1,800円以上の注文で送料無料

細雪(中) 新潮文庫
  • 中古
  • 書籍
  • 文庫
  • 1225-06-04

細雪(中) 新潮文庫

谷崎潤一郎(著者)

追加する に追加する

細雪(中) 新潮文庫

定価 ¥781

440 定価より341円(43%)おトク

獲得ポイント4P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1955/11/01
JAN 9784101005133

商品レビュー

4.1

82件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/10/16

板倉と災害  この巻は、板倉で始まって板倉で終るので、末っ子の妙子の動向に終始してゐた。またある面では災害の巻として、言葉たくみに水害、風害、病気を読まされて圧倒された。  西洋に人気があるのもわかる気がする。ある時期の人間といふのが、切り出して拡大してみれば誠に波瀾に富んでゐる...

板倉と災害  この巻は、板倉で始まって板倉で終るので、末っ子の妙子の動向に終始してゐた。またある面では災害の巻として、言葉たくみに水害、風害、病気を読まされて圧倒された。  西洋に人気があるのもわかる気がする。ある時期の人間といふのが、切り出して拡大してみれば誠に波瀾に富んでゐるのは、SFやミステリなどの大仕掛けを加へなくても面白い物語になることの証左であり、勇気づけられた。

Posted by ブクログ

2025/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

引き続き面白い〜淡々とした日々なんだけど、普通に続き気になるし、面白いんだよなあ。。下巻もこのまま続けて読んでしまう 社会の情勢はそろりそろりとよくなくなり、隣人のドイツ人一家も引き上げてしまう。上は三女の雪子が中心だったけど、中は四女の妙子へスポットライトが多く当たる。 まさか板倉とああなるとは、大水の際には思いもせなんだでしたが、進んでみればそうなるのも当然のような経緯で、とはいえ板倉が死んでしまうし(驚き!)、これが下巻でどうなっていくのか。。 以下好きだったところ。 …彼女(幸子)と二人の妹達の間柄は、ちょっと普通の姉妹の観念では律し難いものであった。彼女はしばしば、貞之助のことや悦子のことよりも、雪子のことや妙子のことを心に懸けている時間の方が多いのではないかと思って、自ら驚くことがあったが、正直に云って、この二人の妹は彼女に取って、悦子にも劣らぬ可愛い娘であったと同時に、無二の友人でもあったと云えよう。…(p.227) …或る日、夕方帰宅した彼は、幸子が見えなかったので、捜すつもりで浴室の前の六畳の部屋の襖を開けると、雪子が縁側に立て膝をして、妙子に足の爪を剪って貰っていた。…貞之助は、そこらに散らばっているキラキラ光る爪の屑を、妙子がスカートの膝をつきながら一つ一つ掌の中に拾い集めている有様をちらと見ただけで、又襖を締めたが、その一瞬間の、姉と妹の美しい情景が長く印象に残っていた。そして、この姉妹たちは、意見の相違は相違としてめったに仲違いなどはしないのだと云うことを、改めて教えられたような気がした。…(p.294) その他、歌舞伎を見に行く描写も好き。三島とかの小説にも「今月は〇〇が出ているので〜」みたいな描写あるけど、私もそう思うから親近感を覚えるポイント。 …その明くる日の歌舞伎座で、最後の吃又の幕が開く少し前…(三十三の一文目、P332)など

Posted by ブクログ

2025/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上巻は雪子の見合い話が中心であったが、本巻では妙子周りの人間関係であった。カバー裏に、雪子の縁談を早く取りまとめねば、というような言葉があったので、焦燥感に駆られた蒔岡家の奔走が描かれると思いきや、そちらはほとんど進展せず肩透かしをくらった。ただ、妙子と雪子の利害上の対立が浮き彫りになった。当人たちは仲睦まじく接しており感情的な対立は見られないが、板倉の死により一つ悩みの種は消えたものの、利害上の対立は根本的には解決していない。この危うさを下巻でどう着地させるのか楽しみである。 中巻を読み終えて改めて思うのは、この小説は幸子の心の動きにこそ真髄がある。雪子や妙子は物語の中心でありながら、常に我々は幸子の眼を通して細雪の世界を見ている。上巻から変わらず、幸子の苦労は絶えない。自身の流産から完全に立ち直れない中、二人の妹と本家の意向をまとめるのにまさに東奔西走する、その細やかな気遣いに心打たれる。幸子の心理描写は精緻かつ著者の愛情に満ちているようにも感じる。幸子の幸せを切に願う。

Posted by ブクログ