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銀のロバ
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銀のロバ

S.ハートネット(著者), 野沢佳織(著者)

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銀のロバ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 主婦の友社/
発売年月日 2006/09/29
JAN 9784072497975

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商品レビュー

4.1

20件のお客様レビュー

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2024/05/16

日本ではロバが出てくるお話は然程多くはないと思いますが、ヨーロッパや中東では、愚鈍で愚か者、そして頑固で怠け者の象徴として登場するようです。 しかしロバは粗食に耐え、飼い主に従順な性格で、どのような辛い荷の運搬にも黙々と働いてくれる使役として、古代より人の側にいたそうです。 『 ...

日本ではロバが出てくるお話は然程多くはないと思いますが、ヨーロッパや中東では、愚鈍で愚か者、そして頑固で怠け者の象徴として登場するようです。 しかしロバは粗食に耐え、飼い主に従順な性格で、どのような辛い荷の運搬にも黙々と働いてくれる使役として、古代より人の側にいたそうです。 『 銀のロバ 』では、とても賢い従順なロバの話が4話綴られていました。 時代は第一次世界大戦、フランスの海岸沿いの町に住む10歳のマルセルと8歳のココ姉妹は、森の中で視力を失った兵士が倒れているのを見つけます。 その兵士シェパード・チューイは脱走兵なのですが、姉妹は彼を見つけた事を秘め事として興奮し、二人して彼を助けようと食糧を親に隠れて運びます。 チューイも姉妹の助けたいとの純粋な気持ちに感謝しつつ、徐々に3人は打ち解けていきます。 そしてチューイが大切に持っていた小さな銀製のロバにココは関心を示し、兵士はロバにまつわる話を姉妹に聞かせることになります。

Posted by ブクログ

2024/04/26

題名にまず惹かれ、表紙の絵を見て、絶対にこれは読もうと思った。表紙の絵も字も、配色も艶感も、全て見惚れる。 戦場から逃げてきた目が見えなくなった兵士さんを森で見つけた女の子のマルセル。妹のココや兄のパスカールも一緒に、兵士さんを助け、仲良くなり、故郷に帰してあげる計画を練る。 ...

題名にまず惹かれ、表紙の絵を見て、絶対にこれは読もうと思った。表紙の絵も字も、配色も艶感も、全て見惚れる。 戦場から逃げてきた目が見えなくなった兵士さんを森で見つけた女の子のマルセル。妹のココや兄のパスカールも一緒に、兵士さんを助け、仲良くなり、故郷に帰してあげる計画を練る。 兵士さんはとても優しく穏やかで、ポケットに銀のロバのお守りを持っている。時々、子供達にロバにまつわるお話をしてくれる。そのお話には、悲惨な戦争の体験もあった。語られるお話では、動物も人も沢山死ぬ。児童書でこんなに沢山の死をしっかりと書くのは珍しい気もする。でも、それが戦争の実態である。 人を助けるために動物が犠牲になる、という話はよくあり、この本にも出てくる。どうして人のためなら動物が犠牲になっていいという発想になるのかさっぱり理解できないし、しかも、動物も使命感や優しさを持ってそうしているみたいに描く人間のエゴに呆れる。しかし、やはりこの本を読むと、ロバの健気な行動に深く感動してしまう自分がいて、申し訳ない気になる。 訳者のあとがきに、「一見シンプルなストーリーの中に、様々な味わいが隠されている」と書かれていた。読み終わって、何が書かれていたか思い返すと、確かに一つ大きな物ではなく、多岐にわたる色々があり、あまりはっきりと思い出せない。ただ、ロバのおまもりのイメージが心に頭に深く刻まれている。おまもりは、兵士さんが持ったままでいて欲しかったな。

Posted by ブクログ

2023/01/21

フランスの海沿いの小さな村に住む幼いマルセルとココの姉妹は、森で倒れている目の見えない兵隊さんを見つける。 兵隊さんは「シェパード・チューイ(中尉)」という名前で、病気の弟に会うために軍隊を離れて海の向こうのイギリスに帰ろうとしているんだって。兵隊さんは幸運のお守りを見せてくれた...

