴里」に続く三作目だ。上海から東南アジアを経てヨーロッパへ。そしてこの三作目では、ヨーロッパから、再び、東南アジアを放浪する。 金子光晴は1895年に生まれ、1975年に79歳で亡くなっている。三部作に描かれた放浪は、昭和...

本書は金子光晴の自伝的放浪記の三部作、「どくろ杯」「ねむれ巴里」に続く三作目だ。上海から東南アジアを経てヨーロッパへ。そしてこの三作目では、ヨーロッパから、再び、東南アジアを放浪する。 金子光晴は1895年に生まれ、1975年に79歳で亡くなっている。三部作に描かれた放浪は、昭和3年から5年間に渡った。昭和3年は1928年なので、金子光晴の30代前半から後半にかけての放浪である。 放浪と言うと、一人旅を思い浮かべると思うが、金子光晴の放浪は、妻の森三千代との駆け落ち風の放浪である。妻の森三千代に自分以外の恋人がいると考えた金子光晴は、二人の仲を裂くために、放浪の旅に出かける。これが旅のきっかけである。 旅行記と言えば旅行記、滞在記と言えば滞在記なのであるが、とてもユニークなものである。 まず書かれたのが、金子光晴の晩年、すなわち、実際の放浪から随分と時間が経ってから書かれている。従って、書かれていることは金子光晴の記憶に頼っているわけであり、細部については正確かどうかは分からない。 この放浪の旅は、赤貧の旅であったし、そもそもが日本を出る以外に何の目的もない旅であり、かつ、金子光晴という人は、あまり先のことを考えない人であったようなので、書いてあることは、その時その時の描写と感想である。全体を貫く何かがあるわけではない。 三部作全体を読んでみて強く印象に残ったのは、金子光晴の精神の自由さである。 とにかく、ほとんど何にもこだわらない。もともと金子光晴は、詩人として有名な人である。そういった言葉の達人が、何にもこだわらない気持ちで書く旅行記は、ユニークな面白さがある。

Posted by ブクログ

2022/04/09

自伝三部作の第三弾。 妻の三千代をアントワープにのこして、著者は一人でヨーロッパを旅立ち、日本へと向かう途中、オランダ領インドシナの国々をめぐります。 上海を出発してパリへと向かう途上でも、著者はしだいに険悪な関係になりつつあった中国人の留学生たちと交流しています。しかし今度...

自伝三部作の第三弾。 妻の三千代をアントワープにのこして、著者は一人でヨーロッパを旅立ち、日本へと向かう途中、オランダ領インドシナの国々をめぐります。 上海を出発してパリへと向かう途上でも、著者はしだいに険悪な関係になりつつあった中国人の留学生たちと交流しています。しかし今度の東南アジア滞在では、時代状況がますます厳しくなっており、著者は東南アジアに暮らす華僑の人びとの対日感情の変化を気にしつつも、異国で暮らす者どうしのあいだにかりそめの関係を結びます。 さらに著者は、アントワープにのこしてきた三千代のことを案じながらも、シャオという男がしきりに女性を紹介しようとするのを強いてしりぞけることもなく、金をうしまいます。他方三千代のほうも、財閥の社長令息とともにヨーロッパを出て著者のもとをたずね、そのまま彼を置いて日本へ帰っていきます。ここでも著者は、妻の前で彼女と旅をともにしている男と相対しながらも、二人の関係をとがめようともせず、そのまま二人を日本へと送り出します。 中国、フランス、東南アジアとつづく著者の旅は、それぞれの土地の文化的風土のちがいを織り込みながらも、変わることのない倦怠感にいろどられています。帰国後の三千代からの手紙によってうかがえる、その後の二人の関係からも、おそらく日本でもおなじような時間が流れていくことになるのではないかと思えて、独特の余韻をたたえているように感じられました。

Posted by ブクログ

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