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アドルノ伝
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アドルノ伝

シュテファン・ミュラー=ドーム【著】, 徳永恂【監訳】, 柴嵜雅子, 春山清純, 辰巳伸知, 長澤麻子, 宮本真也, 北岡幸代【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 作品社
発売年月日 2007/09/11
JAN 9784861821233

アドルノ伝

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2008/02/28

購入したばかりで未読だが、読み応えのあることは手にとれば一目瞭然。アドルノ生誕百年を記念して刊行。アドルノの下で学び、『啓蒙の弁証法』『否定弁証法』等の論考の訳をはじめ本邦におけるフランクフルト学派研究の中心を担ってきた徳永恂先生及びその門下生の訳。シュテファン・ドームもアドルノ...

購入したばかりで未読だが、読み応えのあることは手にとれば一目瞭然。アドルノ生誕百年を記念して刊行。アドルノの下で学び、『啓蒙の弁証法』『否定弁証法』等の論考の訳をはじめ本邦におけるフランクフルト学派研究の中心を担ってきた徳永恂先生及びその門下生の訳。シュテファン・ドームもアドルノの教え子だそうで、ハーバマスも本書を以てアドルノ伝記の決定版と認めているそうです。私が読んだ箇所に限って述べても、アドルノの姓の由来となった祖父の経歴、テディが愛した叔母のアガーテや母親の成長の過程、テディのギムナジウム生活及びそれぞれの時代背景の記述など人物と時代を双方に配視する構成は一種の「教養小説」の趣がある。難解を持ってなるアドルノの批判哲学が生まれてきた背景を知る上でも重要ではあろうが、800頁超の分厚さそのものが読書の愉楽を味わせてくれるに違いない。筆者はアドルノの弟子筋にあたるとは言え、偶像を作り上げるような書き方はとっていない。アドルノの精神生活にとって、その後失われる幼少年期の幸福が愛惜に富む、いかに重要な意義をもつものであったか、アドルノ自身の心情をよく汲み取りつつ、例えば、私生活における恋愛関係やアドルノのパーソナリティにみえ隠れする虚栄心やナルシズムに言及し、時にシニカルな筆も添えている。恩師であっても、批判理論の学徒に相応しく批判を媒介として、複数的な視点を競合させる弁証法的な構成を本書に認めることができるかもしれない。とはいえ、成長期を扱う第一部を読んだ限りでは、批判的な視点は副次的なものであって、アドルノをはぐぐんだユダヤ系ドイツ人の知的・芸術的な環境がいかに恵まれたものであったかを描き出していると言える。後続の各章が楽しみである。

Posted by ブクログ

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