フランスの海沿いの小さな村に住む幼いマルセルとココの姉妹は、森で倒れている目の見えない兵隊さんを見つける。 兵隊さんは「シェパード・チューイ(中尉)」という名前で、病気の弟に会うために軍隊を離れて海の向こうのイギリスに帰ろうとしているんだって。兵隊さんは幸運のお守りを見せてくれた。 手のひらに入るくらいの銀のロバ。 ほっそりと立った耳、ぼさぼさのたてがみ、丸っこい鼻面、細くて丈夫な足、尻尾の先は丸くなっている。 ココは銀のロバに夢中なる。そのまま駆け出しそう。私を乗せて、兵隊さんを乗せて。 マルセルとココは、兵隊さんのことは秘密にすること、食べ物や必要なものをこっそり持ってくることを約束する。 でも兵隊さんを海の向こうのイギリスに返してあげるには、子供の自分たちだけでは力が足りない。 二人は兄のパスカールに知らせる。 パスカールは小さい妹たちをいつもからかう。でも私達の内緒の兵隊さんを助けるためには仕方がない。 どうやってここまできたの?そのロバはどこで見つけたの?戦争ってどんなこと?人を撃ったことはある? そんな三人の子どもたちに、シェパード中尉はロバにまつわるお話を聞かせる。  身重のマリアを、そして産まれた幼子イエスを運んだロバ。  空が地上の人間や動物に腹を立て、もう雨を降せないと決めたときに空の心を動かしたロバ。  戦場で衛生兵に寄り添い負傷兵を運び続けたロバ。  そしてシェパード中尉の素晴らしい弟が見つけた、この銀のロバ。 この銀のロバは、信頼できる、勇敢な人が持っているものなんだ。 シェパード中尉は自分の経験した戦争を語らない。それはとても残酷で酷いものをたくさん見た。自分が戦場で役に立てると思った気持ちを吹き飛ばすくらいに。 だから家に帰ることにした。誰も気が付かない、シェパード中尉の部下が死んだことも、シェパード中尉が姿を消したことも。もうこの世を見たくないと思ったシェパード中尉の目は、歩くうちに見えなくなっていった。 <この戦争は人間同士の戦いではなく、目に見えない、恐ろしい力を持つ神や悪魔が人間を兵器代わりに使って戦っているのではないか。そうした神や悪魔はやりたい放題だ。(中略)人間を大切に扱おうなんて考えもせず、壊れたりなくしたりても、魔法で元に戻せると思っている。P100> 兄妹は、兵隊さんを逃がすためにもうひとり、大人の協力者を頼むことにした。足に障害を抱えるファブリーズだ。 自分自身に不甲斐ない思いを抱えるファブリーズは、シェパード中尉が脱走兵だと承知した上で協力を申し出る。 <思いきって勇敢なことができるチャンスなんて、人生でそう幾度もあるもんじゃない。金だなんて野暮なことを言って、おれのチャンスを台無しにしないでくれよ! P142> シェパード中尉が出発した翌日、ココは一人で森に行く。 兵隊さん、どうして行っちゃったの。寂しいよ。 そして銀のロバ、本当に誠実で信頼できて勇気がある人が持っているといったあのロバは? ココは、地面のくぼみを掘ってみる… === 非常に心に沁みる良いお話です。 穏やかな森で、穏やかなシェパード中尉ですが、彼の思い出す戦争はとても悲惨。英雄に憧れるパスカールは戦争の話を聞きたがるけれど、シェパード中尉はロバの話をします。 ヨーロッパではマヌケでノロマ者に例えられるロバですが、シェパード中尉のお話では、目立たないものこそ勇敢な心を持ち自分のできることをする、その行為一つ一つがこの世をいいものにしている、という象徴になります。 静かで穏やかで、とても芯の強いお話です。 <わたしは苦しみを知っています。でもだからこそ、みんなが苦しむのを見るのは耐えられないんです(中略) 自分の代わりに世界じゅうが苦しんでいるのを見るくらいなら、いっそ自分が苦しみに耐えるほうがましです。(中略)P87〜抜粋> <この世界には、一生かかっても情を持って正しく生きることのできない連中がいる、その一方で必ず、孤独で、怯えていて、虐げられ、途方に暮れる者たちがいる。だが、そうした者たちが苦しみという重荷を背負っている限り、せめて彼らの目を楽しませるために、私はこの世界を美しく保つことを約束しよう。(中略)  雨は、何もかもを欲しがる者たちのためではなく、ほとんどなにも欲しがらない者たちのために降っているのだ。P88〜抜粋>

Posted by ブクログ

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