明治・父・アメリカ 新潮文庫

星新一【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2007/11/01
• JAN: 9784101098173

商品レビュー

2025/08/24

《紹介》
夢を抱き野心に燃えて、単身アメリカに渡り、貪欲に異国の新しい文明を吸収して星製薬を創業――父一の、若き日の記録。感動の評伝。

2024/02/13

背景は明治時代、そして伝記ものとなると必ず躊躇してきた私が、ぐいぐいと引き込まれ、あっという間に読了した。何ともいえない余韻に浸りつつ、この本の魅力はなんぞや？と一考してみた。

まず、著者である星新一の文体が秀逸であることだ。言葉が丁寧で適切であり、読み手への親切心が感じられる。さらにリズム感があって読みやすい。次に、主役である星一（ほしはじめ）の性格がとても魅力的であること。他者に流されず（少々頑固なきらいがあるが）芯がありまっすぐである。金や名声に欲がない。計算高さ、ずるがしこさなど皆無で、読み手の背筋を伸ばしてくれる。

明治時代の歴史的背景について、ほとんど無知である私でも、野口英世、伊藤博文、新渡戸稲造、津田梅子の各氏（みな日本紙幣に採用されているので、当然といえばそうなのだが）は知っている。このような識者との交流を経て、大きく成長していく星から目が離せないのだ。

終始、映画を見ているような気分で、昔懐かしさが込み上げてくる作品だった。
というわけで続編の「人民は弱し　官吏は強し」が楽しみでならない。

2021/05/29

明治の立志伝。当時の人物がいかに高潔であり志が高かったのかが伺える。スクールボーイとしていろんな家に住み込み労働をする場面などが、とても、印象的だった。