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ジェネラル・ルージュの凱旋
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商品詳細
内容紹介 | 海堂尊(『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』)が贈る、大人気「田口・白鳥シリーズ」がみたび登場!伝説の歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元には匿名の告発文書が届く。“将軍(ジェネラル)"の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は真相究明のため調査に乗り出す。 |
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販売会社/発売会社 | 宝島社/宝島社 |
発売年月日 | 2007/04/23 |
JAN | 9784796657549 |
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ジェネラル・ルージュの凱旋
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商品レビュー
4.1
390件のお客様レビュー
ハラハラドキドキ!!
田口&白鳥コンビの第3弾。『ナイチンゲール~』と同時進行で、救命救急センターのDr.速水にも危機が迫っていた……。大学病院の抱える問題に対し、リアリティとエンタテイメント性を併せ持って迫る快作である。
yoko
バチスタ、ナイチンゲールに続く桜宮サーガ、田口&白鳥コンビ3作目の再読。 物語の舞台は前作の「ナイチンゲール〜」と同時進行。読む順番としてはやはり「ナイチンゲール〜」を読んでからの方が良い。 本作では速水の存在感が圧倒的だ。その反対の敵役としてネチネチと言葉の暴力を振るうエシック...
バチスタ、ナイチンゲールに続く桜宮サーガ、田口&白鳥コンビ3作目の再読。 物語の舞台は前作の「ナイチンゲール〜」と同時進行。読む順番としてはやはり「ナイチンゲール〜」を読んでからの方が良い。 本作では速水の存在感が圧倒的だ。その反対の敵役としてネチネチと言葉の暴力を振るうエシックスの沼田。この手のストーリーは嫌な奴が敵役として登場すると俄然盛り上がる。 田口&白鳥コンビと言うものの、本作ではそれほど白鳥の出番はない。代わりに前作まで名前だけ出ていた氷姫こと姫宮が初登場。この後の潜入捜査の伏線が張ってある。これまでの2作で登場したキャラクターがだんだん動いて色が着き始めた。これは勝手にキャラが出来上がって歩き出すヒットシリーズの定番現象だ。
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741 414P 海堂 尊 1961年千葉県生まれ。医学博士。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)にて2006年デビュー。著書に『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ジェネラル・ルージュの伝説』『イノセント・ゲリラ...
741 414P 海堂 尊 1961年千葉県生まれ。医学博士。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)にて2006年デビュー。著書に『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ジェネラル・ルージュの伝説』『イノセント・ゲリラの祝祭』、医師の立場から書いた『トリセツ・カラダ カラダ地図を描こう』(以上宝島社)、『極北クレイマー』(朝日新聞出版)、『マドンナ・ヴェルデ』(新潮社)他、多数。『死因不明社会』(講談社)で、第3回科学ジャーナリスト賞受賞。 新装版 ジェネラル・ルージュの凱旋【電子特典付き】 (宝島社文庫) by 海堂尊 速水が手にした三枚のCDはくすんだ色調の抽象画で統一されていた。田口が言う。 「これがお前の趣味とは意外だな」 「暗さも徹底すると、かえって明るく感じるんだ」 速水は、愚痴外来のくもり硝子の光を見つめた。 「それにしても姫宮って、化粧っ気がないわよねえ」 姫宮はあっさりと答える。 「お化粧はほとんどしたことありません。大学の卒業式の時に母がしてくれたのが最後です」 「あんた、本当に変わってる。大学出たの?」 看護学部があちこちに設立され、次第に大学出身の看護師が増えてはいたが、桜宮ではまだ、専門学校である看護学校出身の看護師の方が圧倒的に多数だった。姫宮は、はっという表情で口を押さえる。 「あの、一応大学は出ましたけど、看護師としては全然ダメです」 「そんなこと、わざわざ言わなくてもみんな知っているよ」 誰かの揶揄に、周囲は大笑いになる。森野がたしなめる。 姫宮は、ルージュを陽にかざしてうっとりする。そんな姫宮の様子を見つめていた翔子は、ふと疑問を覚えた。翔子は森野に尋ねる。 「ところで、どうしてICUの看護師はルージュを持たなければならないんですか?」 「花房師長から教えてもらわなかった? ICUの患者は生死の境を 彷徨 うことも多い。その時、口紅の匂いにこの世への未練をかき立てられる患者がいないとも限らない。患者さんをこの世に引き戻すためなら何でもする。それが私たちICUのナースの心意気よ」 「その話は伺いました。でも、それが理由なら、看護師は全員ルージュを持つべきでしょ。その話は、何もICUに限らなくても、成立しますもの。私が聞きたいのは、なぜそれがICUのナースだけの話になったんですか、ということなんです」 「私はハーバードの 標準 に従っている」 速水はゆっくり首を振る。 「語るに落ちたな、沼田さん。あんたの言う倫理ってヤツは米国の片田舎、ハーバードのドメスティック・ルールであって、 世界標準 には程遠い。カントだ、ヘーゲルだ、と西洋かぶれのことばかり言ってないで、たまには大乗仏教仏典や諸子百家の 叢書 でも読んでみやがれ」 蒼白になった沼田に、速水は短く、そして鋭くとどめを刺す。 「俺ならエシックスの本家、米国を支配している大統領に 老子 の考えをぶちこんでやるがね。それこそ倫理が求める世界平和達成のためには一番の早道さ」 速水の 啖呵 は完全無欠、全くもってそれは見事なものだった。 「俺は事実を認めた。それ以上ここで何を議論するんだ? 倫理は、いいか悪いか決めることすらできない。事実を認めてしまえば、倫理なんて吹き飛んでしまう。研究審議だって枝葉ばかりつつくが、肝心の研究の 存在理由 は見ようともしない。倫理問題ばかり声高に言い募る人間は、自分自身は何も創れない。やれるのは他人のあら探しだけ。糾弾すべき巨悪には小声しか上げられない。倫理ってやつは、本当に人々の幸福を考えているのか?」 速水の言葉が沼田の身体に突き刺さっていく。 「何でもかんでも倫理、倫理とわめきたてるのは、やめにしてもらいたい。俺を裁くことは誰にもできない。ただひとつの存在を除いて、な」 「それは、何ですか?」 沼田がかろうじて口にした最後の言葉に対し、速水は昂然と答える。 「俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ」 沼田が営々と築き上げてきたエシックスという硝子の宮殿、桜宮の 聖域 は、 血まみれ将軍 の迫撃砲の一撃で粉々に砕け散った。
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