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風立ちぬ・美しい村 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 1981/02/01 |
JAN | 9784003108918 |
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風立ちぬ・美しい村
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風立ちぬ・美しい村
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商品レビュー
4
17件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「風立ちぬ」はかなり面白かったです。 これは穿った読み方なのですが、トマス・マン『魔の山』と2000年代のセカイ系とを架橋するような作品だと思いました。 この八ヶ岳のサナトリウムには、『魔の山』のセテムブリーニのような癖の強い絡みをしてくる患者はいません。 ただ、節子の死を予告するために、No.17は死にます。 主人公はNo.17と話すことなく、その死を階下の音で知るわけです。 「風立ちぬ」では、死の予感を登場人物に与え続けるサナトリウムという舞台装置だけが取り出されています。 サナトリウムには、実質的に主人公と節子しか登場人物がいません。 そこでは「お互に与え合っているこの幸福、―皆がもう行き止まりだと思っているところから始まっているような生の愉しさ」を味わおうとして、それが終わる物語が展開します。 主人公の構想する小説は、主人公のこの悲劇的な境遇に対する陶酔の表出ですが、メタ的には決して長続きしないもの=死亡フラグとして機能しています。 実際にこの幸福が瞬間的にでも実現しているかというのも、議論の余地がありそうです。 二人はぼんやりとしたり、考え事をしたりして、核心的な話題に触れることを避け続けているからです。 二人は主人公の思っているとおりに通じ合っているのか、すれ違っているのか、すれ違っているとしたらいつからか。そういったことが、一人称小説の特性により終始曖昧にされています。 私としては、幸福からの死という筋立てと、サナトリウムという舞台装置が作り出す物語の圧力がある以上、二人の心は終始通じ合っていて、「風立ちぬ」の序盤には幸福が確かにあったと読むべきだと思います。 病弱な少女だけが主人公の世界の全てであるような物語は、2000年代のサブカルでしばしば描かれ、陳腐化しましたが、それでも否定しきれない魅力があったのは確かですから。 この幸福に綻びが生じたのは、節子の父の来訪でした。 父を前に節子は少女に戻ったように興奮しましたし、主人公は自身の小説を書くという仕事を思い出させられます。 世間から遊離しているサナトリウムという空間で、時が止まったような幸福を享受していた二人が、世間の一員であって幸福がもう続かないことを再認識させられます。 小説の終わりに彼女の死が待っていることは明らかです。 といっても節子の死そのもののシーンは描写されません。 この本は、できるだけ美しいもの(自然、節子、死の予感)を捉え続けようとしているからでしょう。 途中、地の文で節子を指して「病人」ということが増えてくるため少し怖かったのですが、多分、節子よりも病の持つ死の予感をフィーチャーしていたのでしょう。 長い文も多く、表現としては分かりにくいことも多いのですが、主題が親しみ深いので、読みやすいというか懐かしい作品でした。
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風立ちぬ。 “風立ちぬ、いざ生きめやも”出会いから別れまでを淡々と描いている。美しい自然の描写をからめながら静かに、けれどしっかりと生きようとしている2人の姿が浮かび上がる。
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2作品収録。 何気ない日常や心の動き、自然が丁寧で素朴な表現で描かれていた。激しい派手な出来事は起こらないのに、固唾を呑んで2人の行く末を見守ってしまう引力のある作品。 両作品とも4〜5話に分かれており、各話のつながりについていくのが難しく感じられる瞬間があった。しかし、その語ら...
2作品収録。 何気ない日常や心の動き、自然が丁寧で素朴な表現で描かれていた。激しい派手な出来事は起こらないのに、固唾を呑んで2人の行く末を見守ってしまう引力のある作品。 両作品とも4〜5話に分かれており、各話のつながりについていくのが難しく感じられる瞬間があった。しかし、その語られない空白の期間に何があったのかを読者に想像させるヒントが前後にあり、人によって読み方がかなり変わるのではないかと思った。 何度も読み返したい、面白い作品である。
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