1,800円以上の注文で送料無料

ひさしぶりのバッハ
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍
  • 1220-06-02

ひさしぶりのバッハ

清岡卓行【著】

追加する に追加する

ひさしぶりのバッハ

定価 ¥1,980

770 定価より1,210円(61%)おトク

獲得ポイント7P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 思潮社/思潮社
発売年月日 2006/10/11
JAN 9784783721680

ひさしぶりのバッハ

¥770

商品レビュー

3.7

3件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/09/03

清岡卓行さんの詩集ですね。 清岡卓行さん(1922~2006、大連生まれ) 詩人、小説家、評論家。芥川賞作家。 2006年九月発行。 清岡さんの拾遺詩集です。      「初めてのモーツァルト」   初めてのモーツァルト   そのメロディーとそのリズムを   十四歳の少年は ...

清岡卓行さんの詩集ですね。 清岡卓行さん(1922~2006、大連生まれ) 詩人、小説家、評論家。芥川賞作家。 2006年九月発行。 清岡さんの拾遺詩集です。      「初めてのモーツァルト」   初めてのモーツァルト   そのメロディーとそのリズムを   十四歳の少年は   くりかえし   くりかえし深呼吸した。   アレグロ   アンダンテ   アレグロとアンダンテ・カンタービレ   ああ 音楽に   ほのかな匂いがあったなんて。   それは ヨーロッパの   遥かな匂い?   それとも 古今東西を問わぬ   孤独の匂い?   少年は自分の胸を   希望や悔恨が   澄みきって   遠く あるいは近く   駆けめぐる   青空にした。       「久しぶり」   ほんとに久しぶりだね と懐かしがると   照れ臭そうに 無精髭の顔をほころばせ   底近くまでおおきく欠けた 湯飲茶碗に   彼はお茶を そっとそっと入れてくれる。        「多摩湖」 6   冬至のあくる日の正午 青い空で   太陽をわたしに隠す 雲の城。   その牆(かき)の罅(ひび)から   漏れた矢の 光の束が   人造の湖を 底まで突き刺す。   おお 神話の芽生えそうな一瞬      軽鴨の浮くさざなみの そこだけ金の鏡。   わたしには どんな神も棲まないのに   その鏡から立ち昇る 竜のまぼろし。   きのうの夜 幼い子と 歌って潜った   柚子風呂の芳ばしい 湯気の香りが   心のめわりに まだ漂っているのだろうか?   夢想に手と足を奪われた 父から離れた   幼い子は自転車を 山茶花の母へ   堤防の果てへと 一丁目に走らせている。  僅か十五篇の詩集ですが、清岡さんの柔らかなロマンを感じさせてくれます。  しみじみと心に余韻を遺してくれる、温かな詩集に夢想を想い起こします(=゚ω゚=)

Posted by ブクログ

2023/07/27

詩集の中に「ピレネーのアカシア」という作品があって、作者のノスタルジーを感じた。生まれ育った大連のアカシアは芥川賞受賞作「アカシアの大連」を思い出させた。また、作中自殺した江藤淳と覚しき人物が出てきたのが印象的だった。

Posted by ブクログ

2013/01/28

久々の詩集。 リズムがいいわけでも、何か分かりやすいとかでもなく、作品一つ一つが持っている雰囲気が柔らかくて好きだなぁと。自分が思ったことをストレートに書いているのに、鋭利さがない。そういう文章がすき。 たまに詩を読むということも必要だなぁと思った瞬間。

Posted by ブクログ