天皇の遺伝子 男にしか伝わらない神武天皇のY染色体

蔵琢也【著】

• 販売会社／発売会社: 廣済堂出版/廣済堂出版
• 発売年月日: 2006/06/10
• JAN: 9784331511503

商品レビュー

2012/08/09

天皇と天皇制の貴重さ、男系死守の必要性を、遺伝学の観点から科学的にかつ論理的に主張した本。

皇統を科学的に論ずること自体が恐れ多いという反発する人もいたようだが、科学的に立証されなくても、その重要性・貴重性を日本人がおのずと無意識に感じ、維持してきたことを、科学の力でもってしても立証されたと、好意的に捉えるべき書だと思う。

なぜ男系でなければ天皇とはいえないのか？
女系ではなぜだめなのか（そもそも女系というのはありえない）
ことが理解できる。

ただし、過去に存在した「男系女性天皇」は、Y遺伝子を継承していない（女性だから持っていない）。
この例外を「リリーフである」と例外扱いにするしかないのだがそうなると、
Y遺伝子の継承イコール天皇制である、とはいえなくなる。

なので、男系継承（の重み）を遺伝学で説明するのはやはり限界がある。

この本のポイントは「男系天皇」の対極にある「女系天皇」を否定したところだと思う。
母方の血筋のみで継承していくことを女系天皇という。
母-娘-娘の女孫・・・
というふうに。

ところがすでにこの糸を過去にさかのぼっていくことができない以上、
女系天皇自体がありえない、ということだ。

つまりこの本は、男系天皇を遺伝学的に支えるというよりは、女系天皇は存在しえない、よって男系天皇しかない、と言えるところではないだろうか。