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ゆきなだれ 文春文庫
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ゆきなだれ 文春文庫

泡坂妻夫【著】

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ゆきなだれ 文春文庫

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商品詳細

内容紹介 内容:ゆきなだれ.厚化粧.迷路の出口.雛の弔い.闘柑.アトリエの情事.同行者.鳴神
販売会社/発売会社 文藝春秋/
発売年月日 1988/04/10
JAN 9784167378035

ゆきなだれ

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商品レビュー

3.8

6件のお客様レビュー

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2010/05/28

全部で八編の短篇を収…

全部で八編の短篇を収録。中でも表題作と「雛の弔い」が白眉。

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2010/05/28

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 私が読んだのは、正確には1985年に発行された単行本版だったのですが、ブクログに無かったため、こちらの文庫版で登録いたしました。  1981年から84年にかけて各誌で発表された八つの短編をまとめた本書は、昭和の雰囲気を色濃く漂わせた、ミステリ要素を含みながらも文芸味ある人間...

 私が読んだのは、正確には1985年に発行された単行本版だったのですが、ブクログに無かったため、こちらの文庫版で登録いたしました。  1981年から84年にかけて各誌で発表された八つの短編をまとめた本書は、昭和の雰囲気を色濃く漂わせた、ミステリ要素を含みながらも文芸味ある人間ドラマとして、様々な価値観や感情を揺さぶられた作品集。  中でも多かったのが、かつての男女間の思い出が今に甦ろうとする胸の高鳴る展開ではあったものの、それらの結末が全て思いも寄らないような想像を絶するものばかりであることには、泡坂妻夫さんの作品の醍醐味がミステリのみでは無いことを実感させてくれる。  例えば表題作では、入り婿として和菓子屋の主人の座を確固とした一方で、その日陰の中で過ごした無残な青春を悔やむ男が、二十年以上前の幻想の経験の再現とも思われる女との再会をついに果たすのだが、その先に待っていた衝撃の展開と、泡坂さんがタイトルの「ゆきなだれ」に込めた意味合いには沁みるものがあって、それは幻想と言いながらも、『眉の上にある小さなほくろ』をずっと記憶の奥底に留めていた、男の女を愛しく想う気持ちを知るだけに、尚のこと同情を禁じ得ないものがあったのだ。  そして、泡坂さんのもう一つの醍醐味と言えそうなものとして、善悪に留まることのない奇妙で味のある人物像の奥深い描き方にあり、それは「闘柑」に於いて、ひどく無愛想で皮肉屋なんだけれども、紀の国屋の「哲三」との会話のやり取りには長年の友情が窺えて憎めない、州浜屋の主人「朴」の際立ったキャラクター像が印象に残りつつ、物語の真相が明らかになった時には、それまで思いも寄らなかった朴の新たな一面を知ることで、その人間味は更に味わい深いものとなり、おそらくそうした描き方を泡坂さんは狙ってやっているのだろうということが分かる。  莵集品、芝居、絵画に浪花節と、泡坂さんならではの多趣味による豊富な知識も、物語に更なる彩りを与えてくれる本書ではあるのだが、これが万人におすすめできるのかというと、また難しいところもあって、特に若い人達には伝わりにくい部分もあるとは思うのだが、それでも泡坂妻夫ファンは楽しめると思うし、私は本書の「鳴神」を読んで、彫物に対するイメージを改めることができたりと、仮に罪を犯してしまったのだとしても、それだけでその人の人間性全てを否定することはできないのだと思うし、その人が抱く愛の尊さも他の人達と何ら変わりは無く、その過程も含めて胸を締め付ける思いに駆られてしまった「同行者」という作品も本書にはあってと、それらの中には、やはり泡坂さんの人柄の良さが垣間見えるような気がして、私はならないのである。

Posted by ブクログ