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文車日記 私の古典散歩 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
| 発売年月日 | 1978/07/01 |
| JAN | 9784101175041 |

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文車日記 私の古典散歩
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商品レビュー
4.2
26件のお客様レビュー
現在に伝えられる古典…
現在に伝えられる古典の世界の中から著者が選んだ人物に対しての鑑賞文が添えられています。読みやすいです。
文庫OFF
長い間探していたが、母の蔵書の中に紛れていた。67編のエッセイがある。見出しに丸がつけてあるのは気に入ったものだろう。 ざっと読んでみると、想い出すものとそうでないものがある。ジャンルも古典に限ったものでなく落語まである。さすがお聖さんだ、面白い! 二編ずつ読んで考えよう、「そ...
長い間探していたが、母の蔵書の中に紛れていた。67編のエッセイがある。見出しに丸がつけてあるのは気に入ったものだろう。 ざっと読んでみると、想い出すものとそうでないものがある。ジャンルも古典に限ったものでなく落語まである。さすがお聖さんだ、面白い! 二編ずつ読んで考えよう、「その一」と言うことで今日から始める。 額田女王の恋(万葉集) 奔放な歌と物語を残した万葉の星。少女の頃に中大兄皇子に従ってきた大海人皇子と恋に落ちた、厳しそうなお兄さんより優しい微笑と優雅な弟の方がいいわ。 おおらかな歌で斉明・女帝に愛され、有名な歌を読んだ。 熟田津に船乗りせむと月まてば潮もかないぬ今は漕ぎいでな 彼女は宮廷の華、周りの人々の心を惹きつけていた。 兄の中大兄皇子に求められた。斉明帝が崩御し天智天皇が即位し、その男らしい統率力を見て愛人になった。 ある初夏の一日、蒲生野で狩りがもようされ、大海人皇子をみかけて歌った歌。 あかねさす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖ふる 大海人皇子の返歌 紫の匂える妹を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも 周りは大喝采。 座興とはいえ実におおらかな歌だった。 何十年の前の記憶が浮かび、恋の記憶も、馴れ合いの歌の中にはあったのかもしれない。 その後も天智天皇の愛人であり続けたが没年は定かではない。 君待つとわが恋居ればわがやどのすだれ動かし秋の風吹く 晩年の いにしえに恋ふらむ鳥は時鳥けだしや鳴きしわが恋ふるごと どちらの天皇を深く愛したのか、巫女の身分でお后になることはなかったが、聖子さんはどちらも同じウエイトで愛したのではないか、と締めている。 むかしはものを 百人一首の中で人気がある歌。 あひみてののちの心にくらぶればむかしはものを思はざりけり あなたにあってから物思いが増えました、と私などは読み取ってきた。 だが聖子さんは「あひみての」に複雑で皮肉な響きがあるという。 あい見るとは、ただ出会ったのではなくて、既に一夜をともにした。その後男はひょっとして白けてしまったのかもしれない。 あぁ昔思っているだけの日々の方が良かった。恋は萎んだ。 ――作者の藤原敦忠は男女の愛の微妙なながれのゆくすえを早逝者の直感で洞察していたに違いありません。―― こういう読み方は初めて知った。聖子さんの洞察も興味深いものだった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
田辺聖子の作品はいつか読むぞ〜と思っていたけど、エッセイ集からでもいいのかな?どうなんだろう?と思いつつ、冒頭の文章がすんなり入ってきて心地よかったのでそのまま読んでみることにした。 全部読み終えての感想は、わたしは今まで日本の古典を軽視しすぎていた…ということだった。 まず、著者が古典の作者や登場人物を、同じ生きた人間として親しみを持って接していることが新鮮だった。わたしにとっての古典は教科書のもの、そして読みづらい文章が大きな壁となって、共感するまで辿りつくことができなかった。あとは日本語の美しさ!日本語そのものの奥行きの深さに目がいき、日本語に対する興味がぐっと出てきた。こんなことは初めてかもしれない。 なぜ今まで日本の古い読み物を軽視してたんだろう?千年以上の時を超えて今も読まれているものであれば、その内容や表現力は絶対に素晴らしいものなのに…これからは自分の国の文学にも目を向けなければ、という気持ちにさせてくれた。 印象に残っている文章をいくつか記録しておく。 「額田女王の恋」 →初っ端の文章で、古典で描かれる恋愛とはこうだ、という印象を持たせてくれる。額田女王という今でも有名な人物の恋愛は、尊く素敵なものに思われる。幼いころはじめて大海人皇子に会って、そのまま一緒に馬に乗って駆けて、夏の紫草が咲き乱れる花野で過ごした思い出…その後二人の仲は引き裂かれるけど、何年ものちに再開してよんだ歌の美しさ! あかねさす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖ふる 紫の匂える妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも この二人が恋仲であったことを周囲の人は当然知っていて、それを堂々とよむお互いの関係性が素晴らしいと思う。古代は恋愛に対してもっとオープンだったらしいけど、現代って恋愛の大変なところに目が行きがちな気がする。 「あね・おとうと」 →大津皇子と大伯皇女の兄弟愛を超えた関係性が美しすぎる。不穏な情勢の都から、姉に会いたい一心で馬を駆ってきた青年の切実な気持ちを想像すると切なくなる。 「老いゆく君」 →従臣が主君に対してよんだ歌ではないかと著者が言っており、面白いと思った。 天なるや月日の如くわが思へる君が日にけに老ゆらく惜しも 身分の高い主に対して、自分の老いには目を向けず、従臣の世界の全てだった主が老いていく悲しさを歌っている。そこには忠誠だけでなく、性愛も感じる、とのこと。やっぱりいつの時代にもいろいろな関係性がある、と思わせてくれる。 「知盛最後」 →武士の最後、かっこいい 「幾山河」 →若山牧水の歌の素晴らしさ…女学生が夢中になったとあるが、社会人のわたしがすごく感銘を受けている 白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君 「シャロンの野の花」 →以下引用 われはシャロンの野の花 谷の百合花なり 女子等の中にわがとものあるは荊棘の中に百合花のあるごとし わが愛する者の男子等の中にあるは林の樹の中に林檎のあるがごとし 我ふかく喜びてその蔭にすわれり その実は口に甘かりき 彼われをたづさへて酒宴の室に入れたまへり そのわが上にひるがへしたる旗は愛なりき
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