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スクールアタック・シンドローム 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
発売年月日 | 2007/06/28 |
JAN | 9784101186337 |
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スクールアタック・シンドローム
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商品レビュー
3.9
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元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家...
元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家のトトロ」「スクールアタック・シンドローム」に書き下ろしの「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」だ。 電子書籍で全部読もうとすると『みんな元気。』は単行本版で電子書籍化してしまっているので『スクールアタック・シンドローム』(文庫)は「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読むためだけに買うことになる。もう少しどうにかならなかったのかと思うが、この「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」がかなりの良作で、この一編を読むためだけに買っても後悔はないと思う。人によっては「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」をベスト舞城に挙げる人もいるとか。 以下「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」についての感想(ネタバレあり)。 「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」が舞城作品の中でも際立った作品であることは間違いない。どこが際立っているかというと、この短編では主人公に純粋さ(自分の感情に正直で屈託のないこと)があるにも関わらず、ことが解決せず終わる。私は舞城作品をようやく半分くらい読んだところだが、少なくとも「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」までの作品で、このような結論をとった作品はなかった。舞城作品では共通して、自分の感情に正直であることが重要視される。自分の偽りなき感情や、ときに偽らざるを得ないという心情を、受容することで主人公は問題を乗り越えていく。ときには殺人事件などの不可逆的破壊によって、一般的に平和と呼ばれるような理想的な状況に回復しないまま終わることもある。それでも、舞城作品の主人公たちは、どうしようもないことを受容することで、ニュートラルに、自分の人生を生きるすべを見つけていく。「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は今までのそういった純粋性至上主義に対するアンチテーゼのような作品だ。そもそもが死の悲しみやままならないことへの足掻きに対するアンチテーゼとして舞城王太郎作品はあったけれど、今作はそのさらに揺り返しをやろうとしている。「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」では主人公はステレオタイプ的な恋愛や友情を脱して、ただ相手を大切にする想いを「友情」として再定義して、杣里亜を壊そうとする家族から彼女を救い出そうとする。しかし力及ばず、諦めざるをえない。そこで諦めるしかできないことにも真剣に向き合おうとする。ここまでは舞城作品的主人公のあり方なのだが、そこからこの作品では、主人公と杣里亜の関係が自然消滅してしまう。そして、主人公は、どこかそのように関係が遠ざかってしまったことを受け止めきれていないように読める。「杣里亜が俺の真の友達だったことって一度でもあっただろうか?」とまで言ってしまう。その後に、真の友達なんてなくて友達は友達で、自分から遠いところにいても幸せになって欲しいと『好き好き大好き超愛してる。』の冒頭の独白に通じる"祈り"の文章へと繋がっていくのだが、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」の"祈り"は儚い感じがする。冒頭のソマリアについての解説を回収する形で紡がれるラストの言葉は、短編小説の構造としてはとても美しいけれど、同時に諦観を帯びているように感じた。
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短編三作品を収録しています。 「スクールアタック・シンドローム」は、30歳の父親と15歳の息子の物語。精神を病んでしまったことを理由に、ソファで日がな一日すごしている三田村は、家のなかに入ってきた知らない男と乱闘になり、彼の耳をかみ切りますが、やがてそのことが暴力の連鎖の一コマ...
短編三作品を収録しています。 「スクールアタック・シンドローム」は、30歳の父親と15歳の息子の物語。精神を病んでしまったことを理由に、ソファで日がな一日すごしている三田村は、家のなかに入ってきた知らない男と乱闘になり、彼の耳をかみ切りますが、やがてそのことが暴力の連鎖の一コマを占めていたことが明かされます。一方、別居中の元妻の恭子から、息子の崇史が学校を襲撃する計画のノートを記していたことがわかります。三田村は、親として崇史との心のつながりを得ることができないものの、崇史の振る舞いもまた、暴力の連鎖の一コマであったことがわかり、親子のきずなとはべつの共感が生まれたことが示唆されます。 「我が家のトトロ」は、太陽のように輝く美しい毛並みをしている猫のレスカと、家族の物語です。脳の研究者にならなければならないという天啓を受けた慎平は、勤めていた広告代理店を辞め、受験勉強をつづけています。彼の娘である千秋は、トトロのように大きくなったレスカに乗って空の旅をたのしんだと話し、妻のりえも千秋の「トトロごっこ」をいっしょにたのしんでいるようすを見せます。慎平は、自分たちが希望をもっている「ふり」をしながら生きていることに思いをめぐらせます。 「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は、家族やクラスメイトたちの暴力を一身に受けつづけている杣里亜という少女をめぐる物語。徳永と交際している智春は、世界のゴミをゴミ箱に入れるように、杣里亜に暴力を振るい彼女を殺害しますが、死んだはずの杣里亜はなぜか蘇生して、徳永の前にすがたを現わします。 「スクールアタック」と「ソマリア」は、著者らしいテイストの作品です。「トトロ」は、伊坂幸太郎の作品を思わせる内容で、著者はこういう作品も書けるのかと、すこし意外に感じました。
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「スクールアタック・シンドローム」4 「我が家のトトロ」3 「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」3
